北広島市では、質の高い学びを支えて安心して学べる学校づくり、新しい教育手法による魅力ある教育など、社会の変化や技術の発展に応じた教育環境の充実を目的に、ICT環境の安定的かつ計画的な整備と教職員のICT活用能力の向上に努めています。特に個別学習、協働学習、分析活用、郷土学習活用、電子黒板活用などを想定した機器整備の他、教職員研修の充実などにも重点を置き、サポートに取り組んでいます。
また、教職員の働き方改革については、2018年に「北広島市立学校における働き方改革推進計画」を策定。2024年6月には第3期計画を策定し、継続的に取り組みを進めています。

ICT環境については、2020年度にWi-Fi® によるネットワークの強化およびタブレット3,002台、2021年度にタブレット1,420台の整備を完了。2023年度には液晶ディスプレイ型電子黒板を全中学校に整備し、さらに現在、約2年をかけて全小学校にも整備を進めています。

印刷環境については、以前より各校に孔版印刷機1～2台、モノクロコピー複合機1台を基本に設置し、保守や修繕を行いながら機能維持に努めてきました。また、カラー印刷については、現場ニーズの高まりから、市教委で定額レンタルサービスの一括契約をして、各校に0～2台（各校希望に応じて2台まで）ずつ設置していましたが、印刷速度が遅く、紙詰まりや故障も多いため、教職員の長時間労働やストレスの原因となっており、その解消策が求められていました。
丁度、2023年度末で複合機と定額レンタルサービスの契約期間が同時に満了することから、2024年度からは、高速のカラー複合機に集約し、一括管理する方向で昨年より検討を重ねてきました。

そのための調査や、学校のより良い印刷環境に向けて協議する中で、事務職員部会や教育予算要望委員会、校長会や教頭会との情報共有、複数メーカーによる実機デモと意見交換会などを通して、現場の状況や要望を把握し、導入条件などを検討していった結果、今の学校現場には、エプソンのアカデミックプランが最適であるという結論に到りました。
また、北広島市では2023年に「北広島市ゼロカーボンシティ宣言」を表明しており、脱炭素社会の実現を目指す当市の方向性と、低消費電力、CO₂排出量削減を謳うエプソンの高速カラーインクジェット複合機の性能が合致していることも決め手の一つとなり、入札を経て、2024年4月から市内小中学校14校にLX-10050MFとPX-M7080FX（大容量）を各1台ずつ、西の里小中陽香分校にはPX-M7090FX1台を導入することになりました。

導入後は、カラー印刷のスピードが劇的に速くなり、それまであった印刷待ち渋滞なども解消されました。また、製品にはカラー印刷とスキャナー機能を備えていることで、今年度から市内全中学校に一斉導入されたデジタル採点システムとの親和性もあり、教職員の働き方改革に大きく貢献していると感じています。

教科書や教材がフルカラー化された頃から、先生方からのカラー印刷の要望は年々高まっていました。しかし、3年に1回配分される各校管理備品予算から高額なカラープリンターの購入費用を捻出するのは難しく、また、購入してもトナーなどの消耗品費が高いため、カラー印刷の使用は厳しく制限されてきました。これを受け、一部の学校で独自に定額レンタルサービスを契約するところが出始め、やがてそれが各校へ拡がっていきました。市教委ではその状況を考慮して、2020年度から同サービスを一括契約して各校に0～2台（各校希望に応じて2台まで）ずつ設置してくれるようになりました。

待望のカラー印刷ができるようになって最初は感動したのですが、使用しているプリンターは印刷速度が遅く、100枚以上の大量印刷をすると1～2時間かかることもあり、印刷渋滞ができたり、朝早く来て印刷したり放課後や夜通しで印刷をかけたりする必要がありました。やがて印刷速度の遅さに我慢できなくなり、先生達の不満やストレスも増えてきて、それを見ている私達事務職員も申し訳ない気持ちで一杯でした。また、紙詰まりや故障も多く、その度に事務職員が呼ばれたり、対応に手間や時間もかかり、また、保守対応までの間に使用できないことも度々あり、これらを何とか解消したいと思い、事務職員部会で協議を始めました。

最初は事務職員部会で取引代理店から情報を集めたり、製品を見たり、導入するための方法論を検討することから始め、2023年6月頃からは市教委の担当者も交えて一緒に協議を重ね、さらに複数メーカーによる実機デモと意見交換会、東部中や広葉中へのモニター機器設置や見学会なども実施しながら検討を重ねていきました。さらにこれらの動きを予算化につなげるため、教育予算要望委員会・校長会・教頭会などにも協力を求め、導入に向けた調達プランを約1年かけて詰めていきました。また、検討期間中に周辺自治体での導入が進んだことで、そこから転任してくる職員や先生方も増えてきて意見が高まり、それが後押しにもなりました。プラン選定や契約枚数の調整などもその事例が参考となり、適正なプラン設定を行うことができました。

以前のカラープリンターは、印刷速度が遅かったため、急な印刷や大量印刷があるとすぐに混雑してしまい、順番待ちになることが日常的でした。また、それを避けるために教職員の朝・夕の残業時間が増えたり、事務補助員の業務の大半が印刷に追われるなど非常に苦労していました。色や画質もあまり鮮明ではなく、インクが速乾性ではないので裏移りなどもあり、インクの乾きを待つための時間も要していました。
また冊子制作の場合、カラーは定額レンタルサービスのプリンター、モノクロは孔版印刷機で印刷したものを合わせて作成していましたが、印刷後に丁合作業や製本作業が必要で、その手間が大きな負担になっていました。私は以前に他市で勤務していたので、アカデミックプランはその際に使っていて、導入されると聞いて期待感が非常に大きかったです。

実際に導入された後も、モノクロもカラーも速くて綺麗で思った通りの印刷ができ、PCからの指示だけで印刷が終わるため、教職員の業務時間短縮に大きく役立っています。冊子印刷なども、両面印刷ができて、1台で手間なく完結できるので、孔版印刷機はほとんど使わなくなってきており、もう以前の状況には戻れないと感じています。
エプソンの高速カラーインクジェット複合機には、教職員のニーズに適した多機能性があり、使い易さを感じています。

カラー印刷は、先生方が自作する教材プリントや学級通信、校内掲示物や研究資料の印刷などに活用していますが、鮮明なカラー印刷物は訴求力も高く、教材を作る先生側の意識も変わってきてより工夫するようになりました。学習へのモチベーションアップや注目率アップにも効果を発揮し、実際に児童や保護者からの評判も良くおおいに役立っています。
また、スキャナーは、児童のワークシートや作品を保存するのに使用したり、保存が必要な資料のPDF化や他校とのメール添付での情報共有、学校だよりの地域へのメール配信やHP掲載などさまざまに活用しています。

アカデミックプランの導入でようやく自由にカラー印刷ができるようになりました。
インクジェット方式については、導入前はスピードが遅い、インクの乾きが遅い、裏移りするなどのネガティブなイメージもありましたが、エプソンの高速カラーインクジェット複合機なら、どれも全く気になりません。私の事務業務では主に、手続関係で保存が必要な書類のスキャンや印刷などに活用しています。

アカデミックプランの導入前は、事務補助員は印刷業務に1日の大半を費やしていましたが、今は先生方が自分で印刷するようになり、その業務もほとんどなくなりました。また紙詰まりや故障などのトラブルもほとんどないので、その対応に割かれる時間が大幅に減りました。もし不調があっても、保守もすぐに駆けつけてくれます。
また、インクはなくなる前に自動的に届くので、在庫管理や発注管理の必要もなくなり助かっています。事務職員にとっても、保守やインク代が含まれるアカデミックプランは安心で大変良いシステムだと感じています。

導入への協議には私も参加していましたが、各者それぞれの事情を尊重しつつ、建設的に進められたと思います。このプランを導入することは、教育現場にとって有効なものになるという認識がしっかり共有されていたからだと思います。
導入後の5月に市内全校の事務職員に実施したアンケートでは、印刷機器の稼働状況、導入後の教職員の反応、導入後の業務改善、今後の課題などについて意見を伺いましたが、全員が導入して大満足の回答でした。

業務改善についてはこれからですが、今後は有効活用するための校内ルールの整備、各校上限枚数の調整、機能の習熟度向上など、さらにより良く活用できるよう努めていきたいと思います。また、印刷業務の核ができたので、今後は最適な業務分担や、補完機の追加導入などについても、さらに協議を進めていきたいと思っています。