補助金に関するコラム

第11回 ものづくり補助金第10次公募開始!
最新の要件を紹介します!

2022年2月16日(水)、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)」の10次公募が開始しました。ものづくり補助金は、新規事業や生産プロセスの改善のための設備投資を支援する補助金です。申請できるのは主に中小企業・中堅企業、小規模事業者となります。10次公募から従業員数に応じて補助上限額が変わる等大幅な内容変更がされています。

今回はものづくり補助金10次公募について、詳しく解説していきます!
ものづくり補助金の補助率は原則1/2となります。つまり1,500万円の設備を購入した場合、750万円の補助金を受給できます。また、小規模事業者は補助率2/3にアップするため1,000万円を受給できます。

尚、上限額は従業員数によって変わります。従業員5人以下は最大750万円、従業員6~20人は最大1,000万円、従業員21人以上は最大1,250万円となります。たとえば従業員20人の中小企業が2,500万円の設備を購入した場合、補助額は2,500万円×補助率1/2=1,250万円となります。しかし上限額は1,000万円のため、実際は1,000万円が支給されることになります。

ものづくり補助金の今までの採択率はおおよそ40~60%を推移しています。10次公募以降も同じような採択率になると想定されます。前回の9次公募の採択事例を見ると、新規事業では「ソフビに静電植毛を施した小型軽量キャラクター商品の商品化」、「次世代ドローンと解析ソフトを活用したスマート農業サービス開発」、生産プロセス改善では「そば事業の生産プロセス改善による生産性向上と小売事業への進出」、「最新型ごみ除去機の導入による砕石プラント生産プロセスの改善」等があり、要件さえ該当すれば幅広い事業が採択され得ます。

締切回 採択発表日 応募者数 採択者数
1次 令和2年4月28日 2,287 1,429
2次 令和2年6月30日 5,721 3,267
3次 令和2年9月25日 6,923 2,637
4次 令和3年2月18日 10,041 3,132
5次 令和3年3月31日 5,139 2,291
6次 令和3年6月29日 4,875 2,326
7次 令和3年9月27日 5,414 2,729
8次 令和4年1月12日 4,584 2,753
9次 令和4年3月25日 3,552 2,223

ものづくり補助金は通年で募集していますが、2~3カ月単位で締切が設けられており、第10次公募では2022年5月11日締切となります。採択決定は7月頃となり、対象設備の発注・支払い・導入等の取組は交付決定から最大10ヶ月まで(令和5年5月頃)に完了させる必要があります。

申請してから補助金を受給するまで1年以上かかることもありますが、それまでの経費はすべて持ち出しです。いかにつなぎの資金を確保できるかも審査で問われますので、きちんと説明できるようにしておきましょう。

対象経費は機械装置・システムの導入費だけでなく、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費等も対象となります。ただし、単価50万円以上(税抜)の設備投資がマストのため、少額投資のためにものづくり補助金を活用することは不可となります。

ものづくり補助金の審査の加点項目には「経営革新計画の策定」があります。経営革新計画とは中小企業が新規事業を行うための事業計画です。都道府県の承認を受ければ、ものづくり補助金の加点の他に、公的金融機関の低金利融資等の優遇措置を受けられます。つまり対象設備の費用がものづくり補助金だけでなく低金利融資でも補えることになります。

また、「先端設備等導入計画」という中小企業が設備投資を通じて生産性向上するための事業計画の策定もおすすめします。経営革新計画と違ってものづくり補助金の加点となりませんが、設備に係る固定資産税が3年間実質ゼロになるという優遇措置があります。つまり、ものづくり補助金で導入した設備に係る固定資産税をゼロにすることができる可能性があります。尚、この優遇措置は市町村単位で実施されているため、所在の市町村のHPでも実施されているか確認しておきましょう。

今までご紹介したのはものづくり補助金の「通常枠」でのケースで、他にも「特別枠」があり、補助額がアップしたり優先的に採択されたりするメリットがあります。

特別枠には、業況が厳しい事業者を対象とする「回復型賃上げ・雇用拡大枠」、DXに関する新規事業を支援する「デジタル枠」、脱炭素化に関する新規事業を支援する「グリーン枠」があります。

今回の10次公募で新設された枠のため、実際の採択事例はまだありません。しかし、「省エネ効果が高い機械装置を新たに導入し、脱炭素化と生産プロセス改善の両立を目指す(グリーン枠)」、「需要予測システムを導入することで、飲食店における販売機会損失や食品の廃棄量を減らす (デジタル枠)」等の事業が想定されます。

申請枠 上限額 補助率
通常枠 従業員5人以下:750万円
従業員6人~20人以下:1,000万円
従業員21人以上:1,250万円
中小企業:1/2
小規模事業者:2/3
回復型賃上げ・
雇用拡大枠
2/3
デジタル枠
グリーン枠 従業員5人以下:1,000万円
従業員6人~20人以下:1,500万円
従業員21人以上:2,000万円

ものづくり補助金は数百~数千万円規模の大型設備の導入を検討している事業者に特におすすめです。ものづくり補助金の申請を検討している方は公募要項を読み込み、自分がどの枠で申請できるのか、他にどんな条件があるのか等しっかり確認しておきましょう。