エプソン販売株式会社は、ビジネスシーンの会議やプレゼンテーションにおいて「資料の投映方法(投映環境)」が、参加者や発表者の意識や行動に及ぼす影響を検証するために、一般ビジネスパーソン計328名(Web調査298名、会場調査30名)を対象とした調査を実施しました。
コロナ禍を経てテレワークが普及したことにより、企業の働き方は多様化が進んでいます。会議やプレゼンテーションにおいては対面とリモートが混在する形式が一般的となった結果、企業にとっては「コミュニケーションの活性化」や「一体感の醸成」が新たな課題となっています。
このような背景の中、資料の投映方法が会議やプレゼンの参加者・発表者に及ぼす影響を調査したところ、ノートPCや液晶モニターによる資料共有・投映は、調査手法(Web調査・会場調査)や調査対象者(参加者側・発表者側)、設問(個別評価・相対評価)によって評価が変動するのに対して、プロジェクターは評価が安定しており、特に「意思疎通」と「参加意欲」など、データ化しにくい感覚面・感性面においては一連の調査を通じて高い評価を確認できました。
長年にわたりビジネスプロジェクターを展開し、効果的な会議やプレゼンを支援してきたエプソンでは、今後より一層、ビジネスプロジェクターを単なる投映機器としてではなく、ビジネスシーンでの一体感を醸成し、円滑なコミュニケーションや高いパフォーマンスを生み出すためのソリューションとして進化させていきます。
1.調査概要
調査対象・調査手法
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20~50代のビジネスパーソン(正社員)で、資料を投映する会議やプレゼンテーションを以下の頻度で経験している方
(1)Web調査:参加者側・発表者側のいずれかで2週間に1回以上の頻度
(2)会場調査:参加者側・発表者側の両方で2週間に1回以上の頻度
(注)日常業務における「プロジェクター」「液晶モニター」「ノートPC」の利用割合はほぼ均等 |
調査人数 |
(1)Web調査:参加者側236名、発表者側252名 計298名(重複回答者あり)
(2)会場調査:参加者側30名、発表者側3名 |
調査期間 |
(1)Web調査:2023年12月8日(金)~12月11日(月)
(2)会場調査:2023年11月25日(土)
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調査機関 |
株式会社ネオマーケティング |
1-1.調査手法
調査手法 |
調査内容 |
(1)Web調査 |
会議やプレゼンテーションでの「資料の投映方法」に関するWebアンケートを実施。日常の会議やプレゼンテーションにおいて、「プロジェクター」「液晶モニター」「ノートPC」それぞれの方法で資料を投映した場合(1-2を参照)の、参加者・発表者それぞれの意識や行動について聴取。 |
(2)会場調査 |
5名1組(計6グループ)で実際に「プロジェクター」「液晶モニター」「ノートPC」にて資料を投映した3つのプレゼンテーションを聞いてもらい、全員に意見・感想を述べてもらった後、参加者としての意識や行動について聴取。
(注)プレゼンテーマの内容や投映方法の順番による影響・誤差を最小化するため、プレゼンテーマと投映方法は、グループごとにランダムに組み合わせて実施
<プレゼンテーマ>
A:海洋プラスチックごみ問題 / B:SNS時代の情報リテラシー / C:生成AI
<投映方法(1-2を参照)>
(1)プロジェクター(約100インチ)
(2)液晶モニター(58インチ)
(3)ノートPC(13インチ)
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1-2.投映方法
プロジェクター |
液晶モニター |
ノートPC |
発表資料をプロジェクターで投映し、参加者全員で一緒に見る
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発表資料を液晶モニターに投映し、参加者全員で一緒に見る
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発表資料を参加者のノートPCに画面共有(資料送付)し、各自で見る
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1-3.調査項目(意識・行動)
各項目を「そう思う」~「そう思わない」の6段階で聴取
カテゴリ |
情報伝達 |
意思疎通 |
参加意欲 |
調査項目 |
発表資料が見やすい |
発表者と参加者の目が合いやすい |
話を聞きながら頷くなど、参加者がリアクションを示しやすい |
発表資料にある文字やビジュアルが頭に入りやすい
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発表者と参加者が、お互いの表情や気持ちを読み取りやすい |
発表者の話に集中しやすい |
発表者が資料のどの部分を話しているのか分かりやすい
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発表者の熱意が伝わりやすい |
発表を聞いている間、他の作業をせずに聞くことができる |
発表者が伝えたいことを正しく理解してもらいやすい
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場の一体感を感じやすい |
「メモを取る」「質問する」など、積極的・主体的に参加しやすい |
2.調査結果
2-1.「参加者」側の個別評価
1-3の各項目を「そう思う」~「そう思わない」の6段階で聴取し、各カテゴリのTOP2(そう思う・ややそう思う)の回答数を積み上げてグラフ化。グラフ内の白数字はTOP2の回答数が最も多かった項目数。
- 「情報伝達」は、Web調査・会場調査ともにノートPCの評価が高い結果となりました。目の前にノートPCがあると「目を近づける」など個々人で調整できる分、資料が見やすくなると感じた人が多かったためと推察されます。
- 「意思疎通」や「参加意欲」などデータ化しにくい感覚面・感性面の評価は、Web調査・会場調査ともにプロジェクターの評価が最も高い結果となりました。全員で1つの大画面を見ることで参加者の顔や目線が上がり、発表者とも目が合いやすくなり、その結果として場の一体感を感じやすくなるなど、よりコミュニケーションしやすくなることを示していると考えられます。
2-2.「発表者」側の個別評価
1-3の各項目を「そう思う」~「そう思わない」の6段階で聴取し、各カテゴリのTOP2(そう思う・ややそう思う)の回答数を積み上げてグラフ化。グラフ内の白数字はTOP2の回答数が最も多かった項目数。
- 概ね「参加者」側と同じような傾向が見受けられ、「情報伝達」はノートPC、「意思疎通」と「参加意欲」はプロジェクターの評価が最も高い結果となりました。
- 参加者と比べると差は縮まるものの、「発表者と参加者がお互いに意思疎通しやすい」「参加意欲が自然に向上しやすい」点においては、プロジェクターによる1つの大画面を全員で見る形式が支持された結果と考えられます。
2-3.相対評価
1-3の各項目で「プロジェクター」「液晶モニター」「ノートPC」のうち最もあてはまるものを聴取し、回答数を積み上げてグラフ化。グラフ内の白数字は相対評価の回答数が最も多かった項目数。
- 「意思疎通」と「参加意欲」では、個別評価でも最もスコアの高かったプロジェクターの優位性が改めて浮き彫りになりました。特に「参加意欲」では、Web調査・会場調査ともに全4項目でプロジェクターがトップとなっています。
- 2-1.参加者側の個別評価(Web調査)において、「情報伝達」のスコアが高かったノートPCの評価が下がっています。会場調査では参加者全員が同じノートPCを使用していたのに対し、Web調査では条件が同一でないことが理由の1つと考えられます。
3.総評
ノートPCや液晶モニターは調査手法(Web調査・会場調査)や調査対象者(参加者側・発表者側)、設問(個別評価・相対評価)によって評価が変動しましたが、プロジェクターは評価が安定しており、特に「意思疎通」と「参加意欲」などデータ化しにくい感覚面・感性面においては一連の調査を通じて高い評価を獲得できています。この優位性は「会場調査」でより顕著となっており、実際に資料を投映したプレゼンテーションに参加したことで、「意思疎通のしやすさ」や「参加意欲の高まり」を強く実感いただけた結果と捉えております。
会議やプレゼンテーションへの参加形態も多様化・複雑化する中、場の一体感を醸成し、主体的・積極的な参加を促す環境づくりの一手として、プロジェクターのような「大きな画面を全員で一緒に見ながら話し合う」ことの有用性を示す調査結果になったと考えられます。
【別添資料】調査結果全体(PDF,580KB)
以上
記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。