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エプサイト
『Maestro in the Shadows ー影の中のマエストロー』
この度、エプサイトギャラリーはRyan Andrew Bruss写真展『Maestro in the Shadows ー影の中のマエストロー』を開催いたします。
本作は、エプサイトギャラリー2023年度公募展応募作品から選出されました。
▶ 作品紹介
『Maestro in the Shadows ー影の中のマエストロー』
デジタル化が進み、刹那的になっていく現在。一流の職人であるマエストロたちは、社会の隅へと追いやられ、完全に消えてしまう瀬戸際にいます。
何世代にも渡り巧みに作られ、磨かれてきた知識は時代と共に失われる危機に瀕しています。歴代のマエストロが丁寧に作りげた手工芸の世界から受け継ぐ次の世代が離れていく傾向もあるのです。
これらの写真のテーマは、「時間の経過」を現しています。マエストロのPier Paolo Garavini(ピエール・パオロ・ガラヴィーニ)氏とFoscolo Lombardi(フォスコロ・ロンバルディ)氏、それぞれ今の時代も自身の職人の技術で作品の制作を行っています。マエストロと作品の背景には彼らの家族と歴史が溶け込んでいるように思います。作品とそれらの親密な関係を、写真に映し出された動きを通して伝えています。
Ryan Andrew Bruss
▶ 選考委員コメント
鈴木 理策氏(写真家)
やや逆光気味のライティングで余分なものを消しつつモノクロに仕上げ、コントラストを高めたことで強い写真になっている。その上で、職人の手が物に触れている感覚が伝わってくるようなリアリティーも感じられる。オーソドックスだが、きちんと撮れている作家だ。プリントは、ハイコントラストながら、暗部のトーンまで十分に再現されている。展示プランもよくできていて、編集や展示も含めて、優れた作家であることが伝わってくる。
本尾 久子氏(インディペンデント・キュレーター)
シークエンスがよく練られていて、数多くの写真を撮った中から作者が慎重にセレクトしているのが伝わってくる。職人の技、工房での鍛錬、伝統や歴史などに対する作者の尊敬の気持ちが伝わってくるし、職人と作者のあいだの信頼関係も垣間見える。工房はその性質上、整然とした場所ではないと想像するが、コントラスト強めのモノクロ写真に仕上げたことで対象が明確になり、作者の視点が浮き彫りになっている。体温を感じさせるとともに、構図的にもいわゆるかっこいい作品群だと思った。
エプサイトギャラリー公募展
選考委員とエプサイトが協議の上、応募作品の中から優れた作品を選出し、開催する展覧会です。
アーティスト / 写真家
アメリカ、オレゴン州ポートランド出身
影に焦点を当て、光を操ることでテーマを浮き彫りにする作風が特徴で、世界各国で作品を発表している。
2023年 「Silence, The Self, & Architecture」(ニコンサロン)
他、イタリア、チェゼーナ Il Vicolo・ギャラリーで複数の展示を実施
2024年 京都 法然院で展示を予定