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本記事は2023年11月15日、「ギズモード・ジャパン」に掲載されたものです。
電力効率とは? その役割は? もう一度考えてみませんか。
最新のCPU、最新のグラフィックボード、最新のスマートフォン…など、毎年新しいテクノロジーが詰め込まれて進化していくデジタル機器。
目に見えないところなので、僕たちがそれらの進化の度合いを測るためには、「処理速度や表現力の向上」がわかりやすい指針でした。けれども、近年はもうひとつ重視すべき視点が増えていると感じませんか? そう、「電力効率」です。
どんなデジタル機器も電力効率がどれだけ優れているのか? ってところがトレンドとして前面に押し出されているし、僕らも無意識にそこに目が行く時代。
そこで、今回は
を見ていきましょう。
まず、なぜ電力効率はトレンドなのか?を説明します。
これは結論から言うと…
電力効率を求めることで、パフォーマンスやユーザビリティが向上し、社会的にも大きなメリットが得られる。
から。想像しやすい分野で言えば、パソコンのCPUやGPU(グラフィックボード)の進化です。
これらのチップが電力効率を求める理由は「同じ電力でより多くの処理を行なえれば、もっと効率良くなるし、電気代もオトクじゃん?」 ってわけですね。
うん、それはそう。
さらにエネルギー効率が良くなれば発生する熱も下がり、冷却パーツが簡略化されてノートPCは薄く、持ち運びも楽ちんになります。
「電力効率の良さ」は、性能・ユーザビリティ・コスト・環境へとさまざまなジャンルに相乗効果的にメリットを与えてくれるのです。
そして、面白い話として、電力効率のトレンドは僕らの身の回りにある「えっ、そんなものまで!?」とあっと驚くプロダクトにまで来ているって知ってました?
たとえば、近年のプリンターの進化は凄いですよ。
プリンターってそんなに電力使うの?
なんて思うかもしれませんけど、経済産業省の資料(PDF形式)によれば、複合機の消費電力ってオフィス全体の9.5%。空調・照明に次ぐレベルで電気を使っているらしいのです(冬季の場合)。パソコン(8.6%)より多い!
最近のオフィスって、省エネに向かって照明をLED化したり、空調の設定温度を調整する運動が積極的に行なわれていますけど、オフィス向け複合機は消費電力の高いレーザープリンターが主流。そもそも電力を使う電子機器でありつつ選択肢が少なかったのです。
ところが…です。近年、この問題が解決したのをご存知でしょうか?
既存のレーザープリンターと比べて圧倒的に電力効率の高い、オフィス用インクジェットプリンターのラインナップが出ています。ちなみにエプソン製。
圧倒的ってどのくらい? というと、比較するプリンターの種類にもよるけど、レーザー方式に比べると消費電力は50%前後、最高で66%削減できるというデータがあります。(注)
大事なことなので繰り返します、消費電力50%(注)。はんぶん!
2~3割とかいうレベルじゃなくて、半分はさすがに革命レベル。
すっげえですね…。
インクジェットプリンターが高い電力効率を実現した秘密は、印刷工程のシンプルさと「熱」処理の有無。
既存のオフィス用プリンターに代表されるレーザー方式では、印刷工程が多く「加熱」を必要とするものがいくつかあります。これが消費電力の高さの理由であり、プリントアウトされた紙がホッカホカな理由。
一方、インクジェットプリンターは印刷工程がシンプルで、エプソンのオフィス用インクジェットプリンターは、インク吐出に熱を使わない「Heat-Free Technology」によって、印刷時の電力消費を抑えることに成功しています。
レーザープリンターと違って印刷準備のために熱を貯めなくていいので、プリントジョブを送ってからの印刷レスポンスが速いってのもメリットですね。すごいじゃんインクジェット。
でも、インクジェットプリンターって印刷速度が遅いんじゃ?
わかる、わかるわ~…。たしかにそのイメージあるかもだけど、このGIFを見てください。再生速度いじってません、等倍速です(モデルはLM-C6000)。
正直、僕もインクジェットプリンターは時間がかかるイメージを持っていました。オフィスにはレーザー以外ありえないって。でも、これを見てイメージが変わりましたね…。
というか、インクジェットプリンターがこの速度で印刷できるってどんな魔法よ?って話。
その魔法の正体、調べました。ヘッド構造です。
インクジェットプリンターでは、「ヘッド」と呼ばれるパーツからインクを紙へと噴出して印刷しています。家庭用プリンターもオフィス向けもそこは一緒。でもヘッドのデカさが全然違うんです。
エプソンのオフィス用インクジェットプリンターの中でも、LX-10050MFシリーズの「PrecisionCore ラインヘッド」は、横約43mm×幅約337mmという超ロングのラインヘッド。そのスペースには3万3500個ものノズルが搭載されています。
注目してほしいのが幅の数値ですね。よく見ると、これA3ノビ用紙とほぼ同じ紙幅…。
そう、家庭用プリンターが数cmの小さなヘッドを紙の幅で行ったり来たり動かして印刷しているのに対して、オフィス用インクジェットプリンターでは、ヘッド自体を紙の幅で作っちまいました。
なので、ヘッドに紙を通すだけで、ビャーッ!っと超高速印刷できちゃう。
ヘッドの動きを高速化しなくても、ヘッドがデカけりゃ良い。と、なんだか一休さんのとんちみたいな解決方法なんですけど、アプローチとしては確かにこれが最適解な気がしますね…。発想の勝利だなぁ。
おっと、メリットまだあります。メンテナンスや運用に関しても「効率」が光ります。
ブラックの大容量インクカートリッジは、1つでおよそ5万枚の印刷が可能。レーザー方式のプリンターと比べて消耗品の交換回数はなんと1/3だとか!(エプソンのスマートチャージの場合)
レーザープリンターよりも交換サイクルが長くなれば、交換の手間も減らせるし、在庫として置いておく消耗品の量も減らせます。これは消費・時間・資源を減らせる効率化ですね。
構造がシンプルなのもいいところ。
上がインクジェットプリンターのインクタンクで、下がレーザー方式のプリンターのトナー。トナー側はギアなど可動部品が組み込まれていて仕組みが複雑なのに対して、インクタンクには可動パーツがほぼありません。
プリンター本体もインクジェット式のほうが必要な可動・消費パーツの点数が少なくシンプルな構造で、低メンテナンスでの運用が期待できます。つまり捨てるモノが減り、環境負荷の低減にも繋がるってわけですね。
消耗・交換品を作るのにも捨てるのにも電力が使われていることを考えると、広義では構造のシンプルさもまた「電力効率が良い」に繋がってくるのではないでしょうか。
どうでしょう? オフィス向けのインクジェットプリンター。想像よりも凄いことになってると思いません?
インクジェットという選択肢を選べるようになったことで、インク吐出に熱を使わず消費電力を抑えたり、印刷レスポンスの速さで稼働時間を短縮したり、消費パーツが少なくてシンプルになっていたり。
毎日オフィスで使うプリンターが、時代に合わせてガジェット的な「電力効率」のトレンドを取り入れ、進化していたのです。
繰り返しますが、インクジェットでも印刷速度は高速。
そのうえ省電力で、部品交換の少なさなど、多くのメリットを持つインクジェットプリンターは、環境への配慮とともに、働き方改革を支えるツールとして、そして最先端のプロダクトとしての役割も果たしていると言えるのではないでしょうか。
そう、「電力効率」のトレンドは、プリンターにも来ていたのです。