新座市教育委員会様
学校の働き方改革の視点から
真っ先に、実現したかった印刷環境の課題解決!
導入プラン:
エプソンのスマートチャージ
「アカデミックプラン」
導入機種
■導入機種と台数:LX-10050MF×24台、LX-10050M×98台、PX-S880X×24台
教育委員会に伺いました
教育ICT環境のフルクラウド・ゼロトラスト化への道
前任担当者の配慮と思いがけないタイミング
遅れていた整備状況を強みにして前向きに整備
教育総務部教育総務課
専門員
仁平 悟史 様
教育総務部教育総務課
管理係 主任
森 智寛 様
(注)記載の各所属・役職は、取材のあった2024年1月時点のものです。
新座市の教育ICT環境の整備については、金子廣志教育長の強力なリーダーシップもあり、誰一人取り残すことのない教育を推進するためのさまざまなアイデアを検討し、新しい企画を提案しやすい環境にありました。ただ、今の環境に至るまでには、他地域と比べても整備が遅れているという時期が長くあったことも事実です。厳しい財政事情もあり、例えば教育ネットワークに関しては、学習系と校務系のネットワークの分離も不完全である状況でした。そのような時期を経て、文部科学省のGIGAスクール構想での補助金を最大限活用して小学校・中学校へ端末と学習系のネットワーク整備をしていきました。
教育ICT環境を整備する際に、契約の更新時期の違いが足かせになることがあります。それぞれの契約内容や期間の違いにより、大規模な契約の見直しが難しくなることがあります。教育ICT環境の整備には、さまざまな機器や端末が検討され、予算確保が必要ですが、一度に十分な予算を確保できない場合があり、毎年少しずつ更新するなどの対処方法がよく取られます。この場合、機器の種類や学校ごとに契約が異なり、複雑になることがあります。
新座市でも同様の状況が見られましたが、本市の教育ネットワークに係る環境は前任の方々が5~10年の期間をかけて、10種類以上あった契約を整理しまとめていました。同じ時期に更新できるように、リース契約の期間を短縮したり、再リース契約を結んで期間を延長したりするなどの対応を取り、複数の契約期間を2023年8月末日に統一しました。これにより、契約のズレによる大規模な見直しを避け、整備内容を思い切って検討することが可能になりました。
さらによいタイミングだったのが、次期教育ネットワークの構成について検討を始めたばかりの2021年5月に文部科学省から「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂版が公表されたことです。これは、2019年12月に続く2回目の改訂で、一人一台端末整備推進に伴う新たなセキュリティ対策の記述を充実させ、教育情報ネットワークのあり方を明確化したものでした。この指針では、次世代の校務DXの方向性として、「校務系システムを従来のように閉域網で運用するのではなく、いわゆるゼロトラストの考え方に基づきアクセス制御によるセキュリティ対策を十分講じた上で、校務系・学習系ネットワークの統合を進める必要がある」と示されました。この指針と、新座市の教育ICT整備を進めるタイミングとが合致し、一気に「フルクラウド・ゼロトラスト化」を進めることができました。
新座市の教育ICT環境はこう変わりました!
時間を費やし、一つひとつを吟味してつくりあげた仕様書は数千項目に
教育ICT環境「フルクラウド・ゼロトラスト化」の検討を始めた2021年6月時点では、自治体における導入事例がほぼ無く、試行錯誤しながら構築を進めました。新座市の教育環境として本当に必要な項目や内容を厳選していくためには、専門用語から始まりセキュリティ関連、そしてゼロトラストやネットワーク全般について新たに学ぶべきものが多々ありました。
苦労して作成した仕様は、機能要件などの仕様部分をすべて合わせると数千項目におよびました。教育ネットワークのフルクラウド・ゼロトラスト化の構築に必要なセキュリティを満たした内容になっている本市の仕様書についてご興味をお持ちの自治体や事業者の方は、いつでもお問い合わせいただければと考えています。
これらの教育ICT環境整備で、どうしても譲れなかったのはいずれも「働き方改革」と「ゼロトラストを実装するうえでのセキュリティ」に結びつくものです。例えば、ログイン方法をシングルサインオンにしたことで、セキュリティ確保と教職員の負担軽減を実現しました。アプリごとにログインが必要だった頃は、それぞれのIDやパスワードの管理が煩雑になり、記憶違いを防ぐためのメモを端末近くに残す等、セキュリティ上問題となる行為が生まれやすい状況でした。シングルサインオンによってこれらが解決され、教職員の負担軽減にもなっています。
ゼロトラストセキュリティにおいては厳格な認証が重要ですが、生体を含む二要素認証を必須としました。例外を認めず、校務・授業中・テレワーク時などいつでも二要素認証を求め、無操作状態で一定時間が経過すると自動的に画面ロックがかかります。また、GIGAスクール構想で導入した児童生徒用可動式端末を含むすべての端末にEAP-TLS認証を導入しました。これにより、教職員の私用端末をネットワークに接続したり、敷地外から学校のアクセスポイントに不正接続されたりするなどを防止できます。他に、すべての通信を保護し、ネットワークの経路上にSASE(セキュア・アクセス・サービス・エッジ)を置いてインラインIPSやFWaaSを作動させ、SSL/TLSフルインスペクションを行うなどのセキュリティ対策を施しています。
これらのセキュリティ対策を施したことで、教職員用端末とインターネット接続環境さえあれば、校内と同等の業務をどこにいても行うことができるようになりました。特定のUSBメモリを使うこともないため、USBメモリの紛失などの心配もなくなりました。これはゼロトラスト化の大きな効果の一つです。
この教育ネットワーク更新ができたことで、文部科学省のGIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議が2023年3月に示した『GIGAスクール構想の下での校務DXについて ~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~』において、各自治体が行うべきとされている教育環境整備がほぼ実現しました。これにより、統合されたデータの利活用による学校運営や個別教育の高度化を今後図っていく素地ができたと考えています。
職員室に設置された高速ラインインクジェット複合機LX-10050MF
3台あるので待ち時間はほぼゼロ
(注)写真は、新座市立大和田小学校で撮影させていただきました。
無線LANで校内どこからでも印刷できるため、とにかく便利
(写真は、新座市立大和田小学校校長 近藤 章宏先生)
学校の働き方改革の視点から
真っ先に、実現したかった印刷環境の課題解決!
メリットを実感してもらえるところから整備をする
満足度の高い職場環境にするためには、先生方の最も身近で日常的な課題を解決することが重要です。その意味で、印刷環境の改善は必須事項でした。多くの学校での共通課題となっていたからです。印刷環境の主な課題は以下の通りです。
・印刷需要が同じ時間帯で急増し、印刷の順番待ちが発生する。
・故障などが発生した際、印刷ができず仕事が停滞する。
・費用削減のためにリサイクルトナーを使うことがあり、故障時に契約の保証条件が適用できず修理費用が発生する。
特に印刷の順番待ちについては、印刷需要が授業以外のお昼休みなど特定の時間や、中間・期末考査の時期、年度末・年度初めなどの特定の時期にも集中するという学校ならではの事情があり、深刻な課題となっていました。そこで、今回の整備に先立ち各校教職員を対象にアンケートを実施し、印刷環境に求める機能、重視事項等のニーズを事前調査しました。結果、学校教職員は「印刷品質」や「カラー印刷」より「速度」を最重視すると判明しました。この結果は、今回の整備により働き方改革を進めるという方向性とも合致するものでした。
印刷の「速度」を重視した機種選定とその他の効果
校内の印刷環境を考えるうえで、印刷速度が重要事項だとわかり、孔版印刷機と複合機それぞれを使用した場合の印刷速度を調査しました。標準的枚数における印刷速度は孔版印刷機がやや速いものの、マスター作成などの印刷工程まで考慮すると両者ほぼ同じ時間であることがわかりました。
これらの結果を受け、既存印刷機器と同数以上の複合機を設置することで速度をカバーすることとしました。複合機を複数台設置したことにより故障時の仕事の停滞といった課題も解決でき、孔版印刷機で必要な製版に係る消耗品費用も不要となり、安さも実現することができました。さらに、複合機導入で孔版印刷機、コピー機、プリンター、スキャナー、FAXを一つの機器で賄えるようになるため、管理も簡素化されました。
複合機への置換に際して、エプソンのスマートチャージ「アカデミックプラン」を導入したことでさらに大きな効果がありました。アカデミックプランには、月額定額料金の中に消耗品代も含まれており、新たに消耗品を購入することがなくなったのです。そのためリサイクルトナーを使い保守契約以外の修理が発生することもなくなりました。消耗品管理に費やしていた時間節約もでき、働き方改革に大いに寄与しています。
エプソンのスマートチャージ「アカデミックプラン」で懸念事項を解決
エプソンのアカデミックプランは契約であらかじめ定めた印刷枚数まで定額で使用できることが特徴ですが、市として既存のコピー機、孔版印刷機、プリンター、FAXそれぞれの使用現況を把握できておらず、当該印刷枚数を超過してしまった際のリスクを懸念していました。作業時間やマンパワーの面から印刷機器の使用状況を市職員が調査することは難しく、今回の入替における印刷環境の改善を諦めかけておりました。
ところが、この懸念をエプソン社に伝えたところ、同社において全校調査を行い、各印刷機器の使用枚数だけでなく設置場所、メーカー、型番などすべて調べてくれました。これにより、必要となる消耗品費の検討比較の根拠となる数値を得ることができました。
RFPにおいては、公平性の観点から、エプソンの「アカデミックプラン」という指定は一切行わず、他社のプランも提案可能な仕様としました。しかし、各社の回答をチェックしたところ、すべての事業者がエプソンのアカデミックプランを提案していました。アカデミックプランは印刷できる規定枚数を年次で管理しているので、印刷枚数の少ない月があっても他の月で使えます。また、学校間で印刷枚数を分け合うこともできます。印刷速度やカラー印刷が規定枚数まで制限なく使用できるなどの機能面に加え、こうした費用面での優位性も見逃すことのできない特長だと思います。
印刷室には有線接続で使う高速ラインインクジェット複合機LX-10050Mが複数台(印刷室へのLAN配線工事を併せて実施)
教育長室および校長室にはA4インクジェットプリンターPX-S880Xが設置され重要書類の印刷も安心
教育委員会に届いたご利用者の声
便利を実感!
「教育ICT環境の整備・印刷環境の見直し」
現時点では、更新に伴って変更となった機器の使い方等についての戸惑いや問い合わせがあることも事実ですが、孔版印刷機から複合機への印刷環境の更新に関しては「孔版印刷機がなくなり不便になった」という声は皆無です。それよりも、消耗品費を気にすることなくカラー印刷やコピーができることに喜ぶ声が届いています。
●電話対応が減りました!
保護者からの欠席連絡は、双方向で連絡がとれる専用アプリで確認します。保護者アンケートも、このアプリが使えるので回収率があがりました。自動集計機能もあるので、とても便利です。
●出退勤管理の集計作業がなくなりました。教育委員会で確認ができるシステムになったおかげで月末の仕事の一つが減りました。
●印刷時間は大幅に削減されました。特に両面印刷で威力を発揮しています。孔版印刷機を使っていたときはずれて印刷されることが多く、印刷途中での紙詰まりも頻繁にありました。今は不具合をほとんど感じていません。
●校外でも学校と同一の環境で仕事ができるようになったので、端末を持ち帰る職員は増えました。仕事の資料作りなどでも活用できますし、週末に緊急のメール連絡が必要になっても自宅から対応できるので助かります。
●カラー印刷やスキャナーを使うときには、パソコン室まで行かなければなりませんでしたが、今は職員室内ですべてできるので、とても便利です。
●印刷関連の消耗品管理が不要となったことで、業務負担の軽減になっています。保管場所に悩むこともなくなり、たいへん助かっています。
(画像1)
●カラー印刷がいつでもできるので、(画像1)写真のように、資料も色分けした図で表現できわかりやすくなり、目を引く掲示物となっています。
(画像2)
●写真入りの掲示物や壁新聞が増えました。さまざまなことが伝えやすくなっています。
(画像3)
●(画像3)写真は、花壇に咲く四季折々の花を紹介した掲示物です。白黒印刷のときには伝えることができなかった草花の特徴を、丁寧に詳しく伝えられます。
(画像4)
●カラー印刷ができるようになり、(画像4)写真のような保健指導で使うカードも、子どもたちの実態に合わせて自作できるようになりました。
まとめ
導入事例ポイント
- フルクラウド・ゼロトラスト化を実現する際には、印刷環境の見直しも併せて実施
- 職員室に高速印刷ができる複合機を複数台設置することで、効率的な印刷環境が生まれる
- 印刷環境の見直しは、印刷環境調査がスタートとなる
- 消耗品や修理費用の心配だけではなく在庫管理の業務負担も軽減
お客様のご紹介
新座市教育委員会様
所在地 | 埼玉県新座市野火止一丁目1番1号 |
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規模 | 小学校17校、中学校6校(児童生徒総数合計12,830人) |
教職員数 | 832人(2023年5月1日現在) |
新座市は埼玉県南西部に位置し、地域の半分が東京都に接する武蔵野の面影を残す中堅都市です。2020年には市制50周年を迎えました。人口は約16.6万人、小学校17校、中学校6校。
新座市の施政方針の大きな柱の一つとして「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が掲げられています。これに伴い、デジタル技術の活用により学校教育や学校業務を抜本的に変革していく文部科学省が推進する「教育DX」が教育委員会としても重要課題となっており、施設整備担当や学校指導担当の垣根を超えた施策が以前から進められていました。そして、日経BPがまとめた「公立学校情報化ランキング2021」では新座市の公立小学校および中学校がともに全国で1位と高い評価を受けています。
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商標について
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