新聞販売店、新聞社、エプソン販売の三位一体で実現した、情報と地域をつなげる「新聞のプリンター配達」

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新聞販売店、新聞社、エプソン販売の三位一体で実現した、情報と地域をつなげる「新聞のプリンター配達」
京都山間部の様子
京都山間部の様子

新聞業界では配達スタッフの確保、燃料費の高騰などにより配達環境が悪化しています。特に山間部や離島では郵送で新聞を受け取る方が全国で3万人以上に達すると言われています。京都の新聞販売店「和知新聞総合販売」も例外ではなく、過疎地での配達に課題を抱えていました。また、多くの読者はデジタル版ではなく紙の新聞を求めていました。「これからも山あいの家で新聞を待つ人に毎朝、紙の新聞を届けたい!」その思いから、和知新聞総合販売の藤所長がエプソン販売と京都新聞社へ提案し、2023年11月から1か月間、京都府京丹波町地域の購読者を対象に実証実験を開始しました。

エプソンのクラウドサービス「Epson Connect」を使った社会課題解決

実証実験では、購読者宅にA3サイズのエコタンク搭載モデル「PX-S6710T」の貸し出しを行い、エプソンのクラウドサービス「Epson Connect」を使用して、インターネット経由で新聞のデジタルデータを購読者宅のプリンターに送信します。指定の時間に自動で紙へ印刷されるので、購読者は何もしなくても、ファクスのように新聞の情報を受け取ることができ、A3サイズで、しかもカラーで印刷されるので文字も鮮明に読むことができます。

エプソンのクラウドサービス「Epson Connect」を使った社会課題解決

実証実験の参加者の声をもとに、より有益な取り組みへ

実証実験に参加していただいた皆様からは以下のようなご意見を頂戴しました。
いただいたご意見をもとに、今後の取り組みをさらに向上させていきます。

■ご評価いただいた声
✓ 文字や写真がキレイ
✓ 従来、冬季は雪で配達が遅くなる場合もあるので、ネット経由だと非常に便利

■改善して欲しい点
✓ 新聞の大きさと比べると、文字がやや小さく、老眼だと見づらい

共創パートナー様に聞きました

<和知新聞総合販売様>

和知新聞総合販売様

1955年創業、京都の和知地域・美山町の顧客を持つ。約70年間、地域に根差した販売店として顧客第一主義を掲げる。地域振興にも力を入れている。

代表所長 藤氏
代表所長 藤氏
Q:実証実験に至った背景を教えてください。

A:特に山間部については自宅への配達が困難になってきており新聞をまとめて地域のバス停に置くなどの策を講じていました。しかしバス停まで取りに行くのも高齢者には負担となります。高齢者はデジタル版への代替が難しいこともあり、エプソンのプリンターで新聞を配達することを思いつきました。ファクスに比べてインターネット回線を使えば短時間で新聞が届きエコタンク搭載モデルでインクコストが少なく済むのも魅力でした。

常務取締役 内藤氏
常務取締役 内藤氏
Q:実証実験をされた感想や今後の展望をお聞かせください。

A:販売店としても早朝や悪天候時の配達の手間が省けます。今後ビジネスモデルとして確立できれば、紙での新聞を待つ高齢者や、購読者が減っている新聞業界・新聞販売店の生き残りの活路という意味で、購読者、販売店、新聞社の三者にメリットがあるサービスだと思います。

<京都新聞社様>

1879年創業。京都府・滋賀県に取材拠点を置き、新聞の発行から発行に伴う印刷事業、Web配信事業、旅行業・出版業文化センター事業まで手掛ける。「正義を守る・自由を守る・真実を守る」を社是とし、地域の課題解決など「読者に応える」ことを目的にユーザーのためのジャーナリズム報道を目指している。

メディア局長・知財センター長 外池氏
メディア局長・知財センター長 外池氏
Q:実証実験をされて感じられたメリットなどについて、特に業界課題に対する観点から教えてください。

A:情報を読者に届けるのが新聞社の最大の使命と捉える中、業界では配送に関わるコスト圧縮や2024年問題を背景に迅速に新聞を配達することが課題となっています。特に輸送コストの上昇は著しく、当社でも近年、約3割コストが増加しています。このサービスはコストや輸送時間を気にしなくて済む、配達網の維持を解決する画期的手段だと思います。

メディア局 デジタルビジネスセンター 情報技術担当部長 武岡氏
メディア局 デジタルビジネスセンター
情報技術担当部長 武岡氏
Q:実証実験をされた課題や感想をお聞かせください。

A:今回は配信用のデータ制作を手作業で行いましたが自動化の仕組みやプリンターなど顧客が負担するコスト、インターネット回線などのリソースが整えば、新聞に限らず文章を紙で読みたい方たちのニーズに応えられると実感しています。

京都新聞COM 販売局次長 小嶌氏
京都新聞COM 販売局次長
小嶌氏
Q:今後の展望をお聞かせください。

A:当社では、京都のコンテンツを求めて郵送で京都新聞受け取っている読者も全国にいます。このような郵送読者へ全国の地方紙で「ALL地方紙」としてサービスを提供できれば、新聞の可能性も広がるのではないかと思います。

今後は、実証実験を経て見えてきた課題への対応を進めるとともに、他のニーズがあるエリアでも実証実験を展開し、ビジネスモデル確立に向けサービスの運用開始を検討してまいります。
エプソンは、デジタルと紙のハイブリッドサービスのさらなる展開を視野に、さまざまなパートナーと共創しながら、引き続きお客様の笑顔のために新たな価値創出に取り組んでいきます。