秋田県南東部に位置する湯沢市は、国内でも有数の地熱地帯として知られ、地熱開発が盛んに行われているほか、市内には温泉が点在しています。また、地形や地質、それらと関わりのある歴史や文化を学べる「日本ジオパーク」に認定されており、自然環境を守り、活用する意識が広くゆきわたっている自治体といえるでしょう。2017年9月に「PaperLab A-8000」を導入された湯沢市に、活用実績や今後の目標を伺いました。
10万人以上が訪れるイベントに合わせて
稼働式を行い注目
地熱開発、ジオパークの活動など、湯沢市は、自然環境の保全と活用に非常に積極的に取り組んでいる。市内に秋田エプソン(株)の本社があり、エプソングループとの縁が深い関係で、乾式オフィス製紙機という新しい製品の情報をいち早くキャッチした。市の取り組みにぴったりと合うPaperLabには、市長を筆頭に大いに興味を持ったそうだ。環境保全を重視する自治体としてのアピールにもつながると考えている。
PaperLabの導入を決めたのはどのようなきっかけだったのでしょうか。 東海林氏:湯沢市には、秋田エプソン株式会社の本社があり、エプソングループとは長年の深いパートナーシップを築いています。そんな中、PaperLabという最先端の機器をいち早くご紹介いただき、市長、副市長が実機を視察し、導入を決めました。
湯沢市は、地熱発電など、再生可能エネルギーの導入に力を入れていらっしゃいますね。環境問題に対応できることがPaperLab導入の大きな理由でしょうか。 東海林氏:湯沢市では、地熱発電や地熱の産業利用など、再生可能エネルギーの導入に力を入れており、庁内で紙のリサイクルが可能なPaperLabは、市の環境保全への取り組みにとてもよく合っています。環境問題への取り組みがわかりやすい機器ですから、これを導入することで、業務において紙の無駄をなくすという意識改革にもつながります。PaperLabを日々活用し、再生した紙を使用することで、この意識改革は一度では終わらず、広く考え方が波及していく効果もあると思います。対外的には、環境への取り組みを推進する市の姿勢をアピールするものにもなるでしょう。また、機密情報の抹消が確実にできることも大きなポイントです。
機密情報を含む書類は、現在はどのように処理されているのでしょうか。 東海林氏:年に数回、焼却処分しています。全ての機密書類をPaperLabで処理するまでには至っておりませんが、将来的には、機密書類の完全抹消を目指して利用範囲を拡大したいと考えています。
対外的なアピールというお話がありましたが、導入時には稼働式を行い、多くの人に披露することができましたね。反応はいかがでしたか?
東海林氏:市役所の駐車場を会場に、毎年10万人以上訪れる「全国まるごとうどんエキスポ」の開催日に合わせて稼働式を行い、市内外の方にPaperLabをご覧いただくことができました。
見学された方の中には、「信じられない」と驚かれる人が多くいらっしゃいました。人口5万人に満たない小さな市が、最先端の機器を備えて環境負荷の低減に貢献していることを、広くアピールすることができました。
PaperLabは市民の目にふれてこそ価値がある
PaperLabを導入するにあたり、重要な検討材料となるのが、設置場所だ。湯沢市では市民が自由に使えるラウンジに設置されている。個人情報を含む書類の扱いには慎重を要するが、各課との話し合いや協力のもと、半年間、試験的な運用が続けられた。
導入後の運用状況をお教えください。まず、設置場所を2階のラウンジとしたのはどのような理由からでしょうか。
東海林氏:個人情報を含んだ書類を扱うことなどから、設置場所には非常に悩みました。最終的には、多くの市民の目にふれてこそ価値があると考え、市民が自由に使える2階ラウンジに決めました。
使用する用紙はカギをかけてストックしておくなど、保管などには配慮しています。
稼働時間はどのようになっていますか。 東海林氏:年度途中の導入でもあり、まだ試験的な運用をしている状態です。週に1~2回、半日程度稼働させています。
紙を作成する担当者は決まっていますか。 東海林氏:操作が大変わかりやすく誰でも使えるので、総務課の職員が交代で行っています。稼働中は、担当者がずっとついているわけではなく、無人の場合もあります。
紙の回収はどのように行っているのでしょうか。 東海林氏:各フロアに回収ボックスを置き、総務課の職員が回収を行っています。特に、市民の個人情報を扱うことの多い市民課からは、機密保持の面から導入時に多くの要望が寄せられ、時間をかけて話し合いました。回収ボックスにカギをつけ、担当者が回収することなどを徹底しています。
ステープラーやクリップの除去で苦労することはありませんか。 髙橋氏:その点は、各課に呼びかけ、回収の段階でかなり除去されています。呼びかけにより個々の意識も高まっているようです。もちろん「絶対」ということはないので、回収した紙は総務課で再度チェックをしています。回収ボックスは、投入口の幅などを工夫し、内部で丸まらないようにして回収後の作業効率を高めています。
市のキャラクターを入れた
独自デザインのメモ帳が好評
湯沢市では、まずは再生した紙で作った「もの」を実際に見てもらうことで、市に新しい機器が導入されたこと、環境負荷を減らすのに役立っていることをアピールしたいと、PaperLab紙で作成したメモ帳を広く配布する方法を選んだ。教育現場からの注目も高まってきている。
PaperLabで再生した紙はどのようなものに利用されているのでしょうか。
髙橋氏:メモ帳があります。PaperLab設置場所や市役所1階の総合受付カウンターに常時置いて、自由にお持ちいただけるようにしています。大変好評で、補充を頻繁に行っている状況です。
東海林氏:まだ導入から日が浅いこともあり、皆さんに周知するためには、作成したものを実際に見て手に取っていただくことがわかりやすいと考え、メモ帳でのアピールをメインに進めました。
メモ帳は、ただ紙を束ねるのではなく、PaperLabの説明や湯沢市のキャラクターなどを印刷したユニークなものになっていますね。 髙橋氏:課内で意見を出し合い、湯沢市がPaperLabで作成したことを、しっかりPRしようと決めました。表紙を開いたところにはPaperLabの説明を入れ、メモ帳内に市章や市のキャラクター「こまちちゃん」の絵などをところどころに入れました。色をつけられる長所を活かし、1冊のメモの中に複数の色紙を入れ、「こまちちゃん」の入れ方にもいろいろなパターンを用意しています。
東海林氏:カラフルな紙は「きれい」と感心されることがありますよ。
他にはどのような用途がありますか。 髙橋氏:庁内で使う原議書や参考資料の用紙として使ったり、市内の産業振興を所管する「まるごと売る課」では職員の名刺にも使っています。また、複数の小学校・中学校から、卒業式や入学式の式次第を印刷するものとして、厚めの紙がほしいとリクエストされました。各校の校長が集まる会議の際に紹介したことがきっかけです。
東海林氏:教育現場で使われるのは、大変喜ばしいことです。これからを担う子どもたちによい影響があると思います。
市内事業者・市民に開放し
共同活用の実現も視野に
メモ帳が好評で、周知が順調に進む中、今後の課題は、より多くの紙を再生できる体制作り、そして機密文書を扱う上でのルール作りとマニュアル化の徹底だ。市民や市内事業者による活用も視野に入れているという。
今後の目標を教えてください。
東海林氏:将来的には、庁内から「こういう紙をつくってください」と注文を受けられるくらいの体制を整えられれば理想的です。住民基本台帳の情報を含むような機密書類の処理量を上げるためには、より緻密なルール作りと、マニュアルによる徹底も必要だと考えています。
また、利用者は市の職員に限りません。業務で来庁される事業者さんに、社内の使用済み用紙を持ってきていただいたり、市民に家庭で使った用紙を持っていただくなど、より広く活用することも計画中です。
先ほど、子ども達への影響についてお話されていましたが、子どもに関連する取り組みなどは考えていらっしゃるでしょうか。
東海林氏:まだ具体的な内容までは検討が進んでいませんが、教育現場で活用していただくことが、子ども達の環境保全意識の醸成につながるものと考えています。今後は教育の一環として、PaperLabを活用できないかと模索しているところです。
現在、メモ用紙が好評で、少しずつ認知が広がっています。広く活用していただくためには、各課と協力し、市民との接点を積極的に増やしてPRに努めたいと考えています。
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