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エプサイト
『WALL ENDINGS』
この度、エプサイトギャラリーはギャリー・マクラウド 写真展『WALL ENDINGS』を開催いたします。
本作は、エプサイトギャラリー2024年度公募展応募作品から選出されました。
▶ 作品紹介
『WALL ENDINGS』
東北地方太平洋沖地震と津波に対応して建設された、日本の東北沿岸にある高いコンクリート製の堤防は、環境保護論者や地域社会の間で論争を呼んでいます。複数ある堤防の、高さ、デザイン、築年数、目的はさまざまでした。また、堤防の末端が隆起した土地(または壁同士)と交差する場合もあります。岩手県、宮城県、福島県、茨城県で撮影されたこれらの写真は、アイデア(野心、気遣い、美学、利益)と事実(予算、機能、岩石)が調和しなければならない「ノンプレイス」としての壁の末端を写しています。壁と壁、土地と土地が接するように配置された各写真は、壁と土地の両者を押しやり、その間にあるものに注目させました。自身の普段のアプローチとは逆に、現代写真の複雑なイメージの流れに抵抗し、末端をストレートに見せる必要性を感じました。
ギャリー・マクラウド
▶ 選考委員コメント
鈴木 理策氏(写真家)
人工的なものと自然が接する境界を、かなりの労力により集めた作品だ。撮り方が丁寧で、構図も安定している。撮影者本人が、この場所に立ち会っていることも伝わってくるし、記録としてきちんと撮影されており、バランスの良い作品だ。ただし、コレクション的な手法が強いので、シンプルな展示では見やすくなり過ぎてしまう。そこで、展示の際には、撮影地の情報に加え、撮影者本人の思い出などを含めたコメントを添えると、本作をより深く楽しめるのではないかと思う。
本尾 久子氏(インディペンデント・キュレーター)
美しいというには構図の不安定さに惑わされ、記録と呼ぶには写真家の視点がきわだっている。壁の始まり(終わり)を注視しているため全貌がわからないことで、見えていない部分を想像させられる。知的な裏付けがあり景観の不調和に向けられた疑念を感じると同時に、作者の哀しみに打たれる。見続けていると葛藤や混乱が生まれてくる。そういった心の揺動の原因や意味を考えさせられるところが、本作の凄みなのだと思う。展示では、着目した部分の連なりとプリント1点1点のインパクトの両方を生かせたらと思う。
エプサイトギャラリー公募展
選考委員とエプサイトが協議の上、応募作品の中から優れた作品を選出し、開催する展覧会です。
1979年生まれ 筑波大学芸術系助教。
ビジュアルデザイン領域にて、フォトメディアを教えている。
2016年 ロンドン芸術大学 写真 博士号
2009年 ロンドン芸術大学 デジタル芸術 修士号
研究助成
2022〜2024年
公益財団法人DNP文化振興財団 グラフィック文化に関する学術研究助成
2022〜2026年
日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(KAKEN)/若手研究
2019〜2022年
日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(KAKEN)/研究活動スタート支援
HP http://www.garymcleod.co.uk
Blog https://loadinglandscapes.wordpress.com/
Instagram https://www.instagram.com/garymcleodphoto/