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エプソンのマイクロコントローラ(MCU)に内蔵している表示ドライバには、LCDドライバ、LEDドライバ、EPDドライバの3種類のドライバが存在します。LCDドライバ、LEDドライバ、EPDドライバの特長や概要について解説します。
マイコンの基礎と選び方(評価の仕方)・比較フォーマット
マイコンに関して下記のようなPDF資料がダウンロードできます。マイコン選定などにご活用ください。
LCD(Liquid Crystal Display)は、液晶をガラス板に挟み込み、その両極から電位をかけられるように配線したものです。液晶は液体でありながら結晶構造をもっている物質で、液晶に電圧をかけると、その分子構造が変化して、光を遮光あるいは、透過させることができます。そのため、液晶に対する電圧を制御することで、表示体として応用することができます。
LCDパネル例
LCDの消費電流は低く、デジタルウォッチをはじめ電池で動作する携帯機器の表示に広く採用されてきました。いまでは安物のイメージがあるモノクロのLCDパネルですが、1970年代に発売されたデジタルウォッチはモノクロLCDパネルを搭載し、これまで針式だった時刻表示から、数字表示を可能にしました。当時としては革新的なウォッチで、とても高価でした。
単純マトリックス方式のLCDパネルの場合、各液晶セグメント両極の信号線がマトリックス状に配線されており、本端子を制御することにより表示を行います。また、LCDドライバ内蔵マイコンのSEG端子、COM端子をLCDパネルに直接接続します。
LCDドライバ内蔵マイコンによるLCDパネル駆動回路例
SEG端子とCOM端子は各液晶セグメントの両極に接続されているため、この電位差がLCDパネルの表示閾値を超えると、LCDの各セグメントが点灯します。液晶は電気的にみるとコンデンサのような特性があるため、電圧が印加されていないタイミングがあっても、表示は瞬時には消えません。これを応用し、各液晶セグメントに対して、瞬間的な電圧の印加を繰り返し、表示を実現します。
また、液晶に同一方向の電圧をかけ続けると液晶の劣化が進むので、周期的にその印加極性を反転させています。
LCDドライバによる駆動波形例(1/4デューティ、1/3バイアス)
エプソンのS1C17W/Mシリーズ、S1C31Wシリーズなどでは、LCDドライバを搭載し、容易にLCDを制御することが可能です。
エプソンのMCU製品(S1C31 FamilyとS1C17 Family)の概要資料をダウンロード
LED(Light Emitting Diode)はダイオードの一種で、順方向に電圧を加えた場合に発光する半導体素子です。一般的には、低い電力で高輝度の発光が可能です。また、LEDを用いて数字や一部のアルファベットを表現するために、8字状に配置した7セグメントタイプのLEDなどもあります。
赤色LED例
7セグメントLED例
LEDの利点は、視認性の高さです。LCDの場合は、自然光、照明、バックライトなどを必要としますが、LEDは自発光しますので、暗闇でもはっきりと認識できます。ただし、照明器具としてのLEDは消費電流が低いと言えますが、携帯機器など電池を用いた機器ですと、LEDに流れる電流は大きく、電池寿命が課題となります。
LEDは、アノード(Anode)からカソード(Cathode)に向けて電流を流すことにより発光します。7セグメントタイプのLEDでは、各セグメント両極の信号線がマトリックス状に配線がされており、これらの信号線を制御することによりLEDを点灯させることが可能です。この駆動方式をダイナミック駆動方式と呼びます。
LEDに流れる電流は比較的大きいため、マイコンの汎用I/Oポートだけでは、駆動できない場合がほとんどです。そのような場合は、マイコン外部にトランジスタなど接続し、電流の増幅を行う必要があります。エプソンのLEDドライバ内蔵マイコンS1C17M12/M13では、外部にトランジスタを取り付けることなく、抵抗(電流制限用)だけ取り付ければ、LEDを直接、駆動することが可能になっています。
LEDドライバ内蔵マイコンによるLED駆動回路例
LEDドライバ内蔵マイコンにおいては、LEDの各端子をSEG端子とCOM端子で接続します。各LEDセグメントについては、電位差がVDDとVSS間の電位になった瞬間に電流が流れ点灯します。なお、ダイナミック駆動方式の場合、瞬間的にLEDが消灯するタイミングが発生しますが、人間の目の残像現象により、点灯し続けていると認識させることができます。但し、周期が遅くなりすぎると、ちらつきとして現れます。
LEDドライバによる駆動波形例(ダイナミック駆動方式)
エプソンのS1C17M12/M13に内蔵されたLEDドライバは、このような波形をハードウェアで生成しますので、容易にLEDを制御することが可能です。
エプソンのMCU製品(S1C31 FamilyとS1C17 Family)の概要資料をダウンロード
EPD(Electronic Paper Display)とは、紙のように薄く、多少曲げて使用することが可能な表示体です。また、一度表示を書き換えれば、電気的な制御を行わなくても、表示し続けるという特徴があります。そのため、表示体に関わる消費電流は、0 のままで表示を維持できますので、超低消費電力が求められる製品に適しています。
EPDパネル例
非常に薄く、表示を維持するために電源が不要な機器としては、高精細なドットタイプ表示であれば電子ブック、セグメントタイプ表示であれば、カードなどの表示があげられます。
EPDには、トッププレーン(TP)とバックプレーン(BP)という端子と、各セグメントに接続されているセグメント(SEG)端子により制御します。
EPDドライバ内蔵マイコンによるEPD駆動回路例
エプソンのS1C17F57/F63では、EPDドライバを搭載し、容易にEPDの表示を制御することが可能です。
マイコンの基礎と選び方(評価の仕方)・比較フォーマット
マイコンに関して下記のようなPDF資料がダウンロードできます。マイコン選定などにご活用ください。