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エプサイトギャラリー公募展・epSITE Gallery Award
会期:2016年5月13日~6月2日 日曜休館 展覧会情報
身も凍る寒さの中、じっとその時を待つ。極地での撮影は過酷だ。だが香川美穂の撮影行はすでに12 回に及ぶ。それほどに彼女を駆り立てるものとはいったい何なのだろう。
©Miho Kagawa
「昔からとにかく旅が好きで、お金を貯めてはあちこちに行っていました。極地に興味を持ったのは、2000年に南米を訪れて、スケールの大きな自然に触れたことがきっかけです。幅が何キロもある氷河や滝は“半端なかった”。私の中の『自然』という概念が覆されるような驚きでした。それでさらに先の方へ行ってみたくなったんです。
2005年に北米を横断して、2006年に初めて南極へ行き、コウテイペンギンを見てすっかり魅了されてしまいました。とにかく、かわいくて。その後は、2008年にスヴァールバル諸島、グリーンランド、アイスランドを巡り、2010年にシロクマを見にカナダのチャーチルへ……という感じで、2014年の夏までに12回行きました。
最初はうまく撮れませんでしたね。写真の勉強といえばデザインの学校に通っていたときくらい。動物の撮影については何も知りません。初めて北極圏の冬にシロクマを撮影したときなんて大変でした。気温がマイナス30度で10メートルの風が吹くと、体感はマイナス40度になるんです。カメラも凍りついてしまうような世界。
とにかく寒いし、バッテリーは10分ともたないし、レンズは焦点距離が足りない。撮れたのは失敗写真ばかりでした。
改めて2012年に機材も装備もそろえて行ったんですが、今度はシロクマに出会うことができませんでした。その後さらに2年通って、やっと撮影することができました。
極地の撮影は確かに大変です。でも、動物たちを見ているときの私は“楽しい”しかないんです。シャッターを切るときもあまり考えません。ただただうれしくて、目の前の光景に夢中になっているだけです。
私たち人間がすごい装備じゃないと行けないようなところで、動物たちは一生懸命生きている。厳しい環境になんとか体を適応させて、ぎりぎりのところで命をつないでいる。それを目の当たりにすると、自分の存在がちっぽけで無力だと感じるのと同時に、動物たちに尊敬の念を抱きます。
今回、プリントには地元・徳島の阿波和紙を使おうと思っています。ふわふわした柔らかい印象が出せるかなと。彼らの可愛らしさ、優しさ、温かさが伝わるような展示にしたいです」
©Miho Kagawa
かがわ みほ Miho Kagawa 徳島県生まれ。武蔵野女子大学文学部英米文学科、桑沢デザイン研究所夜間部デザイン科卒業。旅行と写真をライフワークとし、世界各地の自 然や動物を撮影している。昨年11月に『北極スマイル・南極スマイル』(学研プラス)を刊行。 |
動物を撮ったものはたくさんあるが、これはレベルが高い。まめに通ってよく取材しているのがわかるし、技術の確かさも感じる。特にペンギンが面白く、彼らのフォトジェニックさに改めて驚く。中でも、場所との関係がわかるような写真がいい。また、遠距離・中距離・近距離といろいろに撮っているところもいい。こうした動物の写真は光沢紙にプリントされていることが多いが、これは和紙を用いているのが新鮮だ。品のいい作品になっている。
2015年11月選考