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エプサイトギャラリー公募展・epSITE Gallery Award
会期:2015年7月24日~8月20日 日曜休館 ※8月13日~8月16日は夏期休館 展覧会情報
矢内靖史は福島県内の新聞社で働く報道カメラマン。報道の第一線で活動しつつ、同時に県内の自然の風物を撮り続けてきた。そして、カエルに対して強い愛着がある。東日本大震災と福島第一原発事故の後はいっそう、報道写真だけでは描けない思いを、カエルの目を通して表現したいという気持ちが強まったと言う。
©Yasushi Yanai
「15年ほど、福島の生き物を撮り続け、紙面に風物詩的なコラムを連載しています。草花だけでなく、野鳥や動物、虫などを、昆虫写真で有名な栗林慧さんの『虫の目レンズ』(超深度レンズ)を真似て自作して撮影し、新聞で連載していたことも。
どういうわけか、カエルの撮影だけは飽きることがありません。だんだんカエルの気持ちになってきたのかもしれませんね。カエルを撮っていると幸せな気持ちになります。
2011年の震災で仕事は一変しました。原発関連や被災地の取材も続けていますが、次第に落ち着いてくると、ほかの生き物のことも気になるようになりました。被害を受けたのは人間だけではないと。同時に、仕事の報道写真だけで福島の今を伝えることが
できるのかと悩みました。だからこそ、個人的な視点でも撮影したくなりました。
カエルは水辺や地べたに裸で暮らしていて、土壌や水質の汚染など環境の変化にも敏感なデリケートな生き物だと思います。でも同時に、その顔つきに反骨精神も感じるのです。
福島出身の詩人、草野心平の詩集『第百階級』は全編でカエルが擬人化されていますが、ここに登場するカエルはたくましい。ヘビに食われてもそれがどうした、痛いだけじゃないか、と。そんな気持ちが、カエルにも私にもあるのでしょうね。
青い背景の写真(3ページに掲載)は除染した土を入れる土嚢(どのう)に貼り付いているカエルです。汚染された土のそばで生きる姿を写すことで、社会的な意味合いを特別に描きたいわけではない。けれど、不思議な静けさとたくましさも感じられませんか。
震災・原発事故の影響で、今も12万人の避難者がいるともいわれています。タイトルの『かえるふくしま』には、“福島に帰ろう”“以前の姿に戻ってほしい”“福島を変えたい”という気持ちと、カエルに感じる私の思いを投影しました。
いろいろな見方や感じ方ができる写真展にしたいと思っています」
©Yasushi Yanai
矢内 靖史 Yasushi Yanai 1964年、福島県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真応用科卒業。1992年福島民友新聞社入社。現在、編集局報道部写真課長。2006年「ふくしま虫の目探検」、2009年「ふくしま里山物語」で東北写真記者協会賞受賞。 福島県内で写真展多数。近年の写真展に2013年「棕櫚の日曜日」(銀座ニコンサロン)。著書に『ふくしま虫の目探検』(福島民友新聞社)ほか。 |
脚のクローズアップや卵のカットなど、カエルをこのように見たことがなかったという驚きがある。人間や周辺の環境とカエルとの関係が垣間見えるのも面白い。「ふくしま」という文脈を除いてみても、カエルが日々生きていると いう強さが感じられる。一般的なネイチャーフォトとは違い、「鳥獣戯画」のように人間を重ねたコミカルさも魅力になっている。
2014年11月選考