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エプサイトギャラリー公募展・epSITE Gallery Award
フジモリメグミ 写真展 「aroundscape」
エプサイトギャラリーでは、2019年11月1日から2020年10月1日までの期間(注)に開催された公募展の中から最も優れた展覧会として
フジモリメグミ 写真展 「aroundscape」を「epSITE Exhibition Award」として選出いたしました。
1986年 東京生まれ / 日本写真芸術専門学校卒
2011年 ワンダーシード2011入選
2011年 petit geisai#15 準グランプリ
2013年 TAP Gallery所属
2015年 「hera」新宿/大阪ニコンサロン
2017年 ユカイハンズパブリッシングより写真集「apollon」を出版
2018年 「kairos」銀座/大阪ニコンサロン
他展示会多数
日常的な風景を作者の独自な視点で捉えた、普遍的な意味でモダンな作品。
作者自身が心地よく感じ、ここだと思う場所で立ち止まって“撮らされた写真”、あるいは、計算なく撮らざるを得なかった写真なのだろうと思う。
その一方で展示は計算し尽くされていて、作品を見る側の意識が十分に考えられている。展示のサイズ感や距離感、あるいは見る人が移動する距離感なども、(感覚的にではあっても)計算しているのだと思う。その結果として、それぞれの写真を均質な展示として見せるといったことに繋がっていて、撮影から展示まで含めて、総合的な力を持った作家だと思う。自らの写真の良さを的確に理解していて、次作も楽しみな作家だ。
何か特別なことが起こっている訳ではなく、日常の見過ごしがちな風景を坦々と捉えている。いわゆるクライマックス的なシーンはないのにずっと見続けることができるのは、作者にしか気づくことができない世界の断片を丁寧に拾い上げ、それを1枚1枚の作品に落とし込んで視覚化する力があるからだ。1点1点の写真のクオリティに加えて、見せ方の工夫も必要な作品なのだが、統一感のあるフォーマットに落とし込んだことで、作品を見るべき適切な空間ができあがっていた。作者の個性ともいえる世界観がしっかりとコントロールされ、写真のセレクトも的確かつ会場の広さに合った枚数。撮影から展示まで、作者の眼差しそのものが体現された、記憶に残る作品展示だ。
全体としては、各々見せたい写真が明確かつ個性的で良かったと思う。ただ、フジモリさん以外の写真展は、見せたい写真を数多く展示するといった方向性の展示となっていた点が気になった。結果として、全体の写真サイズが小さめになったり、不用意にサイズの大小がついたりしていた。意図して作品に大小をつけるケースはあると思うが、よほど考え抜いた企画でない限り、写真を見る側は作品の強弱として捉えてしまいがち。多くの場合、点数を削ぎ落して核となる写真、見せたい写真に絞るほうが伝わりやすくなるので、空間に合わせたセレクトの重要性を考えたい。撮った写真を“残酷に切り捨てる”ほど厳密に選べれば、作者の思いの多くが伝わって、さらに優れた展示になるはずだ。
作家ごとの作風が大きく異なり、多様性もあって、トータルではそれぞれに見応えのある展示だったと思う。
一方で、前半はメインで写真を大きく、後半はサブで小さな写真を数多く、といった展示がパターンのようになりがちな点が(今回に限らず、よく見られる展示パターンではあるが)気になった。必ずしも大きさを揃える必要はないと思うが、展示のどこから見ても統一感があるもののほうが、全体として強さのある展示にでき、展示空間全体の質も高まって見えるはずだ。“量を展示することの充実感”にとらわれず、今一度、作品を見る側の視点に立って、展示する写真1枚1枚の良さを引き出せる展示枚数やサイズ、展示方法、展示空間とのバランスなどを意識してみてほしい。
それぞれの作品性を追求して、さらなる飛躍をされることを期待しています。各出展作家の今後にぜひご注目ください。