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エプサイトギャラリー
『Physis』
本作は、エプサイトギャラリー2021年度第1期公募展応募作品から選出された作品のひとつです。
産業廃棄物などの堆積から出来た小さな山。長い年月の間に植物が生い茂り、鳥たちも集う緑溢れる森といった様相をみせていたその場所に、作者である齊藤さんは強く興味を持ったと言います。
「自然」とは何か?自分なりに考え、体感として捉えるためにピンホールカメラでの撮影を開始。じっくりとその場に身を投じるかのように撮影を続けてきましたが、近年その山は再開発のため崩されました。
更地になった地面に、かつて同じ場所で撮った風景を重ねるかのようにプロジェクターで投影。それを写真におさめた本作は、遠い未来にはまた植物が芽吹き、森に還っていくだろうという示唆を含んでいます。
「自然とは表層に見えているものではなく、もっと根底にあるもの。長い時間の中で循環し、芽吹く『生成する力』だと考えるようになった」と語る齊藤さん。
今自分たちが立つ場所が、自然が失われているように見えていても、その根底には「生成する力」を秘めているということ。あらためて「自然」とは何か?という問いとその答えに思いを巡らせながら、ギャラリーでじっくりとご覧いただきたい作品です。
齊藤 小弥太写真展 『Physis』(ピュシス)にどうぞご期待ください。
▶ 作品紹介
『Physis』
産業廃棄物や違法残土からなる小山があった。その小山の斜面には長い年月の間に草木が生い茂り、緑豊かな様相をみせていた。しかし近年、小山一帯は再開発地域に指定され、緑の覆われた斜面は更地となっていった。ある日ふと思い立ち、更地となった地面の上に過去の光景を投影した。暗闇に淡く浮かび上がるその姿は、また遠い未来に生成されるであろう自然の姿を感じさせた。目には見えずともそこに在り続ける生成の力『Physis』を表現しようと考えた。
齊藤 小弥太
神奈川県横須賀市出身
日本写真芸術専門学校海外フィールドワーク科卒業
2013年「永遠の園」新宿/大阪ニコンサロン
2019年「サンディマンディラム-終の家-」CANONギャラリー銀座/大阪
他展覧会多数