柿のミズオ/株式会社パーシテック 様
用途:農業・農園
使用機種:BT-45CS
柿のミズオは、3代続く柿農家だ。3代目の水尾 学さんは、体が衰えつつあった先代から家業を継ぐにあたり、その技術継承のためにスマートグラスを活用。遠隔支援を可能にし、先代の負担を減らしつつ高付加価値な柿の育成に必要な技術を身に付けた。その後、2022年11月発売のBT-45CSを導入されたとのことで、その経緯や効果などについて伺った。
導入製品
オートフォーカスカメラを利用した遠隔支援などで活用できる。
防塵防水/耐衝撃性により、ハードな現場にも対応。
型番:BT-45CS
価格:オープンプライス
導入課題
- 柿育成の技術伝承や技術指導を効率的に行いたい。
- loT機器を用い、高付加価値で高品質な柿を提供したい。
- 作物収穫の疑似体験などを通じて食育に貢献したい。
導入効果
- スマートグラス導入で現場立ち合いなしでの指導が可能に。
- 映像が高解像で、柿の状態が詳細に分かり商品の質が向上。
- 遠隔の農園からの映像を見なから、疑似収穫体験が可能に。
BT-45CSを装着して柿の摘果(間引き)を行う水尾さん。本機は頭部で支える構造になっているため、従来機種に比べて鼻などへの負荷が少なく、長時間の作業でも疲れにくいという。さらに従来機よりも画面が大きく、解像度もアップ。色鮮やかで映像が非常に見やすいとのこと。カメラも約800万画素と高解像でオートフォーカスも高速。柿の細かい質感まで伝わってくる。
導入背景
「技術伝承や効率的な後継者育成に、スマートグラスなどが今後必須になると思います」
両手が空いた状態で使えるスマートグラスは、農業の遠隔支援に適しています
柿農家に限らず、第一次産業では高齢になって体が衰えてくると、リタイアすることになります。そのため、次世代に技術を継承するには、元気なうちに後継者を見つけて指導する必要があります。ところが、実際には兼業農家で後継者が指導を受けられる時間が少なかったり、後継者はいても元は農業以外の仕事に従事していて、元気なうちに十分な指導ができなかったりということが少なくありません。
私の場合も、元はハードウェア開発に従事していたため、いずれ柿農家を継ごうと思ってはいたものの、農業は前職との関連性は薄く、少し遠いことのように感じていました。
そうしたなか、仕事柄見聞きすることが多く、実際に使用することもあったIoT技術や機器が、農業やその技術の継承に活用できることに気付き、将来的に必要になるものだと感じました。なかでもスマートグラスは、両手を使える状態で遠隔地から指導を受けられるので、特に注目していたデバイスでした。そして、2016年には実際にPCやスマートグラスを導入し、足腰の弱りつつあった先代に事務所から指導してもらうことで、名人であった先代の技術などを継承することができました。
その際、個人事業の屋号を「柿のミズオ」とし、その約3か月後には農業作業支援などを行う法人として、株式会社パーシテックを立ち上げました。この法人では、IoT機器の紹介や販売といったコンサルティング、各種イベントへの協力なども含めたサービスを展開。スマートグラスは、これらの事業のキーデバイスでもあり、この度のBT-45CSも含めてプロ用モデルを中心に最新機種を導入するようにしています。
柿のミズオ/株式会社パーシテック
代表取締役 水尾 学さん
2016年からスマート農園を展開し、同年に農家とIT企業の中間サポートを目的にした、株式会社パーシテックを設立。当初からスマートグラスを使用した遠隔支援を実施し、先代である水尾 成さんの技術を受け継いだ。
水尾さんの事務所には、BT-2000以降の歴代のエプソン製スマートグラスが飾られ、必要に応じて使用されている。
導入理由
視野が広くFull HDの高解像度で、細かい文字や質感まで確認できます
スマートグラスは、国内大手メーカーではエプソン製が種類も多く、映像が色鮮やかでした。しかも、両眼視に対応していて目への負担が少ないことなどから、歴代のエプソン製モデルを使い続けています。
BT-45CSについては、何より、視野が広くFull HDに対応していて細かい部分までしっかりと確認できることが魅力的でした。解像度が上がったことで映像が自然に見え、質感の再現なども格段に向上しています。
このほか、カメラがメガネの中央に配置され、実際に見ている視野との視差が少ないこと、オートフォーカスが高速で合いやすいといったことも重要でした。逆光でも見やすいダークシェードが用意されていることなども、本機の導入を決定したポイントです。
上からの光を遮る構造になっていて、日中の屋外でも映像が見やすくなったという。マイクも本体に内蔵されており、通話も素早く手軽に行える。
約800万画素のカメラが、スマートグラスの中心部に配置。本体側面に搭載するモデルに比べ、本機装着者の視野とのずれが少ない。
活用
間引き作業(注)の遠隔支援のほか、ドローン操縦時などにもスマートグラスが活躍します
(注)剪定・摘雷・摘果
先代が亡くなってからは、私が後進の指導を行うことも増えました。特に何度かに分けて行われる柿の摘果(間引き)作業は、経験に頼る部分も多く、高品質な柿を作るために重要な作業です。そのため、農園で指導するのが基本ですが、立ち会えない場合も、スマートグラスを使用することで事務所などから遠隔支援できます。BT-45CSは、カメラも約800万画素と高画素で、柿の生育状態などの細部もモニターで確認でき、オートフォーカスが高速かつ正確なので、的確できめの細かい指導が行えます。
このほか柿のミズオでは、カラスなどの鳥害や病気の状況などを、ドローンを用いて上空からチェックしています。その際、スマートグラスを用いることで、ドローン本体から大きく目を離さずに映像を確認でき、ドローンを見失うことがありません。その上で、被害状況などを詳細に確認することが可能です。
さらに、スマートグラスによる遠隔操作を活用して、子どもたちに果実の疑似収穫体験をしてもらう食育イベントなども実施。参加者の居る場所と農園との距離は関係ないので、ほかの農園にも協力していただき、柿だけでなく、リンゴ・梨・苺などの収穫体験なども実施することができました。
摘果作業を行う果実を視野に入れ、遠隔支援の指示を受ける。事前に行動の基本ルールを決め、迷いなく作業できるようにしておくのが重要だという。
事務所などから支援を行う。どの実を摘果作業するかといった指示は、声だけでなく、ポインターなどを用いて画面上で行う。
画面を見ながら、指定された実を摘果作業。BT-45CSは、視野が広く、細部まで視認しやすい。
①:ドローン操作中の様子。スマートグラスがない場合は、手元の画面を見つつ、上空の飛行位置確認も行う必要がある。スマートグラスを用いると、手元の画面を見ずに少ない視線移動で操作が可能になる。
②③:リンゴ収穫体験の様子。MOVERIO装着の収穫者(②)からの映像を見て、欲しい果実を指示(③)。自ら収穫したかのような体験ができる。この取り組みは、農林水産省の食育白書(令和4年度)にも取り上げられた。
今後の展望
IoT技術を活用する農業従事者の、全国的なネットワークを構築したい
IoT技術やスマートグラスなどのIoT機器を農業に活用したい、あるいは技術伝承に活用したいと考えている農業従事者は、若い方を中心に増えてきています。今後は、そうした方々と繋がって技術指導をしたり、新しい活用方法を共同で考えたりして行くことで、全国的なネットワーク作りが可能なのではないかと思い取り組んでいます。
食育への活用についても注目しています。食育により、若いうちに、農業に興味を持つ機会に繋がればと期待しているのです。デジタルネイティブの子どもたちは、IoT技術や機器を素直に受け入れ、楽しみながら理解してくれます。これらは、現在のところ地方自治体などから依頼されてデモンストレーションを行うケースが多いのですが、将来的には機器の数を増やして貸し出すなど、事業化を視野に進めています。
会社概要
柿のミズオ/株式会社パーシテック
所在地 | 滋賀県高島市今津町南深清水564 |
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最寄駅 | JR湖西線 近江中庄 近江今津 |
ホームページ | http://www17.plala.or.jp/kaki320/
http://www.persitech.com/ |
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