三浦工業株式会社様
「PaperLab」を活用した企業間パートナーシップ
「紙ンバックプロジェクト」
古紙のアップサイクルで地域貢献を目指す
取材ご対応者様:
ブランド企画室 室長 八木 宏昭 様
ブランド企画室 印刷課 係長 西森 桂三 様
ブランド企画室 印刷課 夏井 拓郎 様
導入製品
PaperLab A-8000
愛媛県松山市でボイラーや水処理機器などの製造販売を行う三浦工業。県内のパートナー企業とともに取り組んでいるのが「紙ンバックプロジェクト(カミンバックプロジェクト)」だ。きっかけは、2019年に導入した「PaperLab(ペーパーラボ)」。古紙のアップサイクルを地域貢献に生かすのが目的だという。その思いとプロジェクト内容について伺った。
導入効果
- 障がい者雇用の創出
- 印刷物の内製化によるコストダウン及びCO2排出量削減
- 持続可能な地域共生と、循環型社会の構築
当初は社内文書のリサイクルと障がい者雇用のために導入
―まずは御社のサステナビリティに対する考え方をお聞かせください。
八木氏:事業を通じて社会に貢献しようというのが基本的なスタンスです。いま世の中が脱炭素に向かって進んでいますが、弊社はクリーンエネルギーそのものを作ることはできません。あくまで主力商品であるボイラーで何ができるかを常に考えています。まずは、2030年までにエネルギーの無駄づかいを今の技術でできるだけ減らしましょうということ。そして、2050年までに、水素や電気、バイオなど、どんな新しいエネルギーが主流になっても対応できるボイラーを開発しましょうという方向で、進めています。
八木氏
―そうした中で、「PaperLab」はどのように役立っているのでしょう。
八木氏:やはりCO2の削減が大きいですね。新しい紙の製造で排出されるCO2だけでなく、弊社から廃棄業者に紙を運んでいくための輸送に関するCO2も含まれるのですから、潜在的にはかなりの量が削減されていると思います。
西森氏:あとは障がい者雇用の観点ですね。現在、印刷課のメンバーは5人で、4人が身体障がい者です。さらに雇用を増やそうと創設したのが「ミウラジョブパートナー」という特例子会社で、そちらのメンバーと一緒に運用していく目的で導入されたのが「PaperLab」です。
西森氏
―そもそもボイラーを作っている会社に、なぜ印刷課があるのでしょうか。
西森氏:ボイラー関係の取扱説明書や、それに付随するチラシ、カタログなどを作成、印刷しています。
八木氏:ボイラーは産業用の機械なので出荷台数が少ないんです。しかも、仕様によって取扱説明書の内容も違ってきますので、外部の印刷会社さんに頼むより、自社で内作したほうが小回りがきくんです。また、突然の印刷内容の変更などにも対応できます。
印刷課に導入されている「PaperLab」
―「紙ンバックプロジェクト」はどのように始まったのですか。
夏井氏:PaperLabを導入したのは設立60周年の2019年です。同時に、印刷課を中心にリサイクルプロジェクトを立ち上げました。当初は社内で出る古紙を再生し、名刺やノベルティグッズなどを作っていたのですが、ちょっと行き詰まりまして……。名刺やノベルティグッズ以外の新しい活用方法が思いつかなくなってしまったんです。
夏井氏
西森氏:そんな時に、上司の知り合いで「第一印刷株式会社」さんがあり、紙のプロの仕事を見れば、新しいアイデアや考え方も多少変わるのではと見学に行かせてもらう事になりました。
この見学がきっかけとなり、第一印刷さんと何か一緒にしましょうとなりました。
紙ンバックプロジェクトの概要 出典:紙ンバックプロジェクトHP
夏井氏:私は、規模が違い過ぎて、参考になるというよりは、ただただ圧倒されたっていう感じです。
西森氏:第一印刷さんがPaperLabで作った名刺を褒めてくれたのも嬉しかったですね。実は再生紙特有の質感が「お客様に渡しづらい」と社内で不評だったのです。なぜそうなるのか説明資料を作ったりもしたんですが、いまいち理解してもらえていなくて。でも、第一印刷さんが「独特の風合いがあってすごく良い」と言って下さったので、「自分たちがやってきたことは間違ってなかった」と自信がつきました。今は「その名刺を弊社の環境への取り組みについて話すきっかけにしてはどうですか」と社内で提案しているくらいです。
PaperLabの再生紙で作った名刺
いつしかパートナー企業との連携の中心に
―新しく何をやるかはすぐに決まったのですか。
西森氏:いえ。第一印刷さんのメンバーが集まってディスカッションしたのですが、1時間たっても全然アイデアが浮かびませんでした。ただ、ノベルティグッズや商品を作るのは違うという考えは当初からありましたので、最終的には普段我々を支えてくれている地域の方々に恩返ししようという方向で話が進みました。
―FC今治を運営している「株式会社今治.夢スポーツ」との連携はどのようないきさつでしょうか。
夏井氏:地域の子どもたちにPaperLabを使ったSDGsの出前授業をやろうということになったのですが、普段我々は学校とは全く縁のない会社なので、どこにどんな学校があるか、それこそ連絡のとり方すら、全く分からなかったんです。
八木氏:そこで、地域貢献活動に積極的で、多くの学校にネットワークを持っている株式会社今治.夢スポーツさんに、「プロジェクトの説明をし、どこかにいい学校はないですか?」と相談したのがきっかけです。弊社は株式会社今治.夢スポーツさんの教育事業の支援をしています。
―地域の子どもたちにPaperLabを使ったSDGsの出前授業を行われたそうですね。
夏井氏:そもそも私達がリサイクルについて何もわからなかったので、まずごみの分別の勉強や古紙会社に見学に行きました。
西森氏:そんなゼロからのスタートでも実現にこぎつけたのは、理解のある上司のおかげだと思っています。「とりあえずやってみればいい。やってみないとわからない。失敗したら失敗したでいいじゃないか」と声をかけてもらったことが、大きな励みになりました。
―実際の授業はいかがでしたか。
出前授業の様子 出典:紙ンバックプロジェクトHP
西森氏:ワークショップでは、明日からできる地球環境に配慮したアクションを考えてもらったのですが、子どもたちの発想がすごく柔軟で面白かったですね。温暖化防止の為にシャーペンの芯を折らないで使うとか、大人にはないアイデアが未来を変えるのかもしれないと思いました。
SDGsの理解を深める格好のツール
―プロジェクトの今後の予定と、プロジェクトを通じて得たものについて教えて下さい。
西森氏:今やっているプロジェクトはこの9月で一区切りつくのですが、ぜひまた次のプロジェクトをやりたいですし、今度は別のパートナー企業さんを含めてできたらいいなと思います。
夏井氏:三浦工業については、ボイラーの会社ぐらいにしか思ってない人がまだまだいっぱいいると思います。このプロジェクトを通じて、環境に対する取り組みも行っていることを、もっと知ってもらえるようになればと思います。
八木氏:印刷課の仕事はなかなか外に出る機会がないのですが、プロジェクトのおかげで社外の方との付き合いができ、非常にやりがいが生まれました。仕事の幅も広がったと思います。
再生紙で作ったノベルティグッズ
会合などで使う再生紙のランチョンマット。印刷課の活動を社内外にアピール
西森氏:八木がいうように、一番の成果は自分たちが成長できたことだと思います。まだ始まったばかりで、これからどのように展開していくか分かりませんが、関わっているメンバー一人ひとりが自主的に取り組み、そして成長していければ、ひとまずこのプロジェクトは成功といえるのかなと思っています。
―最後に「PaperLab」を活用する秘訣を教えて下さい。
夏井氏:やはり、営利目的ではなく、SDGsの取り組みを知ってもらうために使うのが良いのではないでしょうか。私達も導入するまで、SDGsについては全く知らなかったので、社内的に理解を深める格好のツールになると思います。
八木氏:コストの面では高いかもしれませんが、そこから広がる可能性を考えると、決して無駄ではないと思います。それを使って働く社員は生き生きとするし、社外的には自分たちがやっていることを分かりやすい形でアピールできる。使い方次第だと思います。
会社概要
三浦工業株式会社
本社 | 愛媛県松山市堀江町7番地 |
---|---|
資本金 | 95億4400万円 |
紙ンバックプロジェクト |
https://www.kaming-back.com/ |
ホームぺージ | https://www.miuraz.co.jp/ |
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