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COLUMN 来たるべき時に備える!消費増税が及ぼす影響、その対策は?

今年10月に予定されている消費税の増税。これは2014年4月以来、約4年ぶりの増税で、現状の8%からいよいよ大台に乗る10%へと引き上げられることになります。

そこで今回は、“増税が消費者の生活や小売り店の営業にどのような影響を及ぼすのか”について考えてみましょう。そのうえで、“増税のインパクトを少しでも抑えるアイデア”についても一緒に探してみませんか?

小売店が抱える消費の冷え込みに関する不安

増税の影響として真っ先に思い浮かぶのが、消費の冷え込みです。日本銀行は2018年4月28日に発表した経済・物価情勢の展望において、消費税が8%から10%になることで、家計の負担は国民全体で年間5兆6000億円程度増えると予想しています。これは当たり前ですが、私たちが税金として支払う金額が増えることを意味しています。増額分を単純に日本の総人口1億2632万人で割ると、一人あたりの年間負担額は4万5千円弱も増える計算です。

また、総務省の調査(2017年度家計調査)によると現在、年収238万円未満の世帯では月間消費支出平均額は13万5,622円。そのうち消費税分が1万47円(8%)になっていますから、2%増税されると月に1,942円、年間だと2万3,304円(食料品や生活必需品を除く支出のみに10%適用した場合)も多く税金を納めることになってしまいます。これでは収入の少ない家庭にとっては、大きな負担増と言えるでしょう。

収入の多い家庭ではさらに消費支出額は増えますから、その分、「節約しよう」という心理が働くのも無理のないところです。2014年の5%→8%への増税直後には主婦一人あたりの月間購買金額が前年比マイナス16.8%にまで落ち込みました。

しかし、実際にどの程度の買い控えが起きるのかを正確に予想することは困難です。そのため、その点については政府も考慮しており、対策を講じているのは報道などでご存知の方も多いのではないでしょうか。

その一つが「軽減税率」の適用です。これは「酒類及び外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が結ばれた週2回以上発行される新聞」に限って、消費税率を現在の8%に据え置くというもの。確かに所得が低い家庭にとっては助かる施策かもしれませんが、レジでの会計や経理作業など小売店側に大きな混乱を招くのではないかという懸念もあります。というのも、現代の飲食業界では「食料品」と「外食」の区別がなくなりつつあり、何が10%で何が8%なのか、その境界線が曖昧になっているからです。

軽減税率の二重基準が混乱を招く可能性

まずはファーストフード店のように、店内で食べることもできるし、持ち帰ることもできる店舗のケースで考えてみましょう。これはそう難しくないかもしれません。店内で食べる場合は「外食」なので10%、持ち帰る場合は「食料品」なので8%です。ただ、消費者にとっては同じものを食べるのに、料金が違うという事実は納得しにくいのも事実。そのため、店によっては持ち帰り品の単価を上げて、店内で食べる時と同じ金額に調整するところもあるようです。ただその場合は、メニューの表記や会計システムが複雑になるばかりか、コスト面でも店舗側の負担増になることが懸念されます。

次に、店内で食べきれなかった料理をパック詰めし、いわゆるドギーバックとして持ち帰るケースはどうでしょうか。「外食」か「持ち帰り」かについては、店舗がお客に提供した段階で判断するものとされていますので、軽減税率は適用されません。でも、同じ店舗の同じ商品でも、最初から持ち帰り用として販売する場合は軽減税率の対象になります。今回の軽減税率を非常に分かりにくくしているのは、こうしたダブルスタンダードにあると言えます。

税率が変わるだけでもPOSやレジのシステムを変更したり、ラベルやバーコードを打ち替えたり…といった少なくない手間が発生するのに、これでは10%税率導入当初の混乱は免れないのは覚悟した方が良さそうです。ただ、物を販売する側としては、不満を言っているだけでは自らのダメージが増すばかりです。増税の悪影響をできるだけ減らしながら、時には逆手に利用するくらいのたくましさが必要なのかも知れません。

マイナスをプラスに変える逆転の発想

まず、これまでの増税直前には必ず駆け込み需要がありましたので、今回も起こる可能性は高いと言えそうです。それを好機ととらえて、その期間にできるだけ多くを売り上げることが対策の一手になります。

ただし駆け込み需要は一過性のものであることから、逆にその後の反動が大きくなることを心配する声も聞かれます。でも考えてみてください。売れる時に売っておくのは商売の鉄則ではないですか?結果的にダメージを軽減するリスクヘッジにつながると思いませんか?そのために大切なことは後顧の憂いよりも、消費者の「まとめ買い」に対応できる仕入れや製造の体制を今から整えておくことと言えそうです。

次に自社オリジナル製品をお持ちの場合ですが、価格表示が変わるタイミングを利用して、商品ラベルをリニューアルするのも一案。これは増税を期にイメージアップを図り、なおかつ税込み価格改訂に納得感を与えるという論法です。ちょっと都合が良いように思われるかもしれませんが、実際に増税直後は利益率を増やさないと、需要の落ち込み分をカバーできません。

商品ラベルサンプル

(注)出力物サンプルはイメージです。

それにラベルの変更によって、一躍人気商品の仲間入りをして売上アップにつながった話はよく耳にする事例でもあります。最近は自分で簡単にラベルを製造できる自家用ラベルプリンターも販売されていますので、コストも抑えることもできます。あれこれ頭を悩ませながら、商品の魅力を消費者に訴えかけるオリジナルラベル作りにチャレンジしてみてはいかがでしょう。

消費増税が物品販売や製造の現場にもたらすインパクトは、正直に言って少なくありません。しかし、日本には“気の持ちよう”という言葉があるように、臨む姿勢次第ではピンチをチャンスに変える可能性が十分にあるのです。今から来たるべき時に備え、自社製品の商品力アップ、店舗の販売力アップを考えていきましょう。

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