久留米市教育委員会様
フルクラウド/ゼロトラスト化と印刷環境の刷新を同時に実現し、総合的なICT環境を整備
導入プラン:
エプソンのスマートチャージ
「アカデミックプラン」
導入機種
授業教材、ワークシート、テスト、学校・学年・学級だより、保健・給食・各種たより、校内掲示物、行事のしおり、会議・研修資料、学校要覧、封筒などの印刷、テスト・作品・資料のスキャン・PDF化、FAXなどの用途に
■導入機種:LX-10050MFステープルフィニッシャー付×23台、LX-10050MF×77台、PX-M7090FX×64台、PX-S880X×61台
■設置場所:各校に<LX>シリーズ1台以上、<PX>シリーズ1台以上を配置
教育委員会に聞きました
ネットワークのフルクラウド/ゼロトラスト化など
学習・校務共に総合的な教育ICT環境を整備
教育ICT推進課が中心となって印刷機器の再編を検討
アカデミックプランでの一括契約で事務業務の軽減を実現
久留米市教育委員会
教育部 教育ICT推進課
課長
新村 敏 様
(注)記載の各所属・役職は、取材のあった2024年11月時点のものです。(以下同)
久留米市では令和2年4月の「久留米市教育振興プラン」開始とともに、専門部署として市教委内に教育ICT推進課が発足しました。人材育成を柱に、学びの質の高さ、先生方の働き易さなど全体環境を整えるうえで、それまで教員用PC・校務支援システム・校内ネットワーク・PC教室のPCやプリンターは教育センター、印刷機器は学校教育課が担当でしたが「GIGA スクール構想」のタブレットPC導入に伴い、これらを一括して効率良く整備・運用していくのが狙いです。
教育ICT推進課では、年度内に全市立学校に校内無線LAN環境整備と、児童・生徒1人1台のChromebook™ またはiPadの配備を完了し、令和3年度からタブレットPCを使った授業を開始。また、この年に教職員の働き方改革や教育の質の向上を目的として印刷機器再編の検討を開始し、一部の小中学校での複数社の機種のテスト運用や、プロポーザル方式による事業者選定などを経て、エプソンのアカデミックプランを導入することになりました。
それまで使用していた印刷機器のリース期限に合わせて令和4年9月より3年に分けて順次導入を行い、現在は全小中学校にエプソンの高速カラーインクジェット複合機を設置しています。アカデミックプランでの契約により、消耗品の無駄もなくなり、在庫・発注管理など事務職員の業務負担も大幅に軽減することができました。
この一方で、令和3年度には教員用PCや校務支援システムを含めた校務環境全体の更新時期を迎えていました。
「GIGA スクール構想」の対処と並行しながら、利便性や安全性、低コスト化を実現させるためにフルクラウド/ゼロトラスト化への検討も開始。約2年間の関係部署との協議などを経て、校務環境をフルクラウド/ゼロトラスト化することを決定しました。令和5年度には、全ての教員用PCを無線LANや生体認証に対応した機種へ変更し、また校内ネットワークも従来の校務系の有線LAN環境を廃止し学習系の無線LAN環境に統合したうえで、フルクラウド/ゼロトラスト環境を構築しました。さらに令和6年度には校務支援システムの更新も完了。また、令和6年11月から、新たに全中学校にデジタル採点システムを導入して運用を始めました。無線LAN対応やスキャンデータのクラウド保存、ADF(注1)でのスキャンやカラー印刷ができる複合機が既に各校に設置されていたので、導入もスムーズに行うことができました。
ハード面だけでなく体制面では、校務関係は「久留米市立学校ICT活用推進協議会」を、学習関係は「くるめGIGA スクール推進協議会」を発足し、学校や教育委員会、その他関係団体が一体となり、校務環境の利便性向上、先進的な教育実践、教員のスキル向上、情報共有などを推進しています。各校では校内の中核となって取り組む「教育ICT活用コーディネーター」と「教育ICT推進リーダー」を決め、教職員全体への浸透と底上げを図っています。また、働き方改革についても、市教委が「久留米市立学校における働き方改革プラン」を策定し、継続的な改革に取り組んでいます。
(注1)ADF:オートドキュメントフィーダー
全体として今までの予算内で調達ができ、
機器や枚数、保守も含めた最適化が図れた
リース期間を揃えた一括調達への変更を考え、契約期間は
全てのリース開始時期を合わせられるように配慮
久留米市教育委員会
教育部 教育ICT推進課
荒巻 亮壱 様
久留米市教育委員会
教育部 教育ICT推進課
牛島 尊正 様
久留米市は平成17年に5市町が合併したこともあり、地域ごとに調達していた機器類が多く、毎年のようにPC・プリンターなどの契約や入札を実施していました。各校の設置機器や調達時期もバラバラなため、消耗品の在庫管理や発注・伝票処理など事務職員の業務負担や、修繕費コストなども増加。経費を抑えるためにカラー印刷をできる限り使わないといった運用も行われていました。また、学校規模などに関係なく一律で孔版印刷機、モノクロコピー複合機、PC教室にカラーレーザープリンター、モノクロレーザープリンター各1台をリース契約して配置していたため、児童・生徒数の多い学校では、各校予算で独自にプリンターを購入したり、PC教室に配置したプリンターを職員室などに移動させて使ったりしていました。一方、市教委側でも、タブレットPCやネットワーク、教員用PCや校務支援システムの導入・更新といった管理工数も年々増加している状況がありました。
こうした状況を踏まえ、学校の印刷環境の最適化や、管理業務の負担軽減、消耗品などの費用抑制を図るために、印刷環境の見直しを行うことにしました。具体的には3点のことに留意。1点目は、学校現場の事務負担の軽減を図るため、消耗品等の管理・発注等が不要となり、かつ印刷枚数の管理も容易な月額定額方式とすること。2点目は、学校規模等に応じた台数・スペックの印刷機器を導入すること。3点目は、既設機器をできる限り活用しながら既存予算の範囲内での導入を基本とした計画とすることです。
印刷環境の見直しにあたり、物が良くて価格が安いだけでは学校現場も満足いかない部分が多いため、保守サポートなどの運用面や、フルクラウド/ゼロトラスト化にも安定的に対応できることも重要なポイントと考えました。
これらを総合的に判断するため、プロポーザル方式での事業者選定を行い、結果として、総合評価が高かったエプソンの高速カラーインクジェット複合機とアカデミックプランを選定することになりました。
組織として長期的に運用するうえで、管理のシンプル化で
手間や時間の負担が減れば、さらなる環境改善へ向けられる
エプソンの高速カラーインクジェット複合機を導入してからは、Windows® PCやChromebook™ 端末からすぐにカラー印刷ができるようになりました。校務系と学習系ネットワークを統合したため、教室からでも印刷ができます。
両面印刷のスピードも速く、画質も綺麗で、顔料インクなので滲んだり湿気で用紙が貼り付くこともなく、ADF(注1)でスキャンしたデータをEpson Connectを使ってクラウド上に保存もできるので、大変便利に活用されています。
導入前は印刷機の台数が減ることで先生方から不満が出るのが心配でしたが、今は印刷環境に関する不満はほとんど聞かなくなりました。
人事異動などで人が入れ替わる中、長期的に安定運用していくには、契約や更新、消耗品発注や修理依頼、引継ぎなど、管理業務をシンプル化していくことが重要です。また、手間や時間の負担が減れば、その余裕をさらなる環境改善へ向けられます。学校のICT環境や印刷環境については、ようやくフルクラウド/ゼロトラスト化がスタートしたばかりでこれからですが、今後も色々な視点から検証と改善を続けながら、より良い環境構築を図っていきたいと思います。
(注1)ADF:オートドキュメントフィーダー
冊子印刷などに便利なステープルフィニッシャー付LX-10050MFは職員室に設置(日吉小学校)
職員室隣の印刷室にもLX-10050MFを設置(日吉小学校)
PX-M7090FXは印刷室に設置(日吉小学校)
A4サイズ印刷のPX-S880Xは、事務室に設置してあり主に事務職員が使用(日吉小学校)
教材にカラーイラストを入れて印刷できるので、児童に出題でのシーンや表情が伝え易くなった(日吉小学校)
気軽にカラー印刷ができ、図書室のカテゴリー分類も工夫してひと目で分かるようになった(日吉小学校)
導入校に伺いました
ワークシートやお便りが、カラー印刷のおかげでイメージ通りの状態で児童や家庭に届けられる
カラー印刷のおかげで、子どもたちの学習意欲も高まり、教員の熱意ともつながり合う波及的効果に大変感動してる
久留米市立日吉小学校
校長
加藤 文人 様
久留米市立日吉小学校
教頭
田中 詠子 様
日吉小学校は140年以上の歴史を持ち、約90名の6年生全員で演奏・隊形移動を行う伝統的なマーチングバンド「金管バンド隊」が有名です。県南地区最大の夏祭りである水の祭典や土曜夜市にも出演しています。
また、2016年12月に竣工した最新の校舎や校長である私が昨年度に教育ICT推進課から異動してきたこともあり、ICT教育や校務のDX化にはとても力を入れています。
「めあて→つくる→高める→まとめる」を基本スタイルに、ICTの利活用や協働的な学びでの新しい授業スタイルへの試みや工夫などを続けており、私自身も情報発信をしたり、2023年6月からは日吉小独自で校内ポータルサイトを立ち上げたり、それを活用してチームでの共有・協働や、評価・改善により環境の向上に努めています。
例えば、職員会議資料などはPDF配布でペーパレス化、出欠連絡もGoogle™ Formsなどで管理しています。しかし、プールや持久走カードなどは、保護者から当日朝の子どもの様子をチェックして記入するので紙の用紙のほうが良いという意見や、入力だと忘れ易いという意見が多かったため、データとアナログ管理での使い分けや連携を工夫しています。
エプソンの高速カラーインクジェット複合機とアカデミックプランを導入したことで、PCから直接カラー印刷できるようになり、ワークシートやお便りなどが、作成時のイメージ通りの状態で児童や家庭に届けられるようになりました。
また、デジタル教科書やタブレット画面上と同じ色で印刷できることは、子どもたちにとって大変有効な学習支援で、モノクロ印刷の頃とは違って色の温かみや雰囲気が表現でき、道徳では挿絵イラストの表情による心情の違い、家庭科では野菜の色によるグループ分けなどの理解もし易く、作成した意図や写真に込めた思いなども伝わり易くなりました。
保護者や地域の方からは、運動会のしおりをお渡しした際に、「今年のしおりはカラーで、シンボルの楠も緑ですね。」と喜びの声をいただきました。一目で内容がよく分かり、特別感があって見る楽しみがある、そんなカラー印刷のおかげで、子どもたちの学習意欲が高まり、教員の熱意ともつながり合う波及的効果に大変感動しています。
グループ印刷機能やお気に入り機能が大変便利
操作パネルに登録して効率良く活用している
久留米市立日吉小学校
教務担当主幹教諭
(ICT活用コーディネーター)
牟田 真希子 様
私は日吉小学校の「教育ICT活用コーディネーター」を担当しています。校内のICT環境を整備したり、教職員や児童のICT活用をサポートしたりする役割で、Chromebook™ の管理や不具合時の対応、デジタル教科書や校務支援システムの設定などを行っています。また、授業でICT活用を推進する「教育ICT推進リーダー」とともに、ICTに関する研修会への参加、校内での学習会などを実施しています。
会議資料や指導案・レポートなどを印刷する時、以前は孔版印刷機で印刷して、丁合機で重ねて、ステープラーで留めてと、作業に1時間以上かかることもありました。孔版印刷機ではマスターの交換や排版ボックスがいっぱいになったときの手間や、写真やイラストが多いと濃度調整で何度もやり直すことがありました。カラーコピー機もありましたが、カラー印刷はコストが高いため、印刷枚数によって、コピー機・孔版印刷機・カラーレーザープリンターを使い分けるよう言われており、とても面倒で不便に感じていました。資料印刷のために会議が遅れたり、印刷の時間を考慮して日程を組んだりする必要もあったほどです。
現在、資料をデータで共有することも多くなりましたが、学校現場では紙で配布するものも多くあります。エプソンの高速カラーインクジェット複合機になってからは、印刷のスピードも速く高画質で、コピー用紙でも綺麗に写真印刷ができます。Chromebook™ で作成した夏休みの日記や図工の作品なども、印刷して教室に掲示しています。冊子印刷は両面印刷とフィニッシャー機能により大変楽になり、学校経営要綱は印刷会社に頼む必要がなくなりました。
また、全校分の印刷は、グループ印刷機能でクラス毎に分けることができるので、印刷が終わるまでついている必要がなく、その間に他の業務ができます。「お気に入り」機能を使って操作パネルに登録して、効率良く活用しています。
スキャナーは、教科書の挿絵などをスキャンしたり、児童の作品を出品する際に保存用として活用したり、古い紙教材をデータ化して保存するのに活用しています。スキャンしたものはクラウド上に保存されるので、すぐに自分のPCで加工することもできます。
学年毎のグループ印刷、微妙な大きさの用紙はサイズ固定印刷など、よく使う機能をお気に入りに登録
カスタマイズしたスキャンやコピー設定も、お気に入りに登録して、使い易いように工夫している
カラー印刷がいつでもすぐにできるので、プリント、コピー、冊子印刷、スキャンなど、さまざまな用途に活用
印刷機器の消耗品の在庫・発注管理、複数の連絡先管理、伝票処理、予算管理などが不要に
リモート監視機能で、カウンター枚数やインク残量を確認でき、なくなる前に自動的にインクが届く
久留米市立日吉小学校
主任主事(事務)
蒲池 絢香 様
以前から、印刷機器にかかるコストを下げるよう努力していましたが、カラーレーザープリンターのトナーは消耗品単価が高く、どうしても必要な掲示物など以外の場合は、カラー印刷はほとんど使用していませんでした。
また、印刷機ごとにメーカーやインクの種類が違うため、消耗品の在庫・発注管理、複数の連絡先管理、支払いに関する伝票処理などにも手間がかかり、さらに本校は印刷枚数も多いため、年度末までの予算配分など予算管理が大変でした。
それがアカデミックプランの導入で、何も気にせず全てカラー印刷ができるようになりました。先生方は、LX-10050MF(1台はステープルフィニッシャー付)を中心に、私の事務業務では、主に提出物や作成書類は中速複合機のPX-M7090FX、A4サイズはPX-S880Xを使用しています。今は無線LANを使って校内のどこからでもスピーディーに印刷がかけられるので、先生方が印刷待ちすることも、ほとんどなくなったように感じます。
また、なくなる前に自動的にインクが届くので、在庫管理や発注作業をする必要もなくなり、契約も定額制で市教委側に行ってもらえるので、予算管理の心配も全くなくなりました。また、紙詰まりや故障なども少なく、何かトラブルの際も、連絡先が1個所だけなので先生方に直接連絡してもらい、こちらでは後で報告だけを受けています。
リモート監視機能で、カウンター枚数やインク残量を確認できるため、たまにチェックしてインク交換をしていますが、大容量インクなので交換頻度も少なく、液晶パネルの画面を見ながら誰でも簡単に行えます。
契約時に設定した印刷枚数が適正であるため、印刷に関して、こちらで一切制限はかけていません。なによりさまざまな業務負担が減ったことで、精神的にも大きな余裕が生まれました。
行事のしおりや協議会の資料なども、写真入りで内容が視覚的に伝え易くなった
学校通信や学級通信、運動会のプログラムなども写真入りでカラフルに制作できるので見易く、教室や校内が華やかで活気ある雰囲気になった
給食の献立や使用している地場の野菜や果物などもイラストや写真を使ったカラー印刷で、分かり易くアピールすることができる
まとめ
導入効果
- 校務支援システムの更新時にフルクラウド/ゼロトラスト化を実現。同時に印刷環境の刷新を図り、学校のICT環境を充実
- 印刷スピードが速く、画質もカラーで綺麗。両面印刷やフィニッシャー機能により冊子印刷の手間も大幅に軽減
- 学年・学級単位に部数を指定して仕分け印刷ができるグループ印刷が便利
- よく使う機能は「お気に入り」登録で使い易く
- 紙詰まりや故障なども少なく、インクも自動的に届くので、トラブル対応や、消耗品の在庫・発注・予算管理など、事務職員の管理業務が大幅に軽減
お客様のご紹介
久留米市教育委員会様
所在地 | 福岡県久留米市城南町15-3 |
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規模 | 小学校44校761学級17,099人、中学校17校279学級7,598人 |
教職員数 | 小学校1,042人、中学校522人(2022年5月現在/特別支援学級含む) |
久留米市は福岡県南西部にある中核市。人口30万242人(2024年10月1日現在)で福岡県で第3位。福岡市から約40km圏に位置し、筑後川の恵みに育まれた自然豊かな街で米、麦、野菜、果物などの生産が盛ん。江戸時代には久留米有馬藩の城下町、近代は久留米絣に代表される伝統工芸やゴム産業など「ものづくりのまち」として発展し、県南地域の要衝都市として独自の経済圏を形成している。
また「医者のまち」としても知られ、市内には32の病院と300を超える診療所があり、人口10万人あたりの医師数は全国の政令市・中核市でトップクラスと医療環境が充実している。
教育では、ふるさと久留米を愛し、ともに社会を生き抜く力の育成を目指して、平成18年度より教育改革プランを実施。これまでの3期にわたる取組効果を検証し、充実・定着・拡大していくため、令和2年度から令和7年度までを期間とする「久留米市新総合計画第4次基本計画」に基づく「久留米市教育に関する大綱」と「久留米市教育振興プラン」を策定し、さらなる推進を図っている。
ICT環境では、「GIGAスクール構想」に基づき、校内無線LAN環境とタブレットPCを全ての市立学校に整備し令和3年度から運用を開始。さらに令和5年度にはフルクラウド/ゼロトラスト化、令和6年度には校務支援システムを更新するなど、教育環境や教職員の働き方の整備を続けている。
お客様のご紹介
市立日吉小学校様
所在地 | 福岡県久留米市日吉町77-1 |
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児童数 | 22学級540人 |
教職員数 | 33人(2024年10月現在/特別支援学級含む) |
設置場所 | 職員室にLX-10050MF ステープルフィニッシャー付×1台、印刷室にLX-10050MF×1台、PX-M7090FX×1台、事務室にPX-S880X×1台設置 |
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