中村 千鶴子 | Chizuko Nakamura

『冬のスケッチ』

  • 会期:2023年12月15日(金)~12月27日(水)
  • 時間:11:00~18:00
  • 休館:日曜日
    • (注)状況により会期・開催時間が変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。
    • (注)会期中、エプソンスクエア丸の内施設内で音を伴うイベントを開催することがございます。あらかじめご了承ください。
    • (注)出展作家不在の際、当館で作家への贈り物や祝花等のお預かりはいたしかねます。

この度、エプサイトギャラリーは中村 千鶴子 写真展『冬のスケッチ』を開催いたします。
本作は、エプサイトギャラリー2023年度公募展応募作品から選出されました。

▶ 作品紹介
『冬のスケッチ』


雪の日は不思議だ。雪は色あせた古いものたちをまるで狙うかのように光を反射させる。長い年月この町の風景を支えてきたものたちは鮮やかに蘇る。
また1軒古い家屋が解体された。町の更新がどんどん加速する。あちこちにぽっかりと空いた空間から、この町を流れた過去の時間を垣間見る。
人々は入れ替わり立ち替わりこの町に住まい、それぞれの物語を演じては去っていく。いつ誰がどこでどんな物語を演じたのか、すべては静かに消えていく。何年も何年もの風化の蓄積があって今がある。
いつの時代のどこに生まれるか誰も選ぶことはできない。どんな生き方をすればよかったのか。こんな雪の日には、心の中の風景と静かに向き合うことになる。

中村 千鶴子

▶ 選考委員コメント

鈴木 理策氏(写真家)
古い家が取り壊され、空き地になったことで、隣の家の壁面にその痕跡が残るさまを記録した作品。そうした光景は日本各地で増えつつあるが、本作では、それを降雪時に撮ったことで、地面が整理されて壁面の様子が際立って見える点が面白い。作中、降雪中のものと降雪後のものが混在している点は、撮り方のルールの面で評価の分かれるところだが、降雪中のものも情緒的な印象や臨場感が感じられて悪くない。丁寧な仕上げからは、作品を大切に思う気持ちが伝わってくる。

本尾 久子氏(インディペンデント・キュレーター)
ピュアな作風で心が洗われたように感じ、素直に撮っているのが伝わってきて好感を持った。無意識的かもしれないが、作品に作者の感受性が反映されて、物語性を感じる。耳を澄ましたくなるような静かな写真だが、伝わってくるものの幅が広い。
展示では、1枚1枚を集中してじっくりと鑑賞できるように、適度な間隔を空けつつ淡々と並べるという作者のプランは適切で、私も同意見である。

エプサイトギャラリー公募展
選考委員とエプサイトが協議の上、応募作品の中から優れた作品を選出し、開催する展覧会です。

中村 千鶴子

中村 千鶴子 | なかむら ちずこ

岩手県久慈市生まれ。北海道大学卒業。岩手県公立学校勤務。
1993年~1996年モスクワ日本人学校派遣。
2020年東京綜合写真専門学校卒業。
2023年第三回「ふげん社写真賞」準グランプリ受賞。

2021年5月 個展「潮鳴りは空に響もす」MUSÉE F(東京)
2021年8月 個展「潮鳴りは空に響もす」Gallery彩園子(盛岡)
2022年2月 個展「断崖に響く」アイデムフォトギャラリー「シリウス」(東京)
2023年5月 個展「断崖に響く」ニコンサロン(東京)