6DoFとは？

3DoFとは？

DoFとは、「Degree of Freedom」の略で、日本語では「自由度」となります。VR（仮想現実）の世界では、この「自由度」が、私たちがVR空間でどのように動き回れるのか、どのような体験ができるのかを大きく左右します。

3DoFは、3軸（X軸、Y軸、Z軸）周りの回転に対応した自由度のことです。具体的には、VRゴーグルを装着した状態で、下記の動作が可能になります。

• 頭を上下左右に動かす
• 首を回して周囲を見渡す

VR空間内での移動はできませんが、360度の映像や静止画を鑑賞するといった体験は十分に楽しめます。

6DoFとは？

6DoFは、3DoFの「頭の動き」に加えて、「体の動き」も認識できる自由度です。具体的には、VRゴーグルを装着した状態で、3DoFの「頭を上下左右に動かす」、「首を回して周囲を見渡す」に加えて、下記の動作が可能になるため、より自然な動きが可能になります。

• 前後左右に移動する
• 上下に移動する
• しゃがむ
• 手を伸ばす

3DoFに比べて、VR空間内で自由に動き回ったり、オブジェクトを操作したり、VR空間内を探索したりといった、よりインタラクティブな体験が可能になるため、VR空間への没入感が大幅に高まります。

3DoFと6DoFの違い

	自由度	特徴	代表的なデバイス
3DoF	3軸（X軸、Y軸、Z軸）周りの回転	静的な体験、360度映像鑑賞など	スマートフォンVR、スタンドアローン型VRの一部
6DoF	3軸（X軸、Y軸、Z軸）周りの回転+3軸方向への移動	動的な体験、VR空間内を自由に移動できるなど	高性能なVRヘッドセット

XR（VRやAR）デバイスに搭載される6DoFセンサーとは？

6DoFセンサーとは？

6DoFセンサーは、3次元空間における物体の自由な動きを6つの軸で検知するセンサーの総称です。VR（仮想現実）やAR（拡張現実）の世界では、ユーザーの頭や体の動きを正確に捉え、仮想空間での動きをリアルに再現するために不可欠な技術となっています。

6DoFセンサーの役割

VRやARデバイスに搭載された6DoFセンサーは、以下の役割を果たします。

ユーザーの頭や体の位置と姿勢の追跡	ヘッドセットの動きをリアルタイムで検出し、仮想空間内の視点や体の向きを調整します。
コントローラーなどの位置と姿勢の追跡	VRコントローラーやARマーカーなどの位置と姿勢を検出し、仮想空間内での操作を可能にします。
仮想空間とのインタラクション	ユーザーの動きに合わせて仮想空間内のオブジェクトを操作したり、移動したりすることができます。

6DoFセンサーの種類と仕組み

6DoFセンサーには、様々な種類があり、それぞれ異なる仕組みで動きを検出します。
これらのセンサーを組み合わせることで、位置追跡が可能になります。

加速度センサー	物体の加速度を測定し、移動方向や速度を推定します。
ジャイロセンサー	回転角速度を測定し、回転方向や速度を推定します。

6DoFセンサーが搭載されているデバイスの例「XR（VRやAR）デバイス」

VRヘッドセット

頭の動きだけでなく、体が前後左右上下に動くことまで感知します。仮想現実のゲームで、実際に歩き回ったり、物を掴んだりといった動作が可能で、まるで仮想空間に自分が存在しているかのような感覚を味わえます。

ARグラス

現実世界に仮想の情報を重ねて表示する装置です。6DoFセンサーにより、ユーザーの視線や頭の動きに合わせて、仮想オブジェクトの位置や大きさがリアルタイムに変化します。例えば、スマートフォンの画面を見ながら作業する代わりに、ARグラスを通して、目の前に直接情報を表示させることができます。

6DoFセンサーより高精度なエプソンのIMU

キャリブレーションの必要がないエプソンのIMUの特長

6DoFセンサーはジャイロセンサー3軸、加速度センサー3軸の構成となっておりますが、各センサーが一つのパッケージに収まっているだけで、高精度なアライメント補正、オフセット補正、感度補正、温度補正等（下記説明参照）がありません。

アライメント補正

各センサー軸の直交性が保たれるように補正します。この補正がない/悪いと他軸の慣性力でセンサーからデータが出力され、特定回転でのノイズ悪化の原因となります。

オフセット補正

慣性力が働いていないときに0に近い値を出力するように補正します。この補正がない/悪いと本来の出力にオフセット分が加算された出力がでることとなり角度ドリフト等の原因となります。

感度補正

真値に対して、できる限り正しい出力となるように補正します。この補正がない/悪いとスケールファクターに歪みが生じて真値から離れたデータが出力され、測定精度悪化の原因となります。

温度補正

規格温度範囲内での温度特性を補正します。温度特性自体はどの素材にも存在するもので、この補正がない/悪いと温度が変化するとオフセットやスケールファクターに大きく変化が出てしまいます。

これに加え、各センサー間での機能連携が取れていないため、6DoFセンサーではお客様にてキ ャリブレーション（校正）を加える必要があります。

エプソンのIMUは、ジャイロセンサー3軸、加速度センサー3軸の構成は同じですが、各センサーの他に各種補正や演算により、角速度と加速度を高精度に計測、運動体の挙動 (姿勢・軌跡)のデータを安定的に出力します。補正内容としてはアライメント補正、感度補正、オフセット補正、温度補正等が挙げられます。また、超高精度からスタンダード仕様まで幅広い製品ラインナップを取り揃えております。

エプソンのIMUの活用用途例

エプソンのIMUはドローン（姿勢制御）、カメラジンバル（制振）、AGV（制御）、ロボット（位置・姿勢制御）、精密農業（位置・姿勢制御）、AGV（制御）、小型衛星（姿勢制御）、舗装道路の縦断プロファイル測定、衛星アンテナなど多くの製品にご活用頂いております。
他にも角速度と加速度を高精度に計測したい場合は、アプリケーション、製品を問わず幅広く活用できます。