導入事例を記事でご紹介
1929年の創業以来、時代の方向性や市場ニーズを的確につかみながら、高付加価値の製品を世に送り出してきた住友理工株式会社。「あたらしい価値を創造する住友理工」のスローガンのもと、世界トップシェア(自社推定)の「自動車用防振ゴム」に代表される自動車用部品をはじめ、インフラ、住環境、エレクトロニクス、ヘルスケアなど、多分野でその高い技術を活かした製品の開発・製造を行ってきた。環境負荷低減にも積極的に取り組んでいる同社が「PaperLab A-8000」を導入したのは、2017年6月のこと。導入の決め手や、導入後の社内における変化はどのようなものだったのだろうか。
企業の社会的価値を創造するために
「PaperLab」導入の決め手は、製品コンセプトへの共感
環境負荷低減に早くから取り組み、環境に配慮した製品開発を行ってきた住友理工。
2022年度までの中期経営ビジョンを策定した「2022年 住友理工グループVision(2022V)」では、SDGs(2015年9月に国連で採択された「先進国と開発途上国が共に取り組むべき国際社会全体の普遍的な目標」)を取り上げ、社会的価値の創造に注力している。「PaperLab」の導入を決めた背景には、エプソンの取り組みへの共感があったという。
「PaperLab」の導入は、どのような経緯で決められたのでしょうか。
村松氏:きっかけは、様々な製品発表会や説明会などでエプソンさんと話をした際に「PaperLab」について伺ったことでした。
OA機器用の部品を製造している弊社にとって、エプソンさんは大事なお客様。エプソンさんの新しい取り組みに弊社のトップが共感し、我々もそこに貢献できないかということになったんです。
実際に設備も拝見し、エプソンさんが今後広げていきたいと計画されていることは面白そうだと思いました。
製品のコンセプトに共感された、ということですね。御社では環境問題にも積極的に取り組まれていますが、その面が大きかったのでしょうか。
村松氏:そうですね。弊社では、環境対応製品の開発を基本の経営方針としてきました。ゴム製品の製造工程でCO2の排出量を削減したり、金具の塗料や、ゴムとの接着に使う接着剤に含まれる溶剤がVOC(揮発性有機化合物)として大気に放出されるのを低減するため、有機溶剤から水系への切り替えを進めるなど、様々な取り組みを行ってきました。
「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」を目指し、メイン事業の他にも、植林活動や排水される川のクリーンアップ、排水・廃棄物の監視など、地域環境への貢献をつねに考えています。
私たちは、「住友理工がこの街にあってよかったね」と言ってもらえるような企業を目指しています。価値創造型のCSR経営を考えるうえで、「PaperLab」の活用は大きな貢献ができるのではないかと思いました。
障がい者のみで運用可能
安全な業務の創出で、障がい者雇用拡大へ
現在、社会では働き方の多様化やダイバーシティが推進されている。「障がい者雇用の拡大」もその一つであるが、障がい者の方にとって安全かつ持続可能な業務を用意する工夫も不可欠だ。住友理工では「PaperLab」導入により、課題解決の糸口を見出した。
実際に導入されてみて、どんな印象でしたか。
高橋氏:最初に見たときは、物を作る設備というより、身近にあるOA機器のようだなと思いました。大量の水を使って紙を紙粉にする大きな機械は見たことがあるのですが、それに比べてかなりコンパクトな印象でした。
しかも、「PaperLab」は水をほとんど使わず繊維にし、紙の製造までできてしまう。弊社はモノづくりの会社なので、製造工程に興味を持って見学に来る社員がたくさんいました。紙がロール状ではなくA4サイズで出てくるなど、工程が想像していた形と違うため、みんな驚いていましたよ。
運用はどのようにされているのでしょうか。
高橋氏:住理工ジョイフルでは、住友理工社内の保管期限の切れた機密文書や使用済みの紙を収集し、「PaperLab」で処理しているのですが、作業は知的障がい者の方にほとんどすべてお任せしています。
ホチキス止めを切り落としたり、折り目を直すなど、紙のコンディションを整える作業について指導した後は、朝スイッチを入れて夕方終了するまで、障がい者の方たちだけで運用。月に約9万4000枚の紙を処理し、A4サイズで約6万枚もの紙を製造できています。
今のところ、火傷やケガなどの心配もない。「PaperLab」は安全対策が万全のため、安心して作業をお願いできるのがいいですね。
自分たちのオフィスで作った新たな紙が、
新たな発見をもたらし、意識を変える
障がい者雇用の面でもメリットがあったのですね。
高橋氏:はい。大企業は法令で一定の障がい者の雇用を求められますが、実際に任せられる仕事を用意するのはなかなか大変なんです。
「PaperLab」の導入により、障がいのある方が活躍できる場面を提供できるようになったのは大きなメリットだと感じています。実際に、新たに一人、雇用することができました。
しかも、製造した紙で新たなものを作ることができるので、職域を広げることもできた。先日は、知的障がい者の方たちに再生紙でメモ帳を作成してもらいました。住友理工の株主総会などで配布したところ、好評でした。弊社の取り組みを外に向けてアピールする機会にもなりました。
地域貢献、環境資源保護
「持続可能な消費と生産」の実現が可能に
地域貢献、環境資源保護、SDGs項目の達成――。住友理工は理想とする企業像に近づくため、これまで様々な取り組みを行ってきた。従来、大きなサイクルで考える必要があったこれらの努力目標を、社内という小さなサイクルで実現できるようになったことも「PaperLab」導入のメリットだという。
他にも「PaperLab」導入の効果があれば、教えてください。
高橋氏:まず、機密情報の漏洩リスクが大幅に減りました。
今までは外部の業者に機密文書の処理を委託していましたが、それでもリスクはあります。重要な情報を社内で処理できるようになったことは大きなメリットですね。
村松氏:社員の名刺は「PaperLab」で製造した再生紙でも作成しているのですが、この名刺を使うことによって、社員一人ひとりの環境に対する意識にも変化があったのではないかと思います。
それから、地域貢献の一環として、本社がある小牧市役所に再生紙を寄贈しています。
再生紙を作り、それを使って社会に貢献しようとすると、通常はとても大きなサイクルで考えなければなりませんが、「PaperLab」を導入すれば、社内や地域という非常に小さなサイクルで実現できる。これもメリットですよね。
森林資源保護の観点から見ると、紙の大量消費はネガティブな印象を持たれがちですが、事業をやっていくうえで紙を使うことは避けられません。プリンター・複写機の部品メーカーでもある我々は、紙を使うことが環境の負荷増大にならない状況を作っていかなければならないと考えていました。
SDGsにも「つくる責任、使う責任」「気候変動に具体的な対策を」という項目がありますが、「PaperLab」で紙を作るというサイクルは、環境への配慮をしつつ、持続可能な消費と生産を実現できる一つの例ではないか、と考えています。
このポイントが、エプソンさんの取り組みで一番共感したところです。
「PaperLab」のさらなる普及に期待
モノづくりメーカーとして、共にあらたな価値を創造し続けたい
住友理工ではさらなる再生紙の活路をつねに模索している。今後は社内利用に留まらず、事業活動に反映する方法についても検討しているという。
今後は、どのように再生紙を活用していきたいとお考えでしょうか。
村松氏:活用方法については、社内でもっと意見収集の場面を設けていきたいのですが、弊社のメイン事業に関わる分野での活路が見出せたらいいなと思っています。
例えば、梱包材や伝票、安全チェックシートなど、弊社の生産業務で使う紙を切り替えていきたいですね。
高橋氏:住友理工の社内託児所で使う落書き帳や、塗り絵帳なんかも作れたらいいですね。
いずれは再生紙を使用して作った紙製品を販売して、利益を出せるようにするのが目標です。
村松氏:「PaperLab」は小型化や、再生紙の強度アップやプリンター機能など、まだまだ進化の余地があると思います。次世代型にも大いに期待していますし、これから多くの企業に広がってほしいと考えています。
我々は「モノづくりのメーカー」としてのプライドを持って、製品をメーカーさんに納めている。それをメーカーさんに喜んでもらうことで、ユーザーの満足度にもつながります。
エプソンさんとは同じメーカーとして、共通の目的に向かって価値を創造しつつ、一緒に成長していけたら、と思っています。
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