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前回は「編集」を考えましたが、今回のテーマは「デザイン」です。デザイナーは何をどう考えて写真集をつくっているのか、プロから学びましょう。ご自身の考え方や方法論を教えてくださったのは、デザイナーの武田厚志さんです。
武田厚志:グラフィックデザイナー、アートディレクター。スーヴェニアデザイン代表。星野道夫写真集『HOSHINO’SALASKA』などの書籍のほか写真雑誌や本会報誌など、写真にまつわる出版物のデザインを多く手がける。
──写真集づくりにおけるデザイナーの仕事は、何から始まるのでしょうか。
──編集者から「子どもが好きそうな甘口で」とか「大人っぽく苦味を効かせた味付けで」、なんて提示されるわけですね。
──外側からできるんですか。
──必要最低限の「調理」というのは?
写真集のモチーフやテーマを仮に設けて、それにあった中面の見開きレイアウトをデザインしてもらいました。
どんな方法がどういうねらいで使われるのか、例から学びましょう。
写真提供:山形赳之
写真提供:河野鉄平
写真提供:河野鉄平
写真提供:長谷川太郎
──キャプションはどう考えたらよいでしょう。
──紙はどうですか?
──写真集の表紙って、写真をどーんと大きく配して、タイトルをそこに載せたものが多い気がしますが、なぜでしょう?
──しかし、タイトル文字がすごく小さいとか、写真に大きな文字がかぶさってしまっている、なんて場合もありますよね。
──つまり、「こんな本です」というのをわかりやすくする場合と、あえてわかりにくくする場合とがあるわけですね。
──文字のデザインって難しいポイントでもあると思うんですが……。
余白に何色を持ってくるかでも、写真の見え方は変わる。写真の周囲が白など明るい色だと、明るい写真はより明るく見える。逆に、周囲を黒など暗い色に囲まれると、暗い写真はより暗く見える。この傾向は、余白(余黒)が大きければ大きいほど進む。また写真の明るさと周囲の明るさに差があればあるほど、コントラストによって絵柄がしまって見える。それぞれの効果を有効に活用しよう。
多くの書体があるが、主な日本語の書体は大きく分けると、明朝系とゴシック系に分けられる。新聞などでおなじみの横線が細く縦線が太い明朝系の書体は、Aのように流麗できれいできちんとした雰囲気になる。線の太さが一定で肉太なゴシック系の書体は、Bのようにモダンで率直、ニュートラルな印象にもなる。
また文字の大きさでも与える印象が変わる。小さな文字にすればつぶやきや囁きのようになるし、大きな文字にすれば叫びや訴えのような強さが出る。書体と大きさの組み合わせだけでも、いろいろな見せ方ができるということ。
──最後に、写真集づくりに挑戦する皆さんに、アドバイスをお願いします。
第2回で写真集づくりには、写真家、編集者、デザイナー、印刷業者の4役が関わるとお話しました。そしてその4役すべてのプロたちが口をそろえて言うこと、それは「写真集づくりにどんどん挑戦してみましょう」「たくさん写真集を見ましょう」ということです。
写真集をつくると、平面だった自分の写真が形をもって生まれ変わり、それによって他の人に届くことの楽しさを実感します。またテーマや題材を見つけることがうまくなり、被写体を見る視点や撮り方までも変わっていきます。そうして培われる力量は、プレゼンテーション用のポートフォリオ(ブック)をつくるときや、コンテストに応募するときにも必ず役立ちます。
また、一度つくれば、他の人がつくった写真集の見方が変わります。書店に並ぶたくさんの写真集、これ以上の教材はありません。この本のテーマは何だろう、なぜこのような写真の並びにしたのだろう、なぜこのタイトルにしたのだろう、そういう考察はあなたの“写真力”をどんどん高めていきます。
さあ、最初の一冊にトライしてみましょう!あなたのフォトライフがますます充実したものになりますよ。
デザイン作業のポイント
監修・構成:井本千佳