スナップ写真のプロ熊切大輔に聞く2:
単焦点レンズ使いこなし ~24mm、85mm編~

「熊切先生、被写体を見付けるポイントが知りたいです」

スナップ写真のプロ熊切大輔に聞く2:単焦点レンズ使いこなし ~24mm、85mm編~

スナップ写真のプロ熊切大輔に聞く2:
単焦点レンズ使いこなし ~24mm、85mm編~

「熊切先生、被写体を見付けるポイントが知りたいです」

熊切さんの撮影に同行するのはとても楽しい。なにしろ、撮った写真を見せてもらうまで、なにを写しているのか分からないのですから。それくらい「不思議な場所」で写すことが多くて、なぞなぞの答え合わせのようなワクワク感があります。今回は、熊切さんの「単焦点レンズ+街スナップ」の2回目。「24mmと85mmレンズ」を使った撮影とプリント解説のお話です。(TEXT:桐生彩希)

熊切大輔(くまきりだいすけ)

東京都新宿生まれ。東京工芸大学短期大学部入学。写真技術科第5研究室にて芸術写真などの写真表現を学ぶ。卒業後株式会社日刊ゲンダイ写真部に入社。政治・事件・プロ野球読売巨人軍などを担当。その後日刊ゲンダイ写真部を退社し、フリーとなる。現在は雑誌媒体を中心に人が生み出す瞬間・空間・モノを被写体に企業オフィシャル撮影・広告・カメラ雑誌など様々なジャンルで活動中。また学校や写真教室で講師として指導を行う。作品としてはスナップ撮影の手法を駆使し変わりゆく「東京」の様々な姿を切り撮り続けている。公益社団法人日本写真家協会理事。

熊切大輔(くまきりだいすけ)
小向朋恵(こむかいともえ)

普段はリコー製「GR」で街の写真を撮っている、「単焦点」がテーマの今回にふさわしいスナップシューター。「スナップが好きだから、プロの先生に教わりたくて参加しました。同じ場所に立っても、自分とまったく異なる視点で被写体を捉えるプロの感性は本当にすごいです」

小向朋恵(こむかいともえ)

0185mmでシンプルに切り取る

85mmレンズで撮影した作品が、ビルの窓掃除のシーンです。「35mmレンズ編」でベストショットとして選んだ「工事現場の写真」と組写真のような、熊切さんが「働く男」シリーズと名付けた一枚。

前回と同様に、JPEGで撮影した写真を、Epson Proselectionシリーズの「SC-PX1V」(以下、「PX1V」)で色調整などは行わずにプリントしました。使用した用紙は、熊切さんも愛用している「フォトマット紙/顔料専用」です。
NIKON Z 6/NIKKOR Z 85mm f/1.8 S/Aモード(F4.5、1/1250秒)/露出補正:-0.67/ISO 200/WB:オート/用紙:フォトマット紙/顔料専用
NIKON Z 6/NIKKOR Z 85mm f/1.8 S/Aモード(F4.5、1/1250秒)/露出補正:-0.67/ISO 200/WB:オート/用紙:フォトマット紙/顔料専用
熊切:これは、たまたまビルの窓清掃のひとがいて、それを撮ってみたわけです。
小向:本当に、偶然ですよね。
熊切:「シャッターチャンスに強い」とか、「よくそういうシーンが目の前に来ますね」とかいわれるんだけど、実は、来てるんだよね。みんなの前にも。ただ、それを見てない。視界に入ってない。意識してないと見付からない、みたいなところがあるのかなと思うんですよ。
小向:私も、前しか見てなかったら気付かなかった。先生がビルのほうを見ていたから気付きました。
熊切:そのキョロキョロ度というか、寄り道度というか。面白いものないかなと思ってキョロキョロしてると、意外と見付かる。窓掃除はよくあるシーンかもしんないけど、三人並んでとかね。あと、ちょっとデザインの効いた建物がよかったり。「PX1V」の排紙トレイみたいな格子の感じがいいところですけども。それに加えて、青が効いている。あと、オレンジのロープ。要素としてはすごく揃ってるんですよね。ガサツに窓を拭いているだけではなくて、ちょっと雰囲気があるというか。オシャレというか。三人揃ってというのは、ありそうでないような、そんな瞬間だったかなと思います。
「PX1V」の排紙トレイ(画面左下)のようだと話すビルのデザイン
「PX1V」の排紙トレイ(画面左下)のようだと話すビルのデザイン。スタイリッシュなビルのおかげか、三人の働く男もまた粋な姿に見えてくる。
撮影の現場では、小向さんは画面のどの位置にひとを入れればよいのか迷っているようでした。望遠レンズでシンプルに切り取る構図になるからこそ、目を引く被写体の配置は気を使うし、画作りのセンスが問われます。
熊切:人物の配置は、正直にど真ん中にもってくるのではなく、「ズラしの面白さ」みたいなのがあってもいいのかなと思います。この写真だと、センターから上に配置をして、下に長くロープが垂れてる感じというのを撮ってるわけですけども。そういう構図の遊びっていうのが動きになったり、ストーリーを生み出すというか。「下のスペースに意味があるんじゃないか」と思ってもらえるかなと。
要するに、「空きスペースの意味を求めて写真をよく観察してしまう」という、熊切さんが仕掛けた効果ということです。単に被写体を見せるだけでなく、空きスペースでさえも作品の一部に組み込む熊切流のスナップ術は、本当にすごいです。
撮り方に迷う小向さんに、「ひとが真ん中はないかなって気がするんだよね。ちょっと画面の端っこにとか。少しアクセントとして、大きいデザインの中にポツンと入れるようなイメージ」とアドバイス。
撮り方に迷う小向さんに、「ひとが真ん中はないかなって気がするんだよね。ちょっと画面の端っこにとか。少しアクセントとして、大きいデザインの中にポツンと入れるようなイメージ」とアドバイス。

02街スナップ上達のために

ここで、撮影中に熊切さんが教えてくれた街スナップの極意の一部を紹介します。「こういうときはこう撮るといいよ」と、目の前の光景を例に解説してくれたことなので、作品として撮影していないシーンもあります。

でも、街スナップを撮るときにとても役立つアイデアだし、すぐにでも使える実践的な撮影テクニックなので、ぜひお試しください。

小向さんだけでなく、取材陣も聞き入った話が、「隠す」という技。街スナップには、できれば写真に写したくないもの、作品の雰囲気を壊してしまうものがしばしば画面に入ってきます。それをどうするのか、という話です。
熊切:カラーコーンは入れたくないなって思ったときは、意外と自分で処理することができる。なにをするかっていうと、こうやって“ひと”で隠しちゃうの。通行人が重なるタイミングがあるでしょ。そこを狙って、被写体で隠しちゃう。
撮りたいのは、(1)の枠部分。キリンのオブジェがひょっこりと顔を覗かせているような構図。この場合、どうしても、(2)の赤いカラーコーンが邪魔になってしまう。
撮りたいのは、(1)の枠部分。キリンのオブジェがひょっこりと顔を覗かせているような構図。この場合、どうしても、(2)の赤いカラーコーンが邪魔になってしまう。
熊切さんならどうするのかというと、構図を決めて待ち構え、(3)通行人が重なった瞬間にシャッターを切る。これで、作品の印象を壊しかねない赤いコーンが排除できる。
熊切さんならどうするのかというと、構図を決めて待ち構え、(3)通行人が重なった瞬間にシャッターを切る。これで、作品の印象を壊しかねない赤いコーンが排除できる。
地上の障害物なら通行人で隠せるし、垂れ幕のような広告なら、街灯や信号柱などで隠すことができるといいます。事実、とある百貨店のパンフレット写真の撮影を行ったとき、目立つ壁面の垂れ幕をこの手法で隠したという逸話を、“当時の現場”で再現してくれました。

熊切さんが仕事でも使っている技です。真似しない手はありません。

また、熊切さんの撮影でも頻繁に見られた行動が、バージョン違いの作品を撮るということです。被写体を見付けたら1枚だけで終わらせずに、別のものを絡めて2枚目、3枚目と、どん欲に狙っていきます。

これに関して熊切さんは、「作品を面白くできないかなって考えたときに、じゃあ、今度はこっちに行って撮ろうとなるわけですよ」と答えてくれました。
前回の「35mmレンズ編」で掲載した作品のバリエーション(左)と、上で紹介している85mmレンズで撮影した作品のバリエーション(右)。面白い被写体を見付けると、熊切さんは様々な視点で被写体の魅力を引き出していく。
前回の「35mmレンズ編」で掲載した作品のバリエーション(左)と、上で紹介している85mmレンズで撮影した作品のバリエーション(右)。面白い被写体を見付けると、熊切さんは様々な視点で被写体の魅力を引き出していく。
「形の面白さを活かす」という点も、熊切さんのアドバイスのひとつです。装飾された壁や個性的な窓などのほか、木の葉や草花、路面に落ちる影や木漏れ日など、面白い形を画面のアクセントにするという撮り方です。

とくに、「24mmレンズ」のようなワイド系レンズの場合、それらを手前に配置したり、「前ボケの要素」として活用すると、奥行き感や立体感が出しやすくなります。

中でも、「地面に落ちる光」は熊切さんの好きなシチュエーションのひとつとのことで、今回の撮影でも何度か写していました。

(注)YouTube™のサービスを使って提供しています。

個性的な形のものはどのように活かすのか。街にある“アクセント”を作品に取り込むコツ。
そして、木漏れ日を「スポットライト」に見立てて撮影した作品が、次に紹介する24mmレンズの写真です。雑談をしながら通行人を待ち、スポットライトを浴びた瞬間にシャッターを切ったという作品です。

03スポットライトの通行人

オフィス街の並木道で、熊切さんが「24mm」のワイドレンズに交換しました。すかさず、小向さんも手にする「NIKON Z 6(以下Z 6)」に同じレンズを装着します。

撮影の現場はオフィス街を抜ける石畳の道で、緑のトンネルのようなシーン。昼下がりの明るい時間帯にもかかわらず、深い緑のためか少し薄暗く感じる印象です。

撮影日はずっと曇天だったのですが、並木道を歩き出すと薄日が射し、路面にうっすらと木漏れ日が浮き始めました。

そんな中、熊切さんは歩みを止めて周囲を観察します。目の前で、木漏れ日がじわじわと存在感を増していきます。
熊切:せっかく光が出てるので、こういうのはいいタイミングで撮っておきたい。でも、カメラをガッツリと構えていると、都合よくひとが入ってくれないですけどね。誰かが光のところを通ってくれたら面白いななんていうときは、待ったりもするんだよね。
普段はファインダーを覗いて撮影する熊切さんですが、さりげなく待つときは、周囲に配慮して液晶モニターで構図を調整。ターゲットがポイントに入った瞬間、シャッターを切る。
普段はファインダーを覗いて撮影する熊切さんですが、さりげなく待つときは、周囲に配慮して液晶モニターで構図を調整。ターゲットがポイントに入った瞬間、シャッターを切る。
何気ない雑談をしていたかと思ったら、抱えるように構えていたカメラでシャッターを切ります。小向さんや取材陣と話をしながらも、路面の木漏れ日の様子、そして周囲の通行人の動きに気を配り、いつでも撮影できる準備をしていたということです。
NIKON Z 6/NIKKOR Z 24mm f/1.8 S/Aモード(F1.8、1/800秒)/露出補正:-0.3/ISO 200/WB:オート/用紙:フォトマット紙/顔料専用
NIKON Z 6/NIKKOR Z 24mm f/1.8 S/Aモード(F1.8、1/800秒)/露出補正:-0.3/ISO 200/WB:オート/用紙:フォトマット紙/顔料専用
とにかく、熊切さんは周囲、とくに通行人の存在や、着ている服の色に着目します。通行人が個性的であればそれだけ作品の中で引き立ちますし、撮りたい構図が決まっている以上、タイミングの勝負になりますから。

小向さんが撮影するときも、「黄色い警備員が来る」とか、「赤いバイクが来る」というように、構図に入れると画になる要素を素早くキャッチしてアドバイスをしていました。

「24mmレンズ」の画角の広さが難しいという小向さんに、プリントした作品を手に撮り方を伝授します。撮影の現場でも教わっているのですが、作品(プリント)で解説してもらうと本当に分かりやすい。
熊切:この場所はすごく緑が深くて、緑のトンネルみたいになっている。この空の感じっていうのも、季節を感じるっていうか。この気持ちよさみたいなのも含めて撮りたいなと思い、ワイドレンズで画角を目いっぱい広く使って撮ってみました。ただ、それだけだと平たい画になりやすい。
小向:そうなんです。どうやって撮ればいいのかなって。
熊切:この写真では、とくに前にものを入れたりはしていないので(立体感が出にくい)。では、なにを使うかというと、この木漏れ日の光。これがポイントになってくるかなと思いました。で、ここに、ドンピシャでひとが入ってくれたら。要するに、全体がフラットな感じなので、光が当たるとグッと立体感が出てきますよね。そこだけがこう、前に出る感じ。この光をうまく使って、そこに人物が入った瞬間にうまく撮る。それによって、フラットな画の中からちょっと飛び出すような感じで表現できます。
「24mmレンズ」の広い画角は難しいという小向さん。それに対して熊切さんは、手前にものを入れたり、それができないときは光を活かす撮り方があると提案。
「24mmレンズ」の広い画角は難しいという小向さん。それに対して熊切さんは、手前にものを入れたり、それができないときは光を活かす撮り方があると提案。
小向:私は木漏れ日を見過ごしていたというか。わずかな光でも反応できるというのが、本当にすごいと思いました。
熊切:お、ありがとうございます。そうなんですよ。肉眼で見ると、もうちょっとフラット。そんなに光と影のコントラストはなかったんだけど、シャドウ部をしっかりと締めるように、ちょっと暗めに露出補正をして撮ってあげると、光の部分と影の部分がセパレートしてくる感じ。そうすると、わずかな木漏れ日もクッキリとしたスポットライト状態、ダウンライト状態になる。
小向:この写真はそこに目が行きますよね。自然と。誘導されて。
熊切:周りの写っている通行人を見れば分かると思うんですけど、光が当たっていないとベタっと影の中に沈んでいる感じ、溶け込んでいる感じなんだけど、光が当たったところは立体感が出てくるわけですね。
作品の解説は終わったのですが、熊切さんはプリントをしげしげと眺め、「いいよね~」と声を漏らします。どうやら、プリントの質感に見入っていた様子。

「PX1V」を予約して購入しただけあって、その色調や階調感、質感が本当に気に入っているようでした。
熊切:このプリンター、青の出方がいいって話もしたんですけど(「35mmレンズ編」参照)、黒の締まりや階調表現もすごくいいんですよね。だから、「シャドウ部をうまく活かして撮る」なんていうのにはすごく相性がいい。シャドウ部がしっかりと締まって、かつ、緑の部分がより鮮やかにという形でプリントできてるんじゃないかな。本当に、この現場の雰囲気っていうのをうまくプリントで表現できている。プリントの力も借りて、鮮やかに描き出すといった感じでしょうか。
誰もが驚くPX1Vの「透明パネル」も熊切さんは承知済み。でも、初見の小向さんにとっては、「プリントが始まると照明が点灯して中が見える」という斬新なギミックはとても新鮮のよう。
誰もが驚くPX1Vの「透明パネル」も熊切さんは承知済み。でも、初見の小向さんにとっては、「プリントが始まると照明が点灯して中が見える」という斬新なギミックはとても新鮮のよう。

04アドバイスで作品が進化

当初は「曇り空で写真が撮れるか不安」と口にしていた小向さんでしたが、熊切さん撮影スタイルを目の当たりにし、さまざまなアドバイスを受けるうちに、「目の付け所」が少しずつ変化した印象です。それでもやはり、個性的な被写体があると「撮らされる感」が強いらしく、状況を見せただけの記録写真になってしまうのだと嘆きます。

まさに、そんな被写体を前に、熊切さんは――
熊切:僕はこういうのとかも、割と使っちゃう。全体を入れちゃうと美術作品の記録になっちゃうから、こういう穴とか、色をちょっと使って、のぞき込んだりする。
歩道に飾られていた美術作品のひとつ。「撮りたいけど撮るのが難しい」という小向さんに対し、熊切さんは「こう撮ればいい」と即座に対応。
歩道に飾られていた美術作品のひとつ。「撮りたいけど撮るのが難しい」という小向さんに対し、熊切さんは「こう撮ればいい」と即座に対応。
小向さんも、アドバイスどおりに、オブジェの隙間や色を画面の一部に入れるように、いろいろなアングルを探して作品を撮っていきます。「1枚で終わらせない」という熊切さんのアドバイスをしっかりと守って。

そして、ここで撮影した1枚が、小向さんのベストショットになりました。「先生が狙うところを教えてくれたので」と少し照れながら、自身の作品プリントを眺めます。
小向さん撮影。熊切さんのアドバイスに従い、個性的な通行人が構図に入った瞬間を写す。レンズは「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」を使用。プリント用紙は「フォトマット紙/顔料専用」。
小向さん撮影。熊切さんのアドバイスに従い、個性的な通行人が構図に入った瞬間を写す。レンズは「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」を使用。プリント用紙は「フォトマット紙/顔料専用」。
熊切:道端にオブジェが飾ってあるんですけど、そこの隙間から向こう側を撮影されたものですね。
小向:今までこういう視点はなくて、オブジェがあると、それ全体を撮って。なんにも作品にならないなって悩んでいたんです。
熊切:記録的にオブジェを撮るというのももちろんあるかもしれないけれど、街のスナップとして、街の一部として、そういう「オブジェ越しに見た世界」なんていうのも、スナップ写真なのかなと思います。この色味とかね、この抜けた感じ。向こう側に見えた世界ってどうだろう、っていうところで、わずかな穴から向こうのひとびとの動きを撮ったわけですけど。これ、いいですよね。色がきれい。上の緑もうまく活かせてます。いわゆる、額縁みたいな状態にしたわけですよね。絵画的でもあり、立体的でもありというような感じで。
自信の作品の評価に耳を傾ける小向さん。
自信の作品の評価に耳を傾ける小向さん。「プロの先生に教わりたくて参加しました」との意気込みどおり、聞き入る表情は真剣そのもの。
熊切:さらに、ここの奥に写ってる警備員さんかな。黄色いシャツを着ていて、これがまたすごくビビッドな、周りに負けない存在感があって面白い画ですよね。
小向:これも、待つのが大切なんですよね。いいひとが来ないか。
熊切:そうなんだよね。普通のサラリーマンの方でもいいんだけど、どうせだったら、ちょっとフォトジェニックなひとが入ってくれたら楽しいよね。なんて思って周りを見てたら、「ほら、黄色いシャツの警備員さん」みたいなね。来るもんなんですよ。こういうシャッターチャンスっていうのは。街の動きっていうのを、視野の中で観察しておくこと。そして、「ここに来たらいいな」っていうシャッターチャンスを逃さないようにする。いろいろ興味をもって周りを見て、うまく重なってくれないかな、みたいな希望的観測で待つことが、スナップでシャッターチャンスを捉えるコツって気がします。

(注)YouTube™のサービスを使って提供しています。

被写体には最適だが、扱いが難しい個性的なオブジェ。熊切さんのアドバイスを受け、小向さんが撮影に挑む。
最後に、本日のベストショットを選び出し、A3ノビの「フォトマット紙/顔料専用」でプリント。
最後に、本日のベストショットを選び出し、A3ノビの「フォトマット紙/顔料専用」でプリント。偶然にも、熊切さん、小向さん共に、「35mmレンズ」で撮影した作品を選定。

05取材後記

「単焦点レンズ」をフィーチャーするにあたって、当初は「ズームレンズ」との違いや、「単焦点レンズのメリット」なども語ってもらうつもりでした。「単焦点レンズはこんなところがいいよね」みたいな。でも、熊切さんの撮影を追い、プリントの解説を聞いているうちに、それは野暮ではないかと。

被写体を見付け、現場に適したレンズを選び、構図や距離感は「足」で作る。ズームレンズにはないその所作の合間に、素早く周囲を観察。光の加減や通行人の絶妙なタイミングを見計らう。

そんな熊切さんのスタイルがクールだし、そこに着目したほうが面白いと感じたからです。

みなさんも、「単焦点レンズで撮る」というスタイルを踏襲してみてください。「撮る」という行為を純粋に楽しむ一環として。

そして単焦点レンズの写真は、プリントでも「一皮むけた」ようなスッキリ感が得やすくなります。これは、ヌケをよくするためにRAW現像やレタッチに頼らなくても済む(かもしれない)ということです。

写真展やフォトコンテスト用など、「ここ一発のクオリティ」が欲しいなら単焦点+ハイスペックなプリンター。この組み合わせがよいのかもしれません。

紹介しきれなかった熊切さんの撮影シーンは、下記の動画でチェックしてみてください。熊切さんとの街スナップの撮影行が追体験できると思います。

スナップ写真のプロ熊切大輔に聞く:総集編&番外編動画
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