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エプサイトギャラリー公募展・epSITE Gallery Award
生活のディテールが集まっていて、見飽きない。つい長居をしてしまう展示になりそう。小さな世界を撮っているが、広がりを感じる。撮影者と被写体になった人との距離感、写真と言葉の距離感がちょうどいい。撮影者のスタンスは、思い込みでなく、独りよがりでもなく、感情に流されてもいない。撮り方にも嫌みがなく、いろんな光が混ざっているが全体として自然な雰囲気で、それぞれの写真が美しい。
「いろいろな人のキッチンを撮りました。働く女性も、バツイチで独身という人も、ずっと専業主婦という人もいるし、年齢もさまざまで、20代前半の若い子から80代の方までいます。
台所を撮らせてください、と友人やその知人などにお願いしてうかがうんですけど、行くときれいに片付けている方がほとんどです。それでも、何かその人らしい部分が絶対にあるんですよね。どんな道具や日用品を使っているか、それをどんなふうに置いているかなど、それはもう、あらゆるところに。そしてそれが、その人の生き方や考え方などを反映していると思います。
台所という場所は、考えたら不思議な場所です。危険なものは多いし、意外と力仕事だし、実は危ないところなんですよね。誰かを傷つける道具になりえるものがいっぱいある中で、女性たちは日々、大切な人のために、あるいは自分が生きるために食事を用意する。そういう時間が堆積していった結果が、この空間なんです。
当初は、同じ時間帯、同じ画角で統一して撮影していました。
でも、生活スタイルはそれぞれ違います。夜の1時間しか台所に立たない人もいれば、台所が生活の中心という人もいる。ですから、時間帯も撮り方もその人と台所に合わせて変えました。
できるだけ自然光で撮っています。
この撮影をしていると、その人の印象と実際の台所の雰囲気が違っていて驚くことがよくあります。例えば、いつも派手な服装をしている若い女の子のときのことです。ピンク色のキッチン用品などが台所を占拠している様子を想像していたんですが、実際は装飾的なところがまったくない地味な台所でした。でもそれ自体が、彼女の深みであるような気がします。
この撮影をしていく中でしみじみ思うのは、“おばあちゃんにはかなわない”ということ。ご年配の方の台所は、若い人のよりもきれいで、システマチックにまとまっているんです。台所を育ててきた時間が長いからなんでしょうね。使い込まれた道具やシンクのシミなどは、彼女の歴史の重さそのものです。
そもそもは『女性へのエールになれば』と思って始めた作品ですが、やりながら私のほうが勉強させてもらっていると感じています。撮影のたびに新しい女性観を発見するような思いです。
これからも撮影を続けて、100人分の台所のポートレートを撮りたいと思っています」