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ここ数年で、いろいろなインクジェットプリントの用紙が登場しました。写真愛好家もプロフォトグラファーも、さまざまな用紙を使い、表現の違いを楽しんでいます。今回はその中でも、特に独特な描写と存在感が好まれている「インクジェット用和紙」をご紹介します。
「和紙」はご存知のように楮(こうぞ)や三椏(みつまた)などを原料とする日本伝統の紙で、全国各地に産地があります。2000年頃からいくつかの産地がインクジェットプリンター向けの用紙を生産・販売していて、近頃では、和紙プリントを見ることも増えてきました。右は2014年にエプサイトで開催した三好和義氏の写真展「富士山」の様子です。鮮やかな富士山が阿波和紙にプリントされ、独特な世界観を見事に示しています。エプソン和紙にプリントされた写真は「柔らかく、しっとりとした印象」「人肌のような温かみがある」と評されます。和紙は一般的なインクジェット用紙に比べると、原料の繊維が長いため表面が凸凹していたり毛羽立ちがあり、触ると特有の風合いが感じられます。また黒の締まりや細かい階調表現といった色の再現性は、一般的なインクジェット用紙に比べると得意とはいえず、コントラストが弱まった印象になります。ですが、こうした特徴こそが柔らかさや温かみといった印象につながっていて、その持ち味となっています。また、和紙プリントが広がっている背景には、プリンターの対応力の向上も。エプソンの顔料プリンターはさまざまな紙にプリントできるよう改良が重ねられています。特にSC-PX3V、SC-PX5VIIなどのプロセレクションのプリンターは厚手の紙にも対応でき、耳(※1)のある和紙もスムーズにプリントできる(※2)ので、特におすすめです。
さまざまなものが発売されているインクジェット用和紙ですが、どう選んだらよいでしょうか。色、厚さ、表面の表情に注目すべきなのは一般的な用紙の場合と同じです。材料や製法によって、真っ白なものからベージュに近いものまでいろいろですし、滑らかさや手触りも異なります。それに加えて、紙の「耳」があるかどうかもポイントになります。耳こそ和紙らしさ、と好む人が少なくありませんが、断裁の方法によっては耳が付いていない紙もあるので注意しましょう(※3)。選び方や使いこなしについて、写真プリントによく使われている2つのメーカーにたずねてみました。
「和紙プリントのしっとりと落ち着いた雰囲気が日本らしいと海外でうけるようで、そうした販路をもつ作家さんに重宝がられていたりもします。紙選びには、いろいろな紙が1 枚ずつ入っている『サンプルパック』をおすすめします。弊社の紙はインクジェット用にコーティングを施すことで、データの再現性を改良しました。また和紙は長い繊維が強く絡み合ってできているので、柔軟で丈夫です。厚い紙なら裏打ちしなくてもそのまま額装できます」
(東京企画室 工藤さん)
「弊社では和紙の風合いをいかすという観点から、コーティングを行っていません。滑らかな面とざらざらした面があり、両面ともプリントできます。どの紙がご自身の写真に合っているか、ぜひいろいろ試していただけたらと思いますが、初めてなら、使いやすく価格も手頃な『伊勢和紙Art』シリーズがおすすめです。色調整についてですが、和紙の場合わずかな変更では違いがわかりにくいので、大胆にいじってやり過ぎたら戻すほうが近道だと思いますよ」
(代表取締役 中北さん)
和紙への印刷や用紙についてのお問い合わせは、エプソンのインフォメーションセンターでは対応を行っておりません。各和紙メーカーまでお願いします。
● アワガミファクトリー 東京企画室
03-6228-4872 info@awagami.or.jp
● 大豐和紙工業株式会社
0596-28-2359 info@isewashi.co.jp
和紙プリントは、普通に額装しても楽しめますが、和紙ならではの特性をいかした飾り方・見せ方があります。ここでは3つの例をご紹介しましょう。この3つの方法は、どれも個性的なのに、やってみると割と簡単です。ぜひ挑戦してみてください。
市販のアクリルのフレームに和紙プリントを入れただけですが、紙の四辺にちょっと工夫が。水で濡らして手でちぎり、毛羽の表情を出したのです。これを「水切り」といい、こうすれば耳のない紙でも一層和紙らしい雰囲気に。マットを付けて額装するのとはひと味違った仕上がりになります。また和紙は「透ける」特性を持っています。透明なフレームに入れたら、窓辺など後ろから光が差すところに置くのもおすすめです。
プリントがパネル側面まで巻き付いているので、立体的に飾ることができます。プリントの裏面全体に刷毛を使って水を塗り、それをガンタッカーでパネルに固定しただけ。これは「水張り」という手法で、水が乾くと紙がピンと張ってきれいに仕上がります。いろいろな紙でできますが、丈夫で柔軟な和紙は水張りしやすい紙といえます。ただ、水張りができるのは、水ににじまない顔料インクのプリントに限られます。
日本伝統の製本「和綴(と)じ」で、写真集に仕上げました。道具として、針、糸、錐(きり)、金づち、のりが必要です。和紙プリントを束にし、表紙を付け、綴(と)じる部分に錐(きり)で穴を開けて糸を通しました。角を固定する紙(角布)をきれいに貼り付けることと、しっかり穴を開けることさえできれば、割と簡単です。紙を半分に折って製本するので、両面印刷をしなくても、出来上がりとしては両面に絵柄を見せられるのも、和綴(と)じのいいところです。