プリントで参加するコンテスト応募のツボ
コンテスト専門誌『フォトコン』編集長からのアドバイスも
コンテスト専門誌『フォトコン』編集長からのアドバイスも
プリントで参加する
コンテスト応募のツボ
コンテストに応募するのも写真の楽しみ方の一つです。どんなコンテストに参加するにせよ、知っておいたほうがいいポイントや注意点がありますので、ご紹介しましょう。
コンテストには必ず応募規定が設けられています。まずはこの内容にしっかり目を通すことが大切です。
中でも重要なのが募集している作品の「テーマ」です。テーマとは「主催者がどんな写真を求めているか」の表れですので、これをきちんと把握したうえで、写真サイズ、応募点数、写真の合成や加工の可否など、基本的な項目を頭に入れましょう。テーマと制作方法についての規定を見れば、そのコンテストのねらいが見えてきます。
例えば【テーマは「自然」で、サイズが大きく、写真の加工は不可】と設定されていたら、ありのままの自然を美しく高品質に見せてほしい、というのが基本的な主催者の意図だと考えられます。テーマがもっと抽象的な場合もあります。実際にある生命保険会社が開催している人気のコンテストは【テーマが「しあわせな瞬間」で、人物が二人以上写っていること】を条件とし、サイズは幅広く受け付けています。この場合主催者は、プリントの質の高さよりもテーマの解釈に重点を置き、人々の交流やふれあいのシーンを求めているのだとわかりますね。
写真愛好家の皆さんにとって最も身近なコンテストといえば、写真・カメラ雑誌の誌上コンテストや、エプソンなど写真関係企業が主催するものではないでしょうか。これらのコンテストでは、写真そのもののよさはもちろん、見せ方も問われます。総合的なプレゼンテーション力が評価に関わってくるのです。
下のインタビュー記事も合わせて参考にしていただきたいのですが、誌上コンテストで審査評としてよく語られることに「プリントがきれいだったら…」ということがあります。いいシーンをうまくとらえているのに、プリントの質がよくないために選から外れるということです。
コントラストや彩度の上げすぎ、シャープネスのかけすぎ、解像度不足というのがよくある残念な例です。また、全体にスジの入ったプリントを見かけたりもしますが、これはプリンターのヘッドクリーニングを行うだけで避けられることです。
日頃から、展覧会できれいなプリントを見たり、コンテストの審査員評を読んだり、誰かにアドバイスをもらうなど客観的に作品を見て、プリントのレベルを自己満足から表現へと高めたいところですね。
写真の余白には、白と黒(余黒)があります。前者は写真全体を明るいイメージに導きますし、後者は重厚感のあるしっとりとした仕上がりになります。作品の内容に合わせて選択しましょう。
また基本的に、プリントサイズはなるべく(規定の範囲内で)大きくすると印象が強くなりますし、自然と目を引きます。もちろん、絵柄やねらいによっては例外もあります。
プリントクオリティー、サイズ、余白など最後まで丁寧につくり上げて初めて「作品」たりえる、ということですね。
多くのコンテストにおいて、作品には応募票の貼付が求められます。応募票は、きちんと漏れなく記入しましょう。
中でも重要なのが作品タイトルです。例えば、海を写した写真に対して「海」というタイトルでは、海の何を伝えたかったのかがわかりにくいですね。鑑賞者のイメージが広がっていくようなタイトルを付けましょう。
応募票に説明(コメント)欄が設けられている場合があります。この欄は審査員と応募者がよりよくコミュニケーションを取るためのツールです。撮影意図や撮影時に感じたことなどを記しておくと、審査員の作品への理解が深まりますし、場合によっては審査員からアドバイスをもらえるかもしれません。
プリントは一枚ごと保護袋に入れることをおすすめします。傷や指紋の付着、水濡れから作品を守れます。審査ではプリント保護の観点から、基本的に袋から取り出さずに見られます。ですから、透明度の高いものを用いてきちんと絵柄を見せましょう。
送付時には、写真が折れないようプリントと同サイズ程度の厚紙を同封します。写真送付の体裁が審査に影響することはありませんが、作品は大事に扱いましょう。
多くのコンテストが作品一点から応募できます。あまり難しく考えずに、自分に合いそうなコンテストを探して、手持ちの作品の中から趣旨に合ったものを応募してみてはいかがでしょう。人に見せること・発表することで広がる楽しみが、そこにはあるはずです。
応募票の例。読みやすい文字で正確に記そう。応募票は写真の裏に貼り付けるのが一般的。複数枚応募する場合も一枚ごとに貼り付ける。
彩度を上げすぎて、絵柄全体が不自然な色味になってしまっている。このようなプリントだと、絵柄がよくても入選は難しい。
プリントは一枚ごと透明度の高い保護袋に入れ、折れから守るために厚紙も同封するとよい。返却用封筒が必要であれば同封し、送付先の住所をよく確かめて投函しよう。
『フォトコン』誌編集長
藤森邦晃さん