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作品を撮るようになったら次に挑戦したいことといえば、コンテストへの出品、個展開催、そして写真集の制作があると思いますが、写真集は特にハードルが高いように感じられるかもしれません。
しかし、デジタルツールが普及し趣味関連商品がバリエーションを見せる今日、皆さんの想像以上に写真集づくりは手軽で身近なものとなっています。この連載ではその楽しさや方法をひもといていきます。
近年インクジェットプリントで写真集をつくる人が増えています。またエプソンのコンテスト応募作品にも多く見られるようになりました。手間と時間をかけ一冊をつくることには、どんなメリットや楽しみがあるのでしょうか。
一つのテーマに基づいて編まれた写真の連なりは、見る側を深い理解や広い発想へ導きます。例えばある川の魅力を伝えるのに、清流の写真だけでなく、夏に子どもが遊ぶシーンや雨で濁流と化したシーンも見せることができたら、それは「日本の四季」や「川と人の営み」を感じさせるものにふくらんでいきます。複数の写真だからこそ伝えられることがあるのです。
さらに、表紙の印象、紙の風合い、写真の並べ方、余白のとり方、キャプションなどをうまくコントロールすることで、テーマをより明確に示すことができます。これが写真集の最大の強さです。コンテストで評価が集まるのも、こうした理由が大きいと思われます。
見る側から考えると、複数の人が集まる場所で行われる写真展と異なり、写真集は鑑賞者の好きなタイミングやペースで楽しめるメディアです。バラバラの写真を渡されるより写真集を差し出されたほうが興味を惹かれるでしょうし、テーマが伝われば作者との会話も自然に弾むものです。
また、写真集には保存しやすい形でありながら、簡単に見返すことができるという利点もあります。制作の記録を見つめ直すと次の課題が見えてきますし、繰り返しつくることでそのスキルはどんどん高まっていきます。
さて、ひと口に「写真集」と言っても、その成り立ちは様々です。
出版社が自社の企画として制作・発行するものもあれば、写真家自らが費用を負担して出版社に制作を依頼する自費出版(※1)もあります。また、コンテストやコンペの副賞として写真集が制作される(あるいは一部費用を負担してもらえる)場合もあります。
これらは基本的に、書店での販売などある程度広く流通させるための制作されるものであり、制作の各工程(編集、デザイン、印刷、製本)は、それぞれのプロフェッショナルが担うことになります。写真家の立場から見れば、それが最大のメリットといえます。
このように自分の本を全国的に流通させたいなら、出版社に写真を売り込んだりコンペに応募して評価を得るか、あるいはまとまった費用を用意するということになります。
しかし出版を前提とした制作でなければ、写真集をつくって楽しむことは誰でも手軽に始められます。個人で撮影から製本までの全行程を行うやり方です。というと壮大な計画のように聞こえますが、今日ではそう難しくありません。では、個人で制作する方法について見ていきましょう。
では、個人で少部数の写真集をつくる場合、どのような手段があるのでしょうか。
自宅のプリンターでページをプリントし、市販の製本キットなどを使って一冊にまとめるやり方です。手間はかかりますが、用紙選びやページ数、デザインを自由にできることがメリットです。
DPE店に写真データを持ち込んで、数種類のデザインフォーマットや大きさの中から好みのものを選び、写真の並びを指定してつくってもらう方法です。仕様に制限がありますが、簡単で時間がかかりませんし、安定した印刷クオリティーが望めます。
インターネットのお店に印刷・製本をオーダーするものです。写真のレイアウトやデザインは、指定のソフトウェアをダウンロードするか、編集画面にアクセスすることで可能です。レイアウト済みのデータをアップロードし、本が届くのを待つ、というのがよくある流れです。本の大きさ・中面のレイアウト・デザインについては、よりも自由度が高いことが多いです。
同じものを一度に複数冊つくりたい場合や早さを優先させるならDPE店やオンラインが便利です。仕様や冊数にもよりますが、どちらの場合も出来上がりには数日から10日ほどかかり、価格は1冊千円くらいから1万円前後まで幅があります。
各写真の仕上がり、デザイン、本の大きさ、紙などについて、あるものの中から選ぶのではなく、すべてに自分の思いを反映させた一冊を目指すならプリントから製本まで自分でやるしかありません。撮影に精魂込めたなら、最初から最後までつくることに挑戦したいところです。
監修・構成:井本千佳