2019年11月16日~12月11日に「エプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー」にて、以前より協力関係のある集英社さまの依頼により、漫画家・坂本眞一さんの代表作『イノサン』『イノサン Rougeルージュ』の大判プリント&大型本の展覧会が開催。11色の新インクセット「UltraChrome PRO12」採用の高画質大判プリンター「SureColor SC-P9550」によるプリントで見えてくる絵の繊細さに、多くの来場者が感嘆の声をあげていた。
坂本眞一さんは、『イノサン』の連載開始時より、フルデジタル環境での漫画制作を開始。まるで絵画のような緻密な絵作りやその作風は、国内外から高い評価を得ている。一方で原画がデジタルデータであるため、いわゆる原画展の実施は難しく、大規模な作品展示はこれまで行われてこなかった。また、作品は人物の髪型や洋服の刺繍など細部にわたり書き込まれているが、読者の手に渡るコミックスや雑誌では、その繊細な表現をすべて捉えるには限界があり、編集側としてもジレンマを感じていた。そこで、エプソンの高画質大判プリンター「SureColor SC-P9550」を使用し、これまで読者が体験したことのないサイズでの展示を開催。本機は、2種のグレーインクとオレンジ/グリーン/バイオレットの3色の特色インクを含む「UltraChrome PRO12インク」を採用し、高い色再現性と階調性、低粒状性を実現している。作品展示には主に「ベルベット調ファインアート紙」 を使用。用紙の特徴であるコットンのテクスチャーと高品質のプリンティングを組み合わせることで、まるでその紙に直接書いた原画ように再現。コミックスや雑誌では見ることが難しかったその緻密な描写を再現した。
特別サイズの「ベルベット調ファインアート紙」で多くの作品を出力し、壁一面に配置。さまざまなシーンの描写をじっくりと鑑賞できた。
SC-P9550で作られたB2サイズの大型本も展示。『イノサン』のハイライトシーンが見開き約1mの大きさで再現され、来場者の目を引いた。
11月29日から12月10日には、東京・有楽町の「ヒューリックホール東京」にて脚本/横内謙介、演出/宮本亞門によるミュージカル『イノサンMusicale』も上演された。ここでは、会場のホワイエに設置されたシャッターを活用し、64インチ インクジェットプリンター SC-P20050Xを用いて制作した大型の作品プリントを掲示。約1.5m×4.5mほどの出力物の裏にマグネットを取り付けることで、簡単な取り付け取り外しを実現。上下に組み合わせ、高さ約3mほどにもなるシャッターサインにより、観劇に来た人たちの注目を集めていた。この大型サインには、坂本眞一さんも、その迫力に大いに驚くと共に大判プリンターの表現力や可能性に衝撃を受けたという。
用紙にはILFORD社製「ILFORD OMNIJET OV3CM19 Canvas Matt」を使用。マット面質のコーティングが施された用紙で、作品にマッチした大型の絵画のような仕上がり。細部も十分に再現され、迫力のあるサインとなった。
ギャラリー、シャッターサイン展示の出力について、坂本先生と集英社 岡本正史さんよりご感想をいただきました。
坂本先生のコメント
漫画家 坂本眞一先生
漫画は通常、雑誌の見開きのサイズが最大なので、大きなプリントで見るのは私にとっても衝撃的でした。今後、益々増えていくデジタルのマンガ作品において、エプソンの印刷技術と漫画家の技術をコラボレーションすることで、今回のような作品展や、従来とは異なる作品づくりが可能になるのではないかと期待しています。また、デジタル環境だけで作画していると見えてこない、色の繊細さやグラデーション、透明感などが美しいと感じました。細かい書き込みの再現性も抜群です。こうした印刷の技術がもっと身近になれば、作家の意識が高まるのはもちろん、一般家庭でアートとして漫画作品を飾るなどして楽しんでいただける、1つの可能性になりうると感じる展示でした。
坂本先生のワークフロー
作画の前には、スタッフに実際に登場人物と同様の衣装を着てもらい、演技やポージングも加えて写真に撮るなど、下地になる素材をそろえて下書きします。作業は、主にセルシス社製「CLIP STUDIO PAINT」で作画・着色しており、スタッフも含めてフルデジタルの環境です。デジタル原稿では細かい修正などが素早く行え、作画の質を追求しやすいというメリットがあります。また、キャラクターの髪型や洋服の刺繍などを重視していますが、毎回作り込むのは膨大な作業になります。髪型、刺繍のマテリアルを予めデータで用意し、それらを組み合わせて調整や加筆をしながら使うことで作画へのこだわりを維持しながらも効率を上げています。
作業には液晶ペンタブレットのワコム社製「Cintiq Pro32」とセルシス社製「タブメイトコントローラー」を使用。
展示の会期中、坂本さんによるトークショーも実施。ライブドローイングによる作画テクニックなども解説された。
集英社 岡本さんのコメント
集英社 岡本正史さん
従来は実際のデータを見た関係者だけが知っていた、坂本先生が描く緻密な絵の凄まじさを、どうしたら多くの人に届けられるだろう? そうした試行錯誤のなか、エプソンの方々にご相談、ご協力いただくことで大判プリンターによる高画質印刷が実現。作家本人も唸る素晴らしいプリントにできました。高画質顔料プリンターである「SureColor SC-P9550シリーズ」とコットン素材のアート紙「ベルベット調ファインアート紙」の組み合わせにより、肌は柔らかさが感じられるようであり、レースは光をはらんで透けているようであり、背景の黒は深い闇をすくいとって固着させたよう。プリントすることで今までにない、広がりのある表現ができました。
漫画家 坂本眞一
マンガ誌「グランドジャンプ」(集英社刊)で『イノサンRouge』連載中。『孤高の人』第14回文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。『イノサン』第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出、第18回手塚治虫文化賞ノミネート、マンガ大賞2015第7位、『イノサンRouge』が第21回、第22回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。
「イノサン」「イノサン Rouge ルージュ」
18世紀のパリの死刑執行人、サンソン家四代目当主として生まれた、シャルル=アンリ・サンソンが主人公。
フランス革命のさなか、過酷な運命に立ち向かうシャルルや妹マリーの姿が描かれている。
エプソンインフォメーションセンター
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