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エプサイト
『境界のない余白 / Margin with no borders』
この度、エプサイトギャラリーはダニー・モリオカ 写真展『境界のない余白 / Margin with no borders』を開催いたします。
本作は、エプサイトギャラリー2024年度公募展応募作品から選出されました。
▶ 作品紹介
『境界のない余白 / Margin with no borders』
京都大学吉田寮。日本最古の学生自治寮。一人ひとりの独立した個性同士が緩くつながり多様な価値観が共生する絶妙な距離感と配慮が暗黙のうちに保たれている。
ダニー・モリオカは2017年からここに通い続けている。何度も宿泊してここの暮らしの一端を丁寧に写真におさめていった。寮に暮らす寮生と寮に集うさまざまな人たちとの対話は彼に多くの気づきをもたらした。自分と他者との関係性や内部と外部を隔てているものが曖昧なこと、その余白と境界がはっきりしない間合いは、今まで感じたことのない心地よさだったと言う。
人や自然のつながりを失いつつある現代社会は、コロナ禍で日常生活での交流さえはばかられることが顕著となった。ここは便利さや快適さを拒否して存在しているように見えるが、それは原初的な人と人とのつながりを対話によって維持していく未来の姿なのかもしれない。
ダニー・モリオカ
▶ 選考委員コメント
鈴木 理策氏(写真家)
この場所の光がうまく表現されている点が最大の魅力。なかでも、部屋の所々に差している光が印象的だ。また、雑然とした場所を意識的にフレームから外し、のんびりとした日常を過ごす人々をとらえることで、作品全体にゆっくりとした時間が流れているかのように仕上がっているのも面白い。展示では、見やすくなり過ぎないよう、導入部をさまざまなサイズのプリントで構成すると効果的だと感じる。その上で、始まりと終わりをどのようにまとめるかが、ポイントになるだろう。
本尾 久子氏(インディペンデント・キュレーター)
ある場所に惹かれ、仲間を作るほどに浸り込みながら、撮影している様子がうかがわれる。飾りない内情が写しとられ、過去が蓄積する建造物で暮らす若者たちの現在が、生き生きととらえられている。包容力に裏打ちされた心地良い力強さが感じられ、その点は、ほかの作品にはない魅力だ。展示の際は、作品の高さや距離などを意識しすぎず自由に配置して、見る人が写真を追いかけて行くような構成にできたら面白いと思う。サイズも、写真が大判プリントに耐える力を持っているので、自由に設定できると思う。
エプサイトギャラリー公募展
選考委員とエプサイトが協議の上、応募作品の中から優れた作品を選出し、開催する展覧会です。
三重県生まれ 京都芸術大学芸術学部美術科写真コース通信教育部卒業
個人と社会との関係性や共同体と居場所をおもなテーマとして撮影と作品制作を続けている。
展示歴
2023 個展「HANAKAGE 竹成五百羅漢物語」
パラミタミュージアム・小ギャラリー(三重)
2020 個展「Margin with no borders」The Sessions(名古屋)
2019 詩と写真「走る鶏の群れ」京大吉田寮食堂(京都)
2017 三人展「Teens Forever」ワキタギャラリー(名古屋)
2017 個展「あの日あの時あの場所で」みゆきカメラギャラリー(愛知)
2016 個展「cheerfuldays」キヤノンギャラリー品川/福岡
2014 第3回キヤノンフォトグラファーズセッションファイナリスト