ビジネス書をはじめ、テレビ番組などでもよくいわれる「仕事がデキる人は、身の周りの整理整頓が行き届いている」という話。この話、どこまで本当なのでしょうか?
元トヨタ自動車工業社員で『使える!トヨタ式』著者の若松義人さんが、ある企業のトヨタ式「5S」
(整理・整頓・清掃・清潔・躾を促すこと)導入に携わったところ、「休憩室やトイレ、食堂をきれいにするだけで社員の気分が変わって集中力が増し、遅刻や欠勤も大幅に少なくなった」と断言します。
やはり、整理整頓と仕事の出来不出来には関係がありそう。ただ、「私、なかなかモノが捨てられないんです……」という人もいるかもしれません。そんな人でも上手に整理整頓、片づけができる"メソッド"をご紹介します!
トヨタ式“正しい”整理整頓とは?
売上高=約28兆円、純利益=約3兆円(2016年3月期)を誇り、日本のみならず世界でもトップクラスの企業とされるトヨタ自動車。「トヨタ式」と形容されるその生産方式も注目を集め、アップル社CEOだったスティーブ・ジョブズ(故人)をはじめとする著名経営者がこぞってトヨタの工場へ視察に訪れます。
その「トヨタ式」の核心となるのが、5S。中でも「整理整頓」はさまざまな職場でスローガンとされる言葉ですが、整頓を「キレイに備品や道具を並べる」ことだと思っている人もいるのではないでしょうか。実はこの認識、トヨタ式の5Sでは“間違い”なのです。
トヨタ式の整理とは「不要なモノを処分すること」、そして整頓は「ほしいモノがいつでも取り出せること」。そう、仕事がしやすいように考えながら道具を配置するのが、整頓のポイントなのです。
働く人々の集中力も上がる!? 5Sの効果
そんな整理整頓が、働く人の集中力とモラルを高めるのは、先に述べたとおり。でも、それはなぜなのでしょうか?
複数の現役東大生(執筆当時)による書籍『東大生が教える!超〈スーパー〉集中術』によると、整理整頓には「散らかった部屋を見て、やる気がそがれてしまうことを防ぐ」心理的効果があり、さらに「集中を妨げる誘惑となるものを除去する」効果もあるといいます。つまり、集中とは相反する「気が散ること」を防ぐ効果を、整理整頓は持っているというわけです。
同書では、「机上には何も置かない。本棚には情報収集のための本と自分の目標に関する本を並べる。引き出しには必要な道具、資料のみをしまう」といった具体的な方法が列挙されています。いざ仕事や作業をしようと思って道具を探していたら、懐かしい写真が出てきてついつい眺めてしまう、などといった経験は多くの人が持っているはず。トヨタ式「整頓」の定義は「ほしいモノがいつでも取り出せること」であるとしましたが、それは「気が散るようなモノを、あらかじめ遠ざけておくこと」と表裏一体の関係にあるともいえるでしょう。こうした整頓を徹底しておけば、モノを探す時間を少なくでき、効率がグンとアップします。
高いハードルを感じる「書類の整理」
時間と手間をかけずに行うには……?
ただ、書類を整理整頓できない人にありがちなのが、「捨ててしまって後で必要になったらどうしよう……」「たぶん誰も見ていないけど、実は大切な書類だったら……」などといったお悩み。また、そうこう考えているうちに、ますます必要か不要かわからない書類がどんどんと溜まっていってしまう、といった経験を持つ人も少なくないと思います。
しかし、ここで思い出していただきたいのが、"トヨタ式"の整理整頓です。先ほど、整頓の意味を「欲しいモノがいつでも取り出せること」としました。なぜその状態が好ましいかといえば、自動車の生産ラインで働く人々が必要な工具をすぐ出せる状態にあることで、まず無駄な動きを減らせます。そして、最小限の動作しかしないことにより、事故を防ぎ、さらに業務への集中力も高まって、効率を上げられるというわけです。トヨタは、工場だけでなく事務部門でも同様に文房具などを減らす取り組みをし、冒頭で述べたような世界的企業に成長した経緯があります。
もちろん、重要度がよくわからない書類を整理することも、これと同じ。不要な書類、あるいは、不要とまではいわなくても重要度がよくわからない書類は、スキャンしてパソコンのハードディスク、外付けハードディスクに保存すれば、あとあと必要性を感じても慌てることはありません。また、クラウドサービス上でバックアップしておくと、万が一、データが消えてしまうようなことがあっても安心です。もちろん、この場合はセキュリティーのためパスワードなどを設定しておくのも忘れずに。
紙の書類をデータ化するために使うのがスキャナーは、コンパクトさと機動性を持ち合わせたものであることが不可欠。「スキャナー」と聞くと、紙の大きさをはるかに超えるサイズのもの(フラットベッドスキャナー)を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、コンパクトサイズのスキャナーなら読み取りがスピーディーという利点があるほか、机の引き出しにも収納でき邪魔になりません。また、Wi-Fi®で接続してデバイスへ直接データを送れる、限られた時間でより多くの枚数をスキャンできるといった機動性のあるものなら、手早く整理ができてしまいます。
整理整頓そのものの時間や手間も最小限に抑えられれば、それだけ今しなければならないタスクに集中力を注ぐことができるということ。オフィスの労働環境をより働きやすくすることを考えると、スキャナーは重要な役割を担っていることがわかりますね。
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