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 繁盛店のヒントとコラム

競争に勝ち抜く飲食店のポイントとは?(全3回)
【第1回】競争に勝ち残る飲食店となるために考えるべきこと 飲食業界を取り巻くボーダーレス化・グローバル化の大競争時代

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2019.11.15

 飲食店を開業しても5年、10年と生き残っていけるか不透明な現代。一般的に約50%の店が2年以内に閉店などと言われていますが、これからの時代、競争に勝ち残る飲食店となるために、経営者は何を考えるべきか?いや、そんなことにエネルギーを割かずとも、今までのように美味しいものを出していれば、必然的に顧客はついてくるのでは?
 「ホットペッパーグルメ外食総研」エヴァンジェリスト、株式会社ケイノーツ代表取締役の竹田クニさんは「それは20世紀の成功体験に過ぎません。私たちは飲食業界を取り巻く環境の変化を理解しなければいけないのです」と警鐘を鳴らします。

-20世紀とは真逆の社会

 人口、所得や市場規模などすべてが増加・拡大傾向にあった20世紀とは異なり、今後の日本は人口が減少し、所得では格差が拡大し、市場規模は縮小していきます。かつてはマスメディアの影響力が強く、全国共通の流行が生まれる社会でしたが、現代のライフスタイルは多様化し、人々の価値観もさまざまです。

-日本はなぜ「食が安い国」と言われるようになったのか?

 「例えば1970~80年代に隆盛を極めたファミリーレストランなどのチェーン店は、郊外の人口増加の波に乗って出店すれば業績を拡大できました。でも、少子化と都心回帰が進んだ現在では、当時のような出店拡大は難しくなっています」と竹田さん。
 日本は今や、先進国でとびぬけて外食が安い国。インバウンド観光客に「フルサービスのランチが1000円以下で食べられ、しかも水まで無料だなんて!」と驚かれることも少なくありません。
 これは、90年代以降の「失われた20年」と呼ばれる長く続いた不況期の間に、合理化、マニュアル化、機械化などを進めて、多店舗化と価格競争力の保持に努力を続けた末に、日本は「外食が安い国」になったという皮肉な結果なのです。
 一方こうした努力は、クオリティやサービスという付加価値を削ってしまった傾向があり、ひいては行き過ぎた合理化が産地偽装や異物混入、過重労働の一因にもなった」と竹田さんは指摘します。

社会は20世紀とは真逆と言ってよい
-食のボーダーレス化

 また、食のボーダーレス化も大きな競争環境の変化です。例えば人気店がコラボしたコンビニのラーメンなどのクオリティは高く、食品メーカーの技術力、冷凍技術やパッケージ技術、ロジスティクスなど、日本の素晴らしく高い技術力は、コンビニ、スーパーなど中食(なかしょく)のクオリティを飛躍的に向上させました。
 さらにイートイン、グローサラント(「グローサリー」と「レストラン」を掛け合わせた造語)といった業態、デリバリーやケータリング、キッチンカー、ミールキットなどさまざまな新業態が登場し、外食・中食・内食(うちしょく)という従来のカテゴリーを超えたボーダーレスな大競争時代を迎えています。

高まる「食の外部化」傾向 新たなプレイヤーも参入して競争はより複雑化

 また、デスクで仕事をしながらデリバリー、イートインで簡単に済ます……など、時間効率やコスト効率など、昭和時代の感覚とは異なる食習慣の変化も生まれてきています。こうした変化の中、「飲食店で食べる価値とは何か?」が改めて問われているのです。

-消費者も従業員もグローバル化=真のダイバーシティへ

 2020年には4000万人超の外国人観光客の来日が予想(観光庁HP「訪日外国人旅行者の受入環境整備」参照)されています。これは関東地方の総人口に匹敵します。また近年では外国人観光客だけでなく、外国人定住者も増加を続け、さらに2019年4月の入管法改正で、特定技能という新しいビザ発給によりさらに多くの外国人労働者が多く日本で働くようになります。
 わかりやすく概算で言うと、労働者の約20人に1人(政府発表数値より竹田さん推計)が外国人労働者ということになります。
 これからの外食業界にとって、消費者としてだけでなく、「働く人々」としても外国人が増えていくことは、市場も労働市場も「グローバル化」していくことだといえるでしょう。そしてこのことは外国人ばかりではなくシニア、主婦、短時間労働者など多様な考え方や働き方を受け入れる社会…つまり「ダイバーシティ」の実現に他なりません。

 今後、国際的イベントも続き、日本の市場はますますグローバル化していくことが求められています。そんな時代だからこそ、経営者が「自分の店で食べてもらう価値」を改めて考える「マーケティング思考」が必要になってくるのです。
 次回は、「競争に勝ち抜く飲食店のポイント」として大切な飲食店のマーケティングについて伺います。

竹田クニさん
■プロフィール
竹田クニ(たけだくに)さん
1963年生まれ。「ホットペッパーグルメ外食総研」エヴァンジェリスト、株式会社ケイノーツ代表取締役、日本フードサービス学会会員、一般社団法人 日本フードビジネスコンサルタント協会 専務理事、早稲田大学校友会 料飲稲門会 常任理事。マーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演、官庁自治体への政策提言活動など行うほか、外食、中食、給食を結ぶB to Bマッチングも手掛けている。

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