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2024年度エプサイトギャラリーの公募展開催作品は以下5作品に決定いたしました。
また、公募展に開催が決定した作品の中で最も優れた作品として、南川 恵利さんの『今日も』を第5回 epSITE Gallery Awardに決定いたしました。
2024年度 公募展開催作品(50音順)
荒井 道彦 | 荒井道彦コラージュ写真展『My World』 |
---|---|
Gary McLeod(ギャリー・マクラウド) | 『WALL ENDINGS』 |
丸山 秀人 | 『NOCTURNAL ANIMALS』 |
南川 恵利 | 『今日も』 |
ダニー・モリオカ | 『境界のない余白 / Margin with no borders』 |
第5回 epSITE Gallery Award
南川 恵利 『今日も』
選考委員
鈴木 理策氏(写真家)
本尾 久子氏(インディペンデント・キュレーター)
第5回 epSITE Gallery Award
南川 恵利『今日も』
南川 恵利 Eri Minamikawa
1985年、東京生まれ。2008年、慶應義塾大学経済学部卒業。
アパレルメーカーで営業やMD、その後はIT企業のweb広告コンサルタントを経て、現在は複数企業のコーポレート業務に従事している。
2022年、東京綜合写真専門学校入学、仕事を続けながら在学中。
2022年7月 個展「めくる」アイデムフォトギャラリー[シリウス](東京)
HP:https://www.eriminamikawa.com/
Instagram:@eri_minamikawa
選考委員コメント
■鈴木 理策氏(写真家)
本作は、作者が自らを客観視する道具として写真を必要だと感じ、切羽詰まった現状を撮影してみたという、実験的な行為の結果に生まれた写真だ。その切実さが他の作品に勝っていたと思う。本作がカラー作品であったなら、撮っている時間の生々しさが如実に表れていただろうが、モノクロであることで、少し遠くの過去に感じられ、作者と写真の密接な関わりを作品として成立させることに成功している。近年は過剰な色や補正で仕上げた写真が増えているように感じられるが、本作のストレートな表現は、応募作品全体を見渡したときに目を引くものであった。
■本尾 久子氏(インディペンデント・キュレーター)
感情にダイレクトに訴えかけてくる。愛おしさと切なさが漂いだしてきて、こちらの思いと共振する。写真は、単に上手い・下手では評価できないと改めて感じさせられた。率直なアプローチは、作者の考える理想像のようなものを目指したり、脳内のイメージを追求したりすることから解放されている。言い換えると、崖っぷちに追いやられてからの巻き返しともいえる私的な行為が写真と密接に結びついている。それだけ作者にとっての本作が、切実であり重要であることがひしひしと伝わってくる。
第5回「epSITE Gallery Award」受賞
南川 恵利氏 インタビュー
南川恵利さんは、生まれてくる我が子の成長の記録を撮りたいと、妊娠中に初めて一眼レフカメラを手にした。
受賞作品は自身と家族が生活する様子をカメラのインターバル機能を使って撮影したもの。自らを客観視するために写真を使い、日常を撮影するという実験的な行為の結果生み出された。切羽詰まった作者の思いが切実に伝わる作品だ。ここでは、本作が生まれた背景や、展示の構想などについて話をうかがった。
カメラのインターバル機能を使い、自身と家族が生活する様子を撮影
——写真を始めたきっかけを教えてください。
南川さん:子供を撮りたいと、妊娠中に初めてミラーレス一眼カメラを購入しました。成長記録を撮りながら、独学で写真の技術を学びました。
カメラの中に写る我が子の姿と自身の幼い頃の記憶が重なる瞬間があることに気付き、作品としてまとめ2022年に個展を開催しました。表現することの難しさを痛感したと同時に、写真での表現活動を続けたいと思い、現在は東京綜合写真専門学校に在学し勉強しています。
——今回の作品について、内容はどういったものでしょう?
南川さん:2022年4〜12月、自宅に三脚をたて、カメラのインターバル機能を使い、私自身と家族が生活する様子を撮影しました。撮影した写真を、日付を関係なく24時間の時間軸に並べ直し、1日を再構成した作品です。
結婚し妻という役割が加わり、子供が生まれ母という役割が加わりました。自宅で過ごす時間が長くなり社会との繋がりが希薄に感じられ、母の役割をこなす私は自身のアイデンティティを失ったように感じていました。「人のアイデンティティは周辺の環境や、一緒にいる時間の長い人間によって左右され、形成される」と考え、一番長い時間一緒にいる家族と共に過ごす自宅で、自分自身を客観視し、再認識する目的からこのプロジェクトを始めました。
自分自身を客観視し、再認識する目的から始めたプロジェクト
——撮影で苦労したところ、工夫したところはありますか?
南川さん:夫は写ることを嫌がり、子供は逆にカメラを意識してしまい、いつも通りの生活風景が撮れませんでした。数週間もすると子供はカメラを意識することもなくなり、夫も納得してくれ、自宅にカメラ+三脚が構えられていることが当たり前になりました。
どの写真を前後に並べ、1日を再構成するのが良いか何度も並べ直しながら考えました。良い写真でも撮影時間的に合わない写真はセレクトから外したりと、セレクトに苦労しました。
——このテーマを撮り続けていて、変化や気づいたことはありますか?
南川さん:カメラをセットし、撮るという行為。そして、客観的に撮られた自身の姿を確認し、その時間に私はこう在ったのだと認識する作業。その二つの工程が重要だったと感じています。
現在も子育てに纏わる悩みは尽きませんが、自身を見失うような喪失感や焦燥感に悩まされることは減り、少しずつ子供を産む前の自分の感覚を取り戻している体感があります。この変化は我が子の成長、私自身の環境の変化、夫婦の努力などが相互に作用しあった結果なのですが、自身を客観視し、認識するという制作作業が土台になければ起こらなかった変化、もしくは変化するまでにもっと時間を要したのではないかと思っています。
写真を撮り作品にまとめていく行為は、社会と繋がる
——南川さんにとって写真とは?
南川さん:私が写真に撮っているものは個人の日常的な光景で、等身大のとても小さな世界です。私はこのようなミクロな世界が集まったものが社会だと考えています。少し大袈裟かもしれませんが、私が写真を撮り作品にまとめていく行為は社会に繋がることだと思っています。
これからも母として、女性として感じたことを、写真に撮り、観察することを繰り返し作品をつくり続けていきたいです。
——今回の展示の構想を教えてください。
南川さん:展示空間を一周すると、1日の流れを追えるような構成を考えています。
写真を40〜50枚と多く展示したいのでどのような間隔で並べるのが良いのか、また、撮影時間をどのように入れ込むのか、など開催時期までに試作をしながら決めたいと思っています。
会期:2024年5月10日(金)~5月22日(水)
時間:11:00~18:00
休館:日曜日