- 製品情報
-
- 個人・家庭向けプリンター
<用途から選ぶ>
- <カテゴリーから選ぶ>
- 法人・業務向けプリンター・複合機
- 産業向けプリンター・デジタル印刷機
- 消耗品
- 産業向け製品
- <インクジェットソリューション>
- 個人・家庭向けプリンター
エプサイトギャラリー公募展・epSITE Gallery Award
丁寧に撮られていて、一枚一枚がきれいだ。優しい人が撮った写真、という印象がある。刺繍やタペストリーに通じるような精緻さがこの写真のよさなので、暗部をつぶさず中間もきれいに出したプリントに仕上げて展示してほしい。
「初めて屋久島を訪れたのは、1993年の12月でした。なんとなく、導かれるように行ったんです。前日に降った雪と複雑に這う木の根に何度か足をとられながら、縄文杉にたどり着きました。霧の中から現れた縄文杉の悠然とした姿は、今でも鮮明に思い出すことができます。近くには巨大な倒木があり、小さな実生が生えていて、スポットライトのようにひと筋の光が差していました。美しくて、神々しくて、息を呑みましたね。森の生命力を感じる景色でした。
もうすっかり屋久島に魅せられた私は、そのあと何度も通いました。屋久島には、縄文杉のほかにも立派な巨木がたくさんありますし、生い茂った草や流れる水がつくる景色にも独特な面白さがあります。
屋久島の森を歩いていると、ふと、目に見えない存在、何かの気配のようなものを感じることがあるんです。それは恐ろしいものではなく、あたたかいものです。感じると、ほっと安心するような、見えない力とでもいいますか……。それを写真に込めたくて、私はシャッターを押し続けているような気がします。
撮影は6×4.5判と4×5判で行っています。森の気配を写し込むには、どうしても中判以上のフォーマットが必要だと思うからです。
撮影はすべてポジフィルムを使っていて、当初はラボに出してカラープリントに仕上げていました。しかしカラーでは『何か違う』という印象がぬぐえないでいたんです。
そんなときにモノクロ表現に出会い、『これだ』と感じました。そこからはモノクロについての猛勉強です。暗室作業も何度もやりましたが、この屋久島のシリーズについては、デジタルデータ化してインクジェットプリントにするのが一番しっくりきました。
今の制作スタイルはテーマに合っているだけでなく、撮影、現像、プリントというすべての工程を自分でコントロールできるのが楽しく、やりがいがあります。
銀塩プリントによる制作も、ほかの作品で続けています。銀塩の暗室作業で学んだことがインクジェットプリントをつくるのに応用できますし、もちろんその逆もあります。これからも銀塩とデジタルの両方を続けていきたいと思います。
今回の写真展では、初めてのサイズに挑戦します。そうなると、画像調整についてもっと勉強しなくちゃいけませんね。パソコン作業は苦手なんですけど(笑)、頑張ります」