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PRIDE
河本 花波
■岡山県 ■作品サイズ:A4、2枚組 ■使用プリンター:キヤノン「PIXUS PRO-10」
■使用用紙:エプソン「写真用紙クリスピア<高光沢>」
二人の人物を組み合わせる大胆なアプローチ。それぞれ鼻から1/2ずつ捉えるのではなく、アシンメトリーに切り取ったことで違和感を抱かせたことが功を奏しました。また、昨今は肖像権を意識するあまり面と向かった人物写真が少ない中で、撮る方撮られる方、互いの感情がバチバチとぶつかり合うように対峙した本作はインパクト十分。枚数の多いハイレベルな超大作組写真が集まった審査テーブル上でもモノクロ2枚組の本作は際立ち、最上の評価を勝ち取りました。撮り方もプリントも粗削りではありましたが、それを上回る作品力に飲み込まれたのが本音。将来性が感じられるという点で、コンテストの趣旨にもフィットしての受賞となりました。
目線やメッセージの強さがストレートに伝わってくるアグレッシブさが魅力の作品です。審査の初期段階から印象が強く残っていて、迷わずこの作品を選びました。感情がきちんと乗った写真なのが何より素晴らしいと思います。タイプの違う2人の人物に注がれる作者の目線は同質でも、それに返してくる2人の意識は違っているというのが面白く、潔く2枚の写真で完結している点もいいと思います。また、2枚の写真がグラフィック的になり過ぎず、それでいて1枚では成立しないというバランスの上に成り立っていて、印象をより強固なものにしています。まだまだ粗削りな作品ですが、内容の強さがそれをカバーして気にさせない所にも凄みを感じます。
グランプリ
河本 花波さん
グランプリに選んでいただき、ありがとうございます。ご連絡いただいた時は、びっくりしました。
作品制作は、高校生を被写体として「アオハル(青春)」をテーマに撮り続けているシリーズがあります。私はもちろん、友人や後輩達も高校を卒業してしまったのですが、知り合いやSNSを活用しながら、現役の高校生を撮らせていただいていて、今回の作品もこのシリーズの作品の一部です。私の中に“表現したい”という気持ちや、多くの人に見ていただきたいという気持ちが強いので、写真展の開催やコンテストへの応募などで、作品を発表していきたいと思っています。
この作品は「自分自身との闘い」といったものがテーマになっています。人には不安や迷い、葛藤などがあって弱い生き物だと思うのですが、私自身がそうした感情と闘いながら強く生きていきたいと思っていて、それを目だけで表現できないかと考えて撮影した写真です。最初はもっと引いた状態で撮っていたのですが、できるだけ目に近寄って撮ることで、目ぢからの強さが表現できました。ただ、そのまま撮ると、目ぢからの強さだけが際立ってしまうので、ススキを前ボケとして入れ、「儚さ」のようなものが少し感じられるように構成しています。
応募のきっかけは、賞品として、グループ展が開催できる権利がいただけるというところでした。東京で展覧会を開催して、多くの人に作品を見てもらいたいという思いがあったため、展覧会の開催権があるコンテストを探していました。ところが、入賞作品を展示してくださるコンテストは数多くあるのですが、入賞作品とは、別の作品を展示できるコンテストはほとんどありませんでした。まさかグランプリをいただけるとは思っていなかったですが、グループ展「meet up! EXHIBITION」での、より良い展示ができるように今後も頑張ります。
本格的に写真を始める前は、それこそデータだけでいいと思っていたのですが、コンテストに応募する際などに、プリントするようになると、プリントとモニター上で見るのとでは、受ける印象が大きく異なると感じました。デジタルの時代だからこそ、写真をプリントで見ることに意味があるようにも感じています。現在は、プリントに対する“こだわり”といったものを持つところまで到達できていませんが、きれいにプリントしたい、大きくプリントしてみたいという気持ちは強いので、グループ展に向けてプリント作業をするなかで、色々挑戦したいと思っています。
仮面な彼女
成瀬 夢
■大阪府 ■作品サイズ:A3、16枚組 ■使用プリンター:エプソン「PX-5V」
■使用用紙:エプソン「写真用紙 <絹目調>」
多様なバリエーションは溢れ出る発想の賜物。それぞれシチュエーションが異なっているだけでなく、マスクも場所ごとに合わせて用意されている。その作り込みの丁寧さは驚愕に値します。1枚1枚の完成度が非常に高く、被写体との距離、シーンごとの表現力、横位置・縦位置写真の使いわけ、作品セレクト、構成に至るまで隙がありません。学校や通学路など作者の身の回りの物や場所をフルに使ってのびのびと作品制作をしています。プリントも美しく、トーンが統一されているのは見ていて心地よいです。撮影、表現、プリントとどれを取ってもレベルが高く、アーティストとして将来どこまで伸びていくのか興味があります。今後の作品にも大きく期待しています。
写真作品でありながら、ファインアートに極めて近く、背景やマスクをキッチリと記号化している点が特徴的。こうした作品は、下準備が完璧にできていないと作れず、膨大な手間がかかるはずなのですが、それを実現している点は凄いと思います。審査では、この作品をグラフィック(写真)として見ている訳ですが、アートとしてのコンセプトや本来持つメッセージを聞いてみたい作品です。また、そうした部分が見えてくるようになると、もっと突き抜けた作品になっていくのだと思います。今は、努力を買われて評価されている部分が大きいのですが、これがさらに完成形に近づいていったときに、どういった作品になるのか、非常に興味深く感じました。
エモい
小池 裕也
■神奈川県 ■作品サイズ:A3ノビ、24枚組 ■使用プリンター:エプソン「PX-5V」
■使用用紙:ピクトリコ「ピクトリコプロ・ソフトグロスペーパー」
グランプリこそ逃しましたが、全応募作品の中でも極めて完成度の高い作品のひとつと言えるでしょう。絵作りが圧倒的に上手く、写真1枚1枚の情報量があるのにスッキリとまとまっている。日々コツコツと膨大な量を撮影していたことが容易に窺え、幅を持たせる絶妙な作品セレクトと組み方で見る側を退屈させない内容に構成している点は見事です。「魅せる仕上げ」も完璧で、トーンを揃えながら1枚1枚丁寧にプリントされているのが伝わってきます。抜群の安定感は作者の武器ですが「諸刃の刃」に感じなくもありません。変化・挑戦・裏切りのような作品を入れ込むとより個性を発揮できるでしょう。
安定した作風でいろいろなものを撮っている良作です。同じようなトーンと視点、意識で撮られていて、非常にバランスが良く、しかも枚数が多い作品。びっくりするほどの安定感があります。これだけの数があると、ブックなどにして見せても面白そうに思いますが、今回はA3で大きくていねいにプリントされていて、密度と迫力の両方が表現されています。このように、様々な技法を用いているのですが、中でも感心したのが、ほとんどすべての写真でトーンを合わせている点です。黒と白、グレーのボリュームが、各プリント間で同じになるように調整すると、トーンが揃って見えるのですが、そうした技術を用いて、枚数の多い作品全体のトーンを揃えているのは見事です。
OUR STRENGTH IN THE SORROW
馬場 さおり
■福岡県 ■作品サイズ:A4、28頁ブック形式
写真集として売っていたら間違いなく買うと思った作品。写真のうまさ、力強さに加え、次のページの展開が気になる面白さ。ブックで量を見せるには「飽きさせないこと」が重要ですが、そんな心配は無用なほどに内容が充実しています。センセーショナルな内容や色に打ちのめされそうになるページもありますが「これ以上続くと我慢できない」というタイミングで引きの写真を入れたり、メリハリをつけたりと絶妙な構成をしています。登場人物の多さ、被写体との距離の取り方のうまさ、感情の揺れの描き方は見る者を一瞬にしてブックの世界に飛び込ませてしまいます。自分や他人と本気で向き合うってこういうことなのかもしれません。
ドキュメンタリーの技法を用いながら、自己を表現していくという“超ドキュメンタリー”といえる撮り方で、第三者を撮りながら、実際には自分を写し込んでいる素晴らしい写真です。撮影者の生きざまがキッチリと写し込まれているところに凄みが感じられ、作者の生活がすべてここに写っているかのよう。実際、被写体の人々と同化して、“内側”から写している、あるいはさらけ出している感じがひしひしと伝わってきます。また、ブックという表現形態も面白いと思います。写真によるブックは、小説家が長編小説に挑戦するのに似ていて、主に長いストーリーを表現する手法です。この作品でもストーリーの面白さが存分に感じ取れる仕上がりになっています。
本コンテストが創設された昨年は応募者、審査員共に方向性を探りながらでしたが、今年は前回の結果や上位入賞者によるグループ展「meet up! EXHIBITION」を踏まえた上での戦いと感じました。印象的だったのは固定観念や既成概念のない若年層や写真歴の浅い作者による応募が増えたこと。写真歴の長いベテランやコンテスト入賞常連者は作品の安定感と完成度の高さこそありましたが、既視感ある内容とアプローチが多いのは否めず、評価されることは稀でした。本コンテストはたとえ粗削りや発展途上でも写真作家としての伸びしろや将来性があると感じられる作品には高い評価をつける傾向があり、第2回目もそれが反映される結果となりました。
昨年よりも若い応募者が増えているようで、写真の内容がさらに面白いものになっていると感じました。前々から、若いチャレンジャーを増やしていきたいと清水さんともお話をしていて、それが現実になってきています。最初、作品を通して見たときに圧倒されるような作品が少なく感じて不安にも思ったのですが、それぞれの写真をじっくり見てみると、粗削りでも面白い作品が多く、今後に期待を持たせてくれるような写真が多かったと思います。審査も去年よりも楽しく行え、meet up! -selection-らしさといったものもできつつあると思いますが、それは年代関係なく、チャレンジしていることというのが、キーワードになっているかと思います。
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