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エプサイトギャラリー公募展・epSITE Gallery Award
トタンのある風景をよく探していて、被写体への愛情を感じる。こういう被写体の場合、アップで撮って質感に迫った作品はよく見るが、これはそれだけにとどまらない。“風景学”とでもいうような写真もあり、タイポロジー(類型学)的なおもしろさがある。見る人が、トタンの物としての豊かさや風景との関係など、いろいろと発見できる作品だ。プリントは小さくてもおもしろいし、大きくしてもまた違ったよさが出てくるだろう。
「今や知らない世代もあるのでしょうが、トタンというのは、薄い鉄の板に亜鉛メッキを施したものです。昭和のころにはトタンで覆われた建物がたくさんありましたよね。確かに少なくなりましたが、注意して探せば、意外と見つけられるものなんですよ。東京のど真ん中でも、大きなビルの裏側に回ってみたら2階建てのトタンの民家がひっそりと建っていたり。そんなときは『発掘したぞ』と、うれしくなります。超近代的なビルとトタン建築が並んでいる様子などは、風景としてとてもおもしろいです。
また、トタン自体もすごく魅力的な素材です。時間が経つと錆びたり腐食したりしますよね。それが独特な模様や質感を描きます。抽象画のように見えることもあれば、オカルトっぽく見えることもある。実に多彩なんですよ。それに、同じものでも訪れた時間帯が違えば、違って見えます。トタン板は波打っていますから、天気や日の高さによって、コントラストの付き方や色の出方が違うわけです。
だから前に撮った建物でも、近くに来たら必ずもう一度見に行きます。 構造物としても、どうしてこうなったんだろうと思うような、不思議なものが多いです。
ペンキでカラフルに塗られているもの、継ぎはぎしてパッチワーク的に仕上げられているものなど、建てた人や住んでいる人たちの創意というか、遊び心のようなものを感じます。普通の人が何気なくやった装飾や工夫だからこそ、いいんです。最近では、そうした違いに地域性があるような気もしています。
つまりトタン建築は、引いて見ても、寄って見てもおもしろい。僕にとっては、見どころがたくさん詰まったパブリック・アートです。僕はトタン建築から小さな発見をして、それに驚き、そこにある暮らしやストーリーを勝手に想像して楽しんでいるのです。
写真展を見に来てくださる方にもそれを体験してもらえたら、うれしいですね。」