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フォトコンテスト
いちゃりばちょーでー
山中 健次
都市部ではなかなか見ることができなくなった子どもたちの警戒心のない透き通った瞳や青空の印象を強く感じる作品です。タイトルは“一度出逢ったら皆兄弟”といった意味の沖縄の方言だそうですが、きっと作者は沖縄に通って実際に皆と友達や仲間になったからこそ、撮ることができた表情やポーズなのではないかと思います。顔料インク採用のSC-PX3Vを使用したプリントも仕上げが良く、大きなA3ノビのプリントが作品を更に冴えて見せています。白フチの付け方なども適切です。ベテランの作者らしく、撮影から仕上がりまでを考え抜いた安定感のある作風も魅力的です。
旅先に限らず、被写体となる人物とコミュニケーションをとりながら撮影するのは、なかなか難しいのではないかと思います。ところが、この作品では旅先である沖縄の地で、まるで友達や家族を撮るかのように人物の表情を引き出していて、作品の最大の魅力につながっています。おそらくは、時間をかけて撮り溜めることで良い表情や面白いシチュエーションを引き出しているのだと思いますが、人物にここまで迫って表情などを的確にとらえている点は、作者の技量も感じさせます。プリントもマット紙を上手く生かしていて、作品にあった表現になっていると思います。
山中 健次さん
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山中 健次さん
昨年は、ヒューマンライフ部門優秀賞入賞。そして、今年は見事グランプリを獲得されました。ご感想はいかがですか?
山中:撮影に出かけては、主に人物を撮影しています。ただ最近は肖像権について色々話題になりますので、なるべく声をかけて撮影しています。しかし、なかなか撮らせていただけず、撮影を諦めざるを得ないこともあります。人間味のある作品や、物語・ドラマのある作品が好きで、今回、昨年以上の評価をいただき大変嬉しく思っています。
今回の作品「いちゃりばちょーでー」の視点はどのようなものでしょうか?
山中:沖縄言葉の「いちゃりばちょーでー」は、「一度出逢ったら皆兄弟」という意味です。2000年ごろから沖縄の農山漁村や市場を巡り、時には地元の人々と一緒に酒を飲み交わしながら撮影しています。農村では「これを食べないか」と畑の畔でぜんざいを御馳走になったこともありました。その出会った人々の心を感じていただければ幸いです。
フォトコンテストや、プリントへのこだわりはどのようなものでしょうか?
山中:自分の進む方向性や考えが間違っていないか確認するために、フォトコンテストに応募しています。特にプリントは審査に影響しますので、こだわりがあります。絹目調を使用することが多いのですが、作品の内容によって用紙を変えています。今回は、大らかで明るく飾らない人々を表現したかったのでフォトマット紙<顔料専用>を使用しました。