千代田路子さんと田口るり子さんが実感した“美プリント”

秀逸なモノクロ表現が1Vシリーズの進化点

千代田路子さんと田口るり子さんが実感した“美プリント”

千代田路子さんと田口るり子さんが実感した“美プリント”

技術に裏打ちされた美しいプリントを制作している写真家・千代田路子さん、自身を含めて主に女性を被写体として作家活動を続ける写真家・田口るり子さん。日頃、千代田さんは「SC-PX3V」(以下、「PX3V」)、田口さんは「PX3V」と「SC-PX5VII」(以下、「PX5VII」)を使っています。今回、千代田さんには「SC-PX1VL」(以下、「PX1VL」)を、田口さんには「SC-PX1V」(以下、「PX1V」)を試してもらい、さまざまな用紙でプリント作品を制作してもらった上で、その感想を伺いました。常日頃からプリントに真剣に取り組むふたりの目に「PX1VL」「PX1V」はどう映るのでしょうか。(TEXT:吉田浩章)

千代田路子(ちよだみちこ)

大学ではグラフィックデザインを専攻、同時に写真を学ぶ。卒業後は広告代理店にデザイナーとして就職し、その後、光学メーカーの広報宣伝部門への転職を機に本格的に写真による作品づくりを始める。個人的な体験から根源的なテーマを見つけ出し、繊細で美しいプリント写真としてメッセージを発信する。国内外の個展やグループ展、レビューなどに積極的に参加し作品発表を行う。直近では2020年11月に「私は彼女と長い夢をみる」で個展を開催した。また、写真を通じて社会に貢献したいと、伝統芸能やアーティストの活動記録の共同制作を行っている。

https://www.michikochiyoda.com/

千代田路子(ちよだみちこ)
田口るり子(たぐちるりこ)

愛知県名古屋市出身。東京都在住。2003年から独学で写真を始める。その年の富士フォトサロン新人賞(2003年)の受賞を機に、写真家としての活動を始める。以後、音楽関連、雑誌媒体などで撮影の仕事をしながら、一貫して女性を被写体としたテーマで作品を制作し、写真展や誌面で発表し続けている。主な作品に、女性の背中だけの肖像を集めた「形骸土木」(2010〜)、ヌードを景色のように見立てた「SCAPE」(2016〜)、祖母のドキュメンタリーポートレート「KIYOKO」(2017〜)、自身初のセルフヌードポートレート「CUT OFF」(2020)などがある。

https://www.rurikotaguchi.jp/

田口るり子(たぐちるりこ)

01操作性やデザイン性が大幅に向上

現在ご自宅で使っているプリンターは、千代田さんがA2ノビ対応の「PX3V」、田口さんが「PX3V」と「PX5VII」の2台。大判プリンターはどうしてもボディが大きくなり十分な設置面積も必要になるものですが、そんな先入観を覆したのが「PX1VL」「PX1V」。従来機のおよそ2/3ほどの大きさになり、デザインや操作性も大きく向上したとのことです。

「PX1VL」「PX1V」を使ってみてのファーストインプレッションを聞かせください。
千代田路子(以下、千代田):まず驚いたのが大きさです。本当に小さくなりました。今回「PX1VL」を使わせてもらいましたが、従来のA2ノビ対応機の2/3ほど、「PX1V」もやはり従来機の2/3だそうですね。そのコンパクトさには驚きました。デザイン的にも「PX3V」は無骨で信頼できるパートナーという感じでしたが、「PX1VL」はさらにソフィスティケートされた印象を持ちました。
田口るり子(以下、田口):梱包を開けたときの私の第一印象は、四角すぎてプリンターに見えない!というものでした。部屋の雰囲気をジャマしないのがいいですね。また、嬉しかったのが、上面の液晶パネルが起きること。私はパソコンと同じ高さにプリンターを置いているので、目線の先に液晶パネルがまっすぐに見えて確認しやすいと感じました。
千代田さんのご自宅の仕事場
千代田さんのご自宅の仕事場。従来機種に比べて2/3ほどになった「PX1VL」。洗練されたデザインが印象的だったとのこと
自宅ではパソコンと同じ机にプリンターを置いている田口さん
自宅ではパソコンと同じ机にプリンターを置いている田口さん。コンパクトになった「PX1V」は机の上のレイアウトもスマートだ
千代田:その液晶パネルですが、操作性がいいですね。指でタッチしたときの反応がいいというだけでなく、プリンターとコミュニケーションしながら設定できる安心感がありました。また私は定形外の用紙も使いますが、用紙サイズの入力方法も良くなっています。「PX3V」は[+][−]のボタンを押し続けて数値入力するタイプでしたが、「PX1VL」は、液晶パネルに表示されるキーボードから直接数値入力できるので私は使いやすかったです。さらにインクをセットするときの装着感や背面の給紙の幅を調整するガイドの滑らかな作動感など、デザインや操作性、メンテナンス性などに細かく気を遣って設計されているんだな、と好感を持ちました。
プリントの静かさを堪能するふたり
プリントの静かさを堪能するふたり。また、内部がライトで照らされるので、きちんとプリントが進んでいるかを確認できる。ずっと見ていても飽きないのだとか
田口:そうなんです。使う人にやさしいプリンターだなって感じました。また、「PX1V」を使ってびっくりしたのは動作音が静かだったことです。すぅーっと紙が静かに引き込まれていくので、本当に紙が引き込まれているのか二度見するほど(笑)。夜中に作業することも多いのですが、プリントの音や振動は気にならないレベルです。
千代田:フォトブラックとマットブラックの切り替えが不要になったのも嬉しい点です。「PX1VL」は自動的に切り替えてくれて、切り替え時間も気にならないし、とても便利になりました。
「PX1V」でのインクの交換を試してみる田口さん
「PX1V」でのインクの交換を試してみる田口さん。インクタンクが滑らかに入っていき、カチッとセット完了した感触もわかりやすく「笑っちゃうほどスムーズ」と
今回は「Epson Print Layout」も試していただきましたが、いかがでしたか。
田口:普段はAdobe® Photoshop®からプリントしていますが、「Epson Print Layout」はプレビューが見やすく、また[純黒調][温黒調]、[硬調][やや硬調]などの設定もしやすくて、それがプレビューに反映されるので便利でした。Photoshop®を持っていない写真愛好家の方からプリント方法の相談を受けることもあるのですが、この「Epson Print Layout」があればそういった方も気軽にイメージに近いプリントができると思います。
千代田:私もずっとPhotoshop®からのプリントで、それに慣れていました。じつは今回初めて「Epson Print Layout」を使ってみたのですが、田口さんがおっしゃるようにプレビューは大きく見やすく、それに余白の確認もできて便利だなと思いました。これまで使ってこなかったのがもったいない気がしました(笑)。

02多様な用紙に対応する安定した給紙

写真家はプリントする際、余白の設定にはとても気を遣います。余白によって写真の印象は大きく変わってくるからです。わずかのズレでも気になるものですが、「PX1VL」「PX1V」は、全般的に給紙の安定性や正確性が向上しています。

作品制作においては厚手の用紙などもよく使われると思いますが、そのあたりの使い勝手はいかがでしたか。
田口:斤量のあるバライタなどを使うと、これまでの機種では用紙を引き込まないこともありました。「PX1V」ですが、けっこう厚手の用紙なのに背面トレイからでもスムーズに給紙できました。スルスルと用紙が引き込まれていくのは見ていても気持ちがいいです。安心して使えそうです。
千代田路子さん

千代田路子さん

千代田:背面給紙でも0.5mmまでの用紙厚に対応しているそうです。0.48mmの「Velvet Fine Art Paper」も背面トレイから給紙できます。ただ、[プラテンギャップ]や[用紙厚]の設定がなくなったのが不思議でした。紙によっては平面性や毛羽による擦れを避けるため、[プラテンギャップ]を広めに、[用紙厚]も実際より厚めに設定していました。「PX1VL」の場合は、プリント時に設定するのではなく、「Epson Media Installer」というソフトで予め自分の使う用紙の情報を登録するという方法になっています。用紙厚、プラテンギャップ、ICCプロファイルなども一緒に登録できます。純正以外の様々な用紙を使うときに便利な機能ですね。「PX1VL」「PX1V」の特徴のひとつが豊富なファインアート紙への対応だと思うのですが、「Epson Media Installer」によってそれが実現されるのだと思います。
用紙厚やプラテンギャップ、ICCプロファイルを登録できる「Epson Media Installer」
用紙厚やプラテンギャップ、ICCプロファイルを登録できる「Epson Media Installer」
田口るり子さん

田口るり子さん

田口:「PX1V」でプリントしてみて実感したのがプリント位置の正確さです。以前、展示用のプリントを作った際に、プリント位置のズレが気になりました。1mm程度のズレですが、違和感を覚えます。仕方ないので余白の広い方を切ったりして調整していました。わずかのズレでも展示すると展示全体の完成度が落ちてしまいます。やはりピシッと揃っていると気持ちがいいわけです。
もちろん、旧機種でも前面から手差しでセットすればより正確な位置にプリントされるのですが、何枚もプリントが続くと疲れてしまいます。複数枚の用紙をセットできる背面給紙の安定性やプリント位置の正確性が増すのであれば、それに越したことはありません。給紙が安定しプリント位置が正確であれば、ストレスを感じることもなくプリント作業を素直に楽しめます。
千代田:そうそう!! 「PX1VL」は確かにズレがなくなりました。「PX3V」では、微妙に余白の幅が違っていたり、小さな紙だとズレたりすることが、まれにありました。それがなくなっているようなので、安心してプリントができます。今回、背面からの給紙で小さな紙も含めてしつこく(笑)紙送りやプリント位置の確認をしたのですが、ズレないという確証が得られたことは大きかったと思います。以前は、小さな和紙を印刷する際、スムーズに紙送りをするため、プリンターに張り付いていたこともあるので、給紙能力の向上はとても嬉しいです。
田口さんの作品
田口さんの作品。厚手のハーネミューレ「フォトグロスバライタ」にプリントしたが、背面からの給紙でも問題なくプリントできた。画像のサイズや位置のズレも気にならないという

03深みのある黒、豊かな階調、
高い表現力を発揮

今回は事前に和紙やバライタなど数種類の用紙を使って「PX1VL」「PX1V」でプリントをしてもらっています。実際にプリントをしてみると、インクが沈みやすい和紙やマット調の用紙でも豊富な階調が表現されるとのこと。「PX1VL」「PX1V」の表現力の高さに驚き、感心した様子のおふたりでした。

今回、何種類かの紙でプリントしていただきましたが、「PX1VL」「PX1V」での仕上がりはどうでしたか。
千代田:とても細かな草叢の写真を伊勢和紙の「伊勢斐紙 風祥」でプリントしてみました。上品な光沢があってステキなんです。「PX3V」と「PX1VL」でどちらも[温黒調]でプリントしてみたんですが、色合いが少し違いますね。「伊勢斐紙 風祥」では、「PX3V」のほうが草の描写のメリハリ感はあります。一方、「PX1VL」は繊細でやわらかな感じでした。どちらも良い感じですが、比較すると「PX1VL」のほうが、質感がより表現されていて好みでした。暗部のディテールの出方も好きです。
「PX1VL」と「PX3V」で和紙の「伊勢斐紙 風祥」にプリントした千代田さんの作品
「PX1VL」と「PX3V」で和紙の「伊勢斐紙 風祥」にプリントした千代田さんの作品。色合いの違いだけでなく立体感やディテールにも若干の差が出ていた
田口:バライタ系の用紙をメインに使いましたが、今回使った私の写真が粗いモノクロ写真だったせいか、「PX5VII」と「PX1V」とで大きな違いは出なかったんです。ただ、ラフな写真でも私が重視しているのはグレーの部分。こうしたグレーの滑らかな階調表現を見ると、プリンターも進化しているなと感じます。
千代田:田口さんのこの作品の個展「CUT OFF」を見に行きたかったですよね。ご自身の髪が切られる様子のセルフポートレート。しかし、面白いところに目を付けましたね。
田口:20年来ずっと髪を切っていなかったので。髪の毛って、切った瞬間にゴミになっちゃうのが不思議でした。抜けた髪が1本ラーメンに入っていたら大騒ぎじゃないですか(笑)。だけど身体とつながっているととても大事。そんなことをずっと思っていて、それを作品にしたんです。(現場でのプリント終了)あ、プリントが出てきました。これはマットの「Velvet Fine Art Paper」ですが、用紙が違うと髪の毛の見え方が違いますし、趣も変わりますね。マット系の用紙でもこんなに階調が出ることに正直驚きました。展示ではバライタ系の用紙をよく使うのですが、反射して見にくいことがあります。「PX1V」でならマット系の用紙も選択肢になります。
千代田:確かに繊細な質感が現れています。この髪の毛の表現、すごい。1Vシリーズ欲しくなります……(笑)。
田口さんの作品をエプソンの「Velvet Fine Art Paper」にプリント
田口さんの作品をエプソンの「Velvet Fine Art Paper」にプリント。バライタが好きという田口さんもマット紙の表現の可能性を感じ取ったようだ
千代田:ところで最近、修復している仏像の写真を撮っています。モノクロとカラーとでプリントしてみましたが、モノクロもカラーもそれぞれの味わいがあっていいなあと。また、モノクロプリントモードで[超高精細(漆黒)]や[ブラック・エンハンス・オーバーコート]の設定も使ってみましたが、暗部の違いがわかりました。画像によってどのように表現したいかをプリントの設定で使い分けられるので、これはよい機能だと思いました。
田口:美術品を撮るのが夢なんですよ、私。この仏像の写真、いい作品ですね。
[超高精細(漆黒)]の設定の有無を見比べるふたり
[超高精細(漆黒)]の設定の有無を見比べるふたり。[超高精細(漆黒)]を設定した右のプリントからその深い黒を見て取ることができる
千代田:絹目タイプの用紙で両機でプリントしました。この写真では「PX3V」は「PX1VL」に比較して、硬調に仕上がりました。「PX1VL」のほうが黒から中間の階調がよく出ているように思いました。解像感も良いかも。そして、[ブラック・エンハンス・オーバーコート]や[超高精細(漆黒)]のモードで黒さを選択できるのもいいですね。
田口:本当ですね。「PX1VL」のプリントは、締まっているところはきちんと締まっていながら、階調も十分に出ている印象です。仏像という硬い印象の被写体ですが、やわらかく仕上がっている感じ。特にこの仏像の肩の周辺の階調の再現性は秀逸ですね。びっくりです。何年か前にプリンターで「黒が締まる」というのが一種のブームのようになりましたが、「PX5VII」を買ったときにもう黒の締まりは十分だなと感じたんです。それ以降は黒の締まりだけでなく、どれだけ階調表現ができるかを意識しています。
プリント情報を表示
プリントが終わるまでの時間を表示
千代田さんのモノクロの仏像写真。左が「PX1VL」、右が「PX3V」でのプリント。ふたりが言うように、黒が締まった上に豊かな階調性が再現されている
千代田さんはICCプロファイルを使ったプリントも試されたとか。
千代田:モノクロのデータをプリントする場合、色転びを避けるためプリンターのモノクロモードを使っています。今回ICCプロファイルを使ってモノクロデータをプリントし、比較してみました。「PX1VL」は「PX3V」に比較して黒の色転びが少ないように思いました。用紙によってはICCプロファイルを使ってモノクロデータをプリントすることができ、ワークフローを効率化できるのではないかと期待しています。私は温黒調でよくプリントするので、モニター上で調色管理ができたら嬉しいなと思いました。
千代田:そうそう、カラーですが、ディープブルーインクが追加されたということで、ブルーの写真を探して試してみました。布で花を造る友だちの作品を撮った写真です。「PX3V」でのプリントと比較したのですが、「PX1VL」のほうが色の濁りがなくクリアですし、花が立体的に見えます。ブルーに注目すると階調もきれいに再現され、特に中間調の出方はすばらしい。今回はエプソンの「UltraSmooth Fine Art Paper」にプリントしたのですが、この写真だと「Velvet Fine Art Paper」も合っていますね。「PX3V」で出力したプリントで十分だと思っていましたが、比較するとやっぱり「PX1VL」だなぁと。ホントに欲しくなります(笑)。
田口:きれいな青ですね。ディープブルーが加わった「UltraChrome K3Xインク」のおかげなのでしょうか、立体感があって花の質感だけでなく、壁の質感も手に取るようにわかります。
「PX1VL」でプリントされた千代田さんの作品。被写体の質感や立体感が優れているだけでなく、深く鮮やかなブルーの表現がふたりを魅了した
「PX1VL」でプリントされた千代田さんの作品。被写体の質感や立体感が優れているだけでなく、深く鮮やかなブルーの表現がふたりを魅了した

04作品制作におけるプリントの重要性

おふたりに限らずプリントまでが含めて作品という写真家さんは多いと思います。その写真作品のフィーリングを大きく左右する要因のひとつが用紙であるとすれば、その用紙の特性を十分に引き出すのはプリンターの役割です。そのような意味で、「PX1VL」「PX1V」は、写真家のイメージをより忠実に具現化する大事な道具となってくれるはずです。

おふたりはプリント作品を作り上げるのに、どんなところに気をつけていらっしゃいますか。
千代田:写真というのは、実際にプリントして確認して、作品に仕上げていくものと思っています。カラーがいいのかモノクロがいいのか、モノクロでも温黒調がいいのか純黒調がいいのか、被写体の質感やリアルさがどれだけ表現されるかなど、実際にプリントしてじっくり眺めてみることが重要です。私にとっては、「プリントが作品そのもの」なので、プリントにはこだわっています。そして、いいプリントを得るにはいいプリンターが必要です。「PX1VL」を使ってみて、これまで以上によいプリントが得られることを実感しました。
田口:そうですよね。同じ写真でも用紙が異なればフィーリングも異なりますし、同じ用紙でも温黒調や純黒調、漆黒モードでその雰囲気はガラリと変わります。どのような用紙を使うか、どのように仕上げるかは、写真の内容やテーマに沿って決まりますが、その思いを形にするのがプリンター。「PX1V」は、期待以上に応えてくれたと思います。
温黒調、純黒調などで刷り分けた田口さんの写真
「PX1V」で、温黒調、純黒調などで刷り分けた田口さんの写真。「純黒調って目に優しいですよね」と田口さん
千代田:その通りです。「PX1VL」のプリントは私の期待値を超えました(笑)。さっきの仏像の写真は当初は和紙でプリントしようと考えていたんですが、これまであまり選んでこなかった絹目調とかバライタ系もいいなと感じました。用紙が変わると作品の世界観も変わります。暗部の階調が出る「PX1VL」でプリントしてみたことで、自分の用紙選びの幅も広がったように思います。
ピクトランの「局紙バライタ」にプリントした田口さんの作品
ピクトランの「局紙バライタ」に「PX1V」でプリントした田口さんの作品。髪の繊細な質感やシャドウにかけての階調が豊かに表現されている
最後に、写真愛好家の皆さんにプリントの楽しさを伝えるとしたら?
田口:私も含め、目的なくプリントをするのは楽しくないし続かないと思うんですね。なので具体的にお勧めしたいのは、まず自分のお気に入りの作品をA3くらいに大きく伸ばして自分の部屋に飾ってみることです。自分の部屋だといつでも眺められますし、きっと家族に文句も言われないでしょう(笑)。大きく伸ばしてプリントすると「PX1V」なら細部まで表現されるので、気づきがあって写真の上達につながると思います。あとはグループ展などに参加してプリントをする機会を設けてみる、大切な人や友人へ手紙を書くときに自分の作品を刷って葉書にする、など。プリントの苦手意識をなくすには、プリントを通して人と関わることが大切だと思います。私も今回の千代田さんとの対談でいろいろな意見交換ができ、とてもプリントに対してモチベーションが上がりました。
千代田:プリントに苦手意識を持っている人も、実際にプリントしてみればその楽しさを実感できるはずです。そして写真とプリントを楽しむのであれば、やはり作品クオリティのプリントができる上位機種、つまり「PX1V」「PX1VL」をお勧めしたいです。
田口:従来機種との画質・性能の差を見ると、1Vシリーズは本当に優秀ですよね。
千代田:今回、実際に「PX1VL」でプリントしてみて、大幅に使いやすくなっているし、階調表現がよくなっているので欲しいなって正直に思いました。「PX3V」でも十分に満足していたのですが……。A3ノビだけでなく、A2ノビまで大きくプリントすることも多いので、プリンターの表現力の差は出ますよね。
田口:大判だとより差が出やすいですからね。しかし、いいものを知ってしまうと、もう我慢できなくなっちゃいそうで怖いですね(笑)。
  • (注)本媒体上の他者商標の帰属先は、商標についてをご確認ください。