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エプサイトギャラリー公募展・epSITE Gallery Award
更紗の豪華で美しい感じと、工場の中の空間と、そこにいる労働者の人たちというのが、嫌味なく混然として面白い。全体に赤がとても美しく、色彩の印象が強い。気を付けるべきは、見た人の印象がそれだけにならないようにというところ。作者が感じた、働く男たちのかっこよさや彼らへの共感がきちんと伝わるように、写真のセレクトや展示構成を工夫することが必要だろう。
バスや電車を使うより、人との出会いが多いはず。そう考えた吉田亮人は、自転車でインドを巡った。サンガネールという町で偶然見つけた小さな作業場。ふらりと足を踏み入れると、そこは目もくらむような鮮烈な赤の世界。そして職人たちの生きる場所だった。
「高校生の頃にはヒッチハイクの旅をしましたし、大学時代にも国内のいろんな場所を回りました。知らないところへ行ったり、人と出会うことが昔から好きなんです。大学を出た後、小学校の教員をやっていたんですけど、やっぱり海外へ行ってみたい、いろんな人と出会ってみたいという気持ちがありました。さらに写真に興味が沸いてきたんです。それで思い切って教員を辞めました。我ながら無謀だと思います(笑)。ですから写真も独学ですし、写真展もこれが初めてなんです。
今回の写真は、去年インドを訪れたときに出会った更紗工場でのものです。旅の途中、長屋みたいな建物を見つけたので、ふらっと入ってみたら、10メートルくらいある真っ赤な布が波みたいに揺れていたんですよ。くらくらするような美しさでした。
そこには20人くらい男の人がいて、仕事の合間のひと休み、という様子でした。仕事を見せてほしいと頼んだら、気さくに応じてくれました。その前に、結婚しているのか、こんなの(自転車)で来たのか、などとさんざん質問攻めにあいましたけどね(笑)。
そんな彼らも仕事を始めると、途端に真剣な顔になるんです。大きな布に更紗独特の模様を染め付けていくのですが、大きな版を持ち上げては下ろしを繰り返すその仕事は、重労働である上に繊細で、大変な作業なのだと素人の僕にもわかりました。
額に汗を浮かべて、来る日も来る日も、黙々と彼らはこれを続けているわけです。一人の男性に“仕事は楽しいですか”って聞いてみたんです。そしたら“楽しいかどうかなんて考えたことない。神が与えてくれた仕事だから”って、僕の目を見てはっきりそう答えました。そのときの彼の態度に、僕は威厳すら感じました。
カースト制度の名残ある社会で生きる彼らには、僕ら日本人とは違う種類の“働くことに対する誇り”があるんだと思います。憧れの職業に就くとか、夢を持って仕事をするといった類のものとは異なる誇りですね。自分が生きていくために与えられたものをそのままに受け入れる、ある種の達観のようなものかもしれません。
彼らが休憩中に見せる穏やかで明るい表情も作業中の真剣な眼差しも、きらきらしていてかっこよく見える。それはこの潔さに裏付けられていたんじゃないかと。それは、ファンの風になびいて揺れる更紗の鮮やかな美しさと、どこか重なるような気もします。
今回の写真展では、それを皆さんにお伝えできたらと考えています。
初めての大判プリント制作で少し心配もありますが、プライベートラボをお借りして、頑張ってみたいと思います!」