補助金に関するコラム

第10回 特別枠新設!補助額アップ!
2022年補助金はどうなりますか?

2021年11月26日(金)、中小企業関係の令和3年度の補正予算案が公開されました。その予算案によれば、事業再構築補助金・ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金などの大人気補助金は2022年では特別枠が新設されたり補助額がアップしたりするとのことです。そこで今回は2022年の補助金の傾向についてご紹介します!

〇事業再構築補助金
売上が減少した事業者が新しい事業を始める際の取組を支援する事業再構築補助金は、2021年に新設されたばかりですが、数万もの事業者が申請している最も人気が高い補助金です。

売上減少の基準は「2020年4月以降の連続する6カ月間のうち任意の3カ月間の合計売上高がコロナ以前と比べて10%以上減少」及び「2020年10月以降の連続する6カ月間のうち任意の3カ月間の合計売上高がコロナ以前と比べて5%以上減少」となります。しかし、2022年から「2020年4月以降の連続する6カ月のうち任意の3カ月の合計売上高がコロナ以前と比べて10%以上減少」のみに変更され、要件が緩和されます。

枠については、現行の「通常枠(最大8000万円)」・「最低賃金枠(最大1500万円)」・「大規模賃金引上げ枠(最大1億円)」の他に、新たに「回復・再生応援枠」と「グリーン成長枠」が設けられます。尚、「緊急事態宣言特別枠(最大1500万円)」は撤廃されます。

「回復・再生応援枠」は赤字が続く事業者等を支援する特別枠です。2022年に撤廃される「緊急事態宣言特別枠」と類似した要件(「売上高が前年または前々年同期比30%以上減少している事業者が対象」など)になると考えられます。上限額は1500万円、補助率は中小企業3/4、中堅企業2/3です。

「グリーン成長枠」は政府が定めたグリーン成長戦略「実行計画」14分野(住宅・建築物・次世代マネジメント、半導体・情報通信、次世代熱エネルギーなど)に関する課題解決に資する取組を支援する特別枠です。近年のSDGsや脱炭素に資する取組の世界的な広がりを受けて、政府は「グリーン化」を重点施策の1つとして掲げており、上限額も中小企業1億円(補助率1/2)、中堅企業1.5億円(補助率1/3)と高額で設定されています。また、この特別枠のみ売上減少要件が撤廃されています。

尚、2022年(第6回公募)以降は、従業員数100人以下の場合、通常枠の補助上限額が2000万円下がります。現行の上限額では、【従業員数20人以下】4,000万円、【従業員数21~50人】6,000万円、【従業員数51人以上】8,000万円となりますが、2022年からは【従業員数20人以下】2,000万円、【従業員数21~50人】4,000万円、【従業員数51人~100人】6,000万円、【従業員数101人以上】8,000万円となります。高額の設備投資を検討している方は2021年1月公募予定の第5回公募での申請を検討しましょう。

〇ものづくり補助金
革新的な製品やサービス開発、生産プロセスの改善に資する取組を支援するものづくり補助金については、現行の上限額は1000万円だった「通常枠」が2022年から1250万円にアップします。また、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」、「デジタル枠」、「グリーン枠」という特別枠も新設されます。

「回復型賃上げ・雇用拡大枠」は業況が厳しい事業者が賃金アップや雇用の拡大を行うための取組を支援する特別枠です。この特別枠での申請は優先的に採択するとのことです。上限額は1250万円、補助率は2/3となります。

「デジタル枠」はデジタル化に関する取組を支援する特別枠です。デジタル庁を創設するなど政府はグリーン化と同じくデジタル化も積極的に推進しています。上限額は1250万円、補助率は2/3となります。

「グリーン枠」は上述の事業再構築補助金「グリーン成長枠」と同様、グリーン分野に係る取組を支援します。上限額は2000万円(補助率2/3)となり、枠の中では最も高額となります。

〇IT導入補助金
生産性向上や業務改善に資するITツール全般の導入を支援するIT導入補助金は、現行では上限450万円でしたが2022年から上限350万円に減額されます。
対象経費は原則ソフトウェアのみでしたが、2022年からPCやタブレット、レジ等のハードウェアも対象となります。また、インボイス制度への対応を目的としたITツール導入を特に支援するとのことです。

補助額や補助率は何を購入するかによって異なります。ITツールの場合、補助額が50万円までであれば補助率が3/4、補助額が350万円までであれば補助率が2/3となります。PC、タブレット等の場合は上限10万円、補助率1/2となります。レジ等の場合は上限20万円、補助率1/2となります。

〇小規模事業者持続化補助金
小規模事業者による販路開拓全般を支援する小規模事業者持続化補助金は通常枠が上限50万円・補助率2/3ですが、新設の特別枠では上限額・補助率がアップします。

「成長・分配強化枠」という特別枠、売上が厳しい事業者が賃上げや事業規模拡大につながる取組をした場合の費用を補助し、上限額が200万円となります。また、条件に合致する事業者であれば補助率3/4にアップするとのことです。

「新陳代謝枠」は近年問題視されている後継者不足を踏まえて新設された特別枠で、創業者や事業承継者が行う取組全般を支援し、上限額は200万円となります。

小規模事業者がインボイス発行事業者に転換するための取組を支援する「インボイス枠」も新設されます。「インボイス制度」とは「適格請求書等保存方式」を意味し、どの商品が軽減税率・標準税率のどちらに適用されるか等を明確にすることで、正確な経理処理を可能にします。インボイス制度は2023年10月から開始しますが、それまでの準備を促すために、「インボイス枠」が設けられました。上限額は100万円となります。

今回ご紹介した情報はあくまで「予算案」の内容です。補正予算成立後、内容が変更される場合もあります。しかし、大幅に要件を変更する可能性は少ないため、2022年の補助金申請を検討している方は今のうちに導入する経費を決めておくことをおすすめします。