<高精度で環境負荷が少ない>
インクジェット技術とロボット制御技術を融合させた立体物印刷装置
- 廃棄物削減
- 生産性向上
- 水資源保全
社会における環境意識の高まりを背景に、従来の印刷方法である、版を用いた印刷に比べて、対象物にダイレクトに印刷する方法が、廃棄物が少なく環境負荷が低いとして、注目されています。2020年にエプソンは、液滴を微小かつ正確に吐出できるインクジェットヘッドをロボットアームの先端に装着し平面だけではなく曲面でも高精度に走査させることで、立体物の表面へダイレクトにインクジェット印刷ができる装置を開発しました。
環境負荷を抑えながら、臨機応変な製造が可能に
従来の熟練作業者に頼っていた立体物印刷が可能になったことで、生産性や安全性が向上し、これまで難しかったデザインの表現や、少量多品種のオンデマンド生産まで実現できるようになりました。印刷工程における環境負荷の低さも、本装置の大きな特長のひとつです。従来は、製版、手作業による印刷、洗浄、不要インクの廃棄、版の保管という工程でしたが、新工程ではデータを作成して、PCで印刷指示をするだけで完了。印刷の工程で排出されるCO₂やVOCの低減、水を大量に使用する刷版の洗浄工程は不要になることで、水資源の保全にも貢献します。さらに、人体に有害な有機溶剤の低減につながります。
印刷技術の応用で企業のR&Dを支援
エプソンは、インクジェット立体物印刷装置を用い、産業用ヘルメットの製造を手掛けるミドリ電機製造株式会社様が抱えていた課題を解決するための共同開発プロジェクトをスタート。1年の開発期間を経て、ロゴや文字データを入力するだけでヘルメットに自動で印刷される装置が導入されました。コンパクト、高耐久性、高速吐出の特長をもつインクジェットヘッドの特性を活用したこの装置により、印刷の工数が削減され、従来は4人で分担していた作業が、2人の作業で可能になりました。また、所要時間が短縮されただけでなく、職人の習熟度に頼ることなく製品品質を安定させることに成功しました。さらに、課題であった有機溶剤の使用量も低減、版の制作費用も不要になるなど、製造工程を大幅に効率化し、環境負荷まで抑えるソリューションとなりました。
進化を続けるエプソンの印刷技術は、エレクトロニクスやバイオなどの新たな分野への応用が期待されています。今後も引き続き、高速・高画質、非加熱、低消費電力など独自のインクジェット技術を生かした生産プロセスの可能性を追及。お客様のニーズとインクジェット技術をかけあわせる共創で、持続可能な社会の実現を目指していきます。