シリーズ名: | 2008 オートバックス SUPER GT(S-GT) |
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大会名: | 第8戦・SUPER GT in KYUSHU 300km |
距離: | 4.674km×65周 |
予選: | 10月18日 晴れ ・観衆:1万5000人(主催者発表) |
決勝: | 10月19日 晴れ時々曇り・観衆:2万8800人( 同 ) |
残暑もすっかり影を潜め、朝夕は涼しいというよりも肌寒ささえ感じるようになった10月18?19日、大分県は日田市にあるオートポリスにおいて、SUPER GT in KYUSHU 300kmレースが開催された。17日に行われた練習走行も含めて、週末は秋晴れの好天に恵まれた。年に一度のSUPER GTとあって、4万人を超えるファンが集まり、世界最強最速の“ハコ車”が繰り広げるハイスピードバトルを堪能した。走り始めとなったのは、いつものように金曜日の練習走行から。午後の2回目ではロイックが、予選モードに切り替えると一気に5番手までタイムアップ。公式予選に向け、期待が高まっていった。
公式予選が行われた土曜日も、引き続き好天に恵まれた。金曜日に比べて日射しも強く、気温は午前中から20℃を超え、路面温度も30℃近い状況で1回目の公式予選が始まった。午前中の1回目は、GT300クラスとGT500クラスの専有走行時間帯、そして両クラスが混走する、それぞれ20分間ずつの3つのセクションで構成されていたが、GT500クラスのセッションで思わぬハプニングが起きた。20分間の専有走行時間帯も残り2分となったところで1台のマシンがスポンジバリアにクラッシュ。直ちに赤旗が提示されセッション中断となった。この専有走行時間帯では、各チームのエースドライバーが全開でタイムアタックするが、僅かでもコンディションがよくなるセッション終盤にアタックが集中するのが常。今回も多くのマシンがこの僅かな時間帯に集中してタイムアタックを行っていたが、赤旗中断とともに公式タイム計測も止まってしまうため、タイムは無効となる。モニター上ではロイックがマークした1分41秒226は3番手だったが、1台のマシンはこのタイミングで計測されたタイムで無効。もう1台のマシンはセッション終了後の再車検で車輌規則違反であることが判明し、こちらはタイム抹消。結果的に1分41秒226がセッションベストとなり、ロイックはトップで午後のスーパーラップに進出することになった。
そのスーパーラップでロイックは、最終アタッカーとなり、2位のマシンに僅か及ばなかったが、それでも2列目のポジションを確保し、燃料がフルタンクの状態での優位性を示しながら「表彰台を目指します」と断言していた。日曜日は、少し雲が顔を覗かせていたものの、相変わらず好天に恵まれた。朝一番のフリー走行でもマシンは好調で、総合5番手のタイムをマーク。久々に白熱したレースとなりそうな予感があった。スーパーカーのパレードランにチェッカーフラッグが振られると、いよいよメインレースのスタート進行が始まった。8分間のウォームアップでマシンの状態を最終確認したロイックが、3番手グリッドにマシンを着けると、限られた時間の中でスタッフが最後のマシンチェック。セレモニーの後、総てのマシンが隊列を組んでローリングラップにスタート。ローリングラップで1周した後、正式なスタートが切られた。
スタートではロイックが絶妙のダッシュを見せた。1コーナーまでに2番手スタートのNSXをパスし、1ポジション上げて先を急ぐ。ただ、トップに立ったGT-Rはさらに速いペースで逃げ、ロイックが3秒程度の間隔で続く。7周目にはスタート直後にパスしたマシンに再度抜き返されたが、その後はロイックが踏ん張った。だが、少し無理をし過ぎたかロイックが担当する前半スティントの半ばを過ぎてくると、タイヤが厳しくなったようで、ロイックもペースをセーブせざるを得なくなる。それでも序盤に築いたリードもあり、ロイックはその後も3番手のまま周回を続けることになる。上位のマシンが早めのピットインを行ったことで、27周目にはロイックがトップに立った。その3周後にはロイックもルーティンのピットイン。後半を受け持つ平中にステアリングを託すことになった。
ガソリン補給にタイヤ交換。チームスタッフがルーティンワークをノーミスで終えると、代わった平中が勇躍ピットアウトしていく。ピットインのタイミングで11番手までポジションダウンしたものの、その直後にはライバル各車も続々とピットイン。混乱の中、ステディなペースで周回を重ねていった平中は、全車のピットインが終わった段階では、再度2番手までポジションを上げることになる。この時点でトップを逃げるのは、ポールスタートのGT-Rのみ。タイム差は20秒ほどだったが、平中は渾身のドライビングで猛プッシュ。一時は16秒差にまで詰めることに成功した。だが、レースも終盤になるとコース上にはタイヤかすなどが散らばってきて、バックマーカーの処理などでも、一度ラインを外すとタイヤがゴミを拾ってしまい、いきなりペースダウンしてしまう。これで再度ギャップを拡げられてしまい、その後は2位のポジションをキープする作戦に切り替えた。そしてその作戦通りに2位でチェッカー。好ダッシュで序盤を盛り上げたロイックとともに平中は、コンビ初となる表彰台で九州遠征を締め括った。残すは最終戦の富士。残念ながら逆転タイトルの可能性は残っていないものの、06年、07年と連勝した相性のいいコースで、チームは今季初の優勝を目指す。