本システムの開発は訪問診療を行う歯科医の方からのご相談がきっかけでした。平成26年4月から患者様の往診記録をケアマネージャーへ提出することが義務付けられました。中央歯科医院様では歯科医3～4名体制で介護施設を訪問し、毎月400名近くの患者様を診察されています。これまでは往診から戻った後に手書きで報告書を作成していたため、40名程度の患者に対して、2時間もの時間を費やさなければならず、深夜までの残業になっておりました。何とかこの時間を削減したいというお客様のお声がきっかけとなり、往診先でタブレットを使用し、その場で報告書が作成できたら、という思いが開発のスタートとなりました。開発当初、他社のモバイルプリンターを使ってみましたが、印刷時に毎回プリンターを検索するのに時間がかかり、さらに印刷スピードも遅く到底時間の削減にはなりませんでした。サイズも大きかったですね。

その時、登録していたEpsonPartner'sNet（エプソンパートナーズネット）からのメールマガジンでエプソン初のモバイルプリンターPX-S05発表との情報を得て「これだ！」と思い、早速機材をお借りしました。さらにEpson iPrint for Android™ インテント連携仕様書の提供を受け、当初の想定であった「タブレットから印刷ボタン1つでプリントアウトできる」ワークフローを構築できました。かつインテント連携仕様書を提供いただけたことが本システムの開発をステップアップさせてくれ、その後はスムーズに開発が進みました。

　システム導入前は、担当医が施設訪問の後、本院に戻ってから毎日20～40名分の報告書を2～3時間も掛けて手書きで作成していました。そのため単純な転記ミスがあったり、施設への報告書の提出が施設訪問の数日後になってしまうなど、本来はリアルタイムで知りたい患者の健康状態などの伝達にタイムラグが発生していました。

それが本システムの導入により、すべての報告書の入力が施設への訪問中に完了するため、報告書作成のために発生していた残業がゼロになりました。またその場で報告書を印刷し、ケアマネージャーにお渡しする事も可能になりました。更に本院からは報告書を一括で作成し、メールで配信する機能があるので、施設様側でもペーパーレス化が図れ、とても助かっています。