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フォトコンテスト
兄弟として
入江 貴史
ただ可愛いだけでなく、2頭の子ギツネの愛情や気持ち、作者とのつながりなどが感じられる微笑ましい作品です。子ギツネの様子を丁寧に捉えているのに加え、光の当たり具合なども素晴らしく、感動的でストーリー性が感じられるのは本作の魅力の1つです。プリントは、自然な色合いでコントラストやボケ味などのバランスがよく、リアルな世界観を紡いでいます。プリントサイズが大きく、中にはおよそ原寸大まで大きくプリントされたものもあります。特にこれらの写真は、ふわふわとした毛並みや、眼球に写り込んだ景色までがシャープに描写されていて、世界の広がりや心地よい緊張感が感じられる、極めてクオリティーの高い作品に仕上がっています。
入江 貴史さん
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入江 貴史さん
見事グランプリを獲得されました。感想はいかがですか?
入江:審査員の三好先生をはじめ、このエプソンフォトグランプリの関係者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。職場の仲間に、グランプリをとると冗談混じりに宣言していたので、有言実行が叶って嬉しいです(笑)。いただいた評価の意味をこれからゆっくりと自分の中で消化して、今後の作品づくりに役立てていきたいと思います。
普段はどの様な写真活動をされているのですか?
入江:普段は自動車整備士の仕事をしながら、出勤前や休日に撮影へと出掛けています。4年前に飼い猫を撮るためにカメラを買ったのですが、近所のオジロワシを撮り逃がした悔しい出来事がきっかけで、今の写真活動へとシフトしていきました。
今回の作品「兄弟として」の視点はどのようなものでしょうか?
入江:この作品は僕の地元に生まれ住むキタキツネの兄弟にフォーカスを当てたものです。僕自身も兄弟の末っ子で、小さな頃は時間の流れが途方もなく長く、兄の後ろにくっついて、買ってもらったお菓子の蓋を開ける瞬間すらも濃く思えました。
このキツネの兄弟もきっと同じような気がして、親の帰りを待ち焦がれ、長く感じる時間の中で小さな冒険を繰り返します。それは僕が知り得なかった「愛」を感じる反面、彼らにはさまざまな形の「死」が隣り合っていることも実感します。兄弟達が成長する中で抱く、言語化できない感情のようなものが浮かんでくる作品にしたいと思いました。
フォトコンテストや、プリントへのこだわりはどのようなものでしょうか?
入江:フォトコンテストに応募する以外には、普段プリンターを使う機会がなかったのですが、プリントの練習を兼ねて、なじみの美容室に行くたびに写真を飾ってもらっていました。他の人に見られることを意識したプリント作品づくりは、良い練習になっていると思います。フォトコンテストやSNSは、自分の写真を客観的に振り返って再評価する上で重要な役割があると思っています。しかし意識し過ぎて、自分らしさを見失わないようにすることも気をつけています。
今後の目標や、作品にしてみたいテーマなどありましたらお願いします。
入江:今なんとなくでしかわからないですが、「自分がなぜシャッターを切るのか」という理由について問い続けて、写真がもっと楽しいものになったらいいなと考えています。また、どんなに見慣れた場所でも、そこにお邪魔して撮らせてもらっているという意識は変えずにやっていきたいと思います。