補助金に関するコラム

第5回 コロナ対応すれば優先採択!
ものづくり補助金の最新情報!

「ものづくり補助金」は中小企業・小規模事業者による革新的な取組や生産プロセスの改善を支援する代表的な補助金です。2021年は低感染リスク型ビジネス枠が新登場する等、さまざまな変更がありました。

そこで今回は最新のものづくり補助金について解説します!
申請対象者は中小企業と小規模事業者、及び一部の特定非営利活動法人です。尚、「公募開始時点で直近3年間の各事業年度における課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業等は対象外」という要件があります。つまり、コロナ禍でも所得が大きい事業者は対象外となります。

ものづくり補助金の申請パターンは2つの型と2つの枠で分類されています。まず「型」は「一般型」と「グローバル型」です。一般型は革新的な製品・サービス開発や生産プロセス改善を支援し、「ドローンを活用した農業手法の開発」「作業進捗を可視化するための生産管理システム導入」等の取組が対象となります。補助額は上限1000万円、補助率は1/2です。
グローバル型では海外投資や海外市場開拓、革新的なインバウンド事業の着手等、グローバル展開を目指した取組を支援します。補助額は上限3000万円、補助率は1/2です。また、事業実施期間は12カ月間であり、一般型の10カ月間より長期となっています。

次に「枠」は「通常枠」と「低感染リスク型ビジネス枠」に分かれます。通常枠は上述の一般型・グローバル型で記載したような取組を指しています。一方、低感染リスク型ビジネス枠は非対面化による対人接触減少に資する革新的な製品・サービス開発を支援するものです。AI技術を活用した遠隔操作による製品チェック、伝統芸能のオンライン講座実施、特産品のデリバリーサービス等が該当します。尚、グローバル型に低感染リスク型ビジネス枠はありません。

低感染リスクビジネス枠で申請すると補助率は2/3にアップします。また、低感染リスク型ビジネス枠で採択されなくても、通常枠で優先的に採択されることになっています。さらに、広告宣伝・販売促進にかかる経費(チラシ作成や展示会出展、営業代行利用等)も補助対象として認められます。

提出書類は事業計画書、賃金引上げ計画の表明書、直近2年間の貸借対照表・損益計算書等です。「賃金引上げ計画」とある通り、申請者は次に述べる賃上げ要件を満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に周知する必要があります。「事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる」「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる」「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする」です。この賃上げ要件を達成できなければ、受給した補助額の一部を返還しなければならない場合があります。

補助対象経費は主に機械装置・ソフトウェア等の設備投資費です。尚、設備投資にかかる経費のうち必ず1つは単価50万円(税抜)以上でなければなりません。また、中古設備を導入する場合、3者以上から相見積を取得しなければいけません。

他には、専門家経費・クラウドサービス利用費・外注費等が対象となります。尚、人件費や土地・建物関連、PC・複合機等汎用性が高いもの等の費用は対象外です。
審査では主に技術面、事業化面、政策面が見られます。技術面では事業の革新性や課題・目標の明確さが評価されます。事業化面では実施体制やスケジュール、費用対効果の妥当性が評価されます。政策面では地域への波及効果、感染リスク低減効果(低感染リスク型ビジネスのみ)等が評価されます。

また、審査では以下4つの加点項目があります。成長加点(経営革新計画の承認取得)、政策加点(創業、または創業後5年以内)、災害等加点(事業継続力強化計画の認定取得)、賃上げ加点(給与支給総額年率平均2%以上増加且つ地域別最低賃金+60円以上)です。政策加点と賃上げ加点は達成できる事業者は限られますが、成長加点・災害等加点については、少し手間を掛ければどの事業者でも押さえることができるため、補助金申請の前に、経営革新計画及び事業継続力強化計画は取得しておくことをおすすめします。

募集は通年公募であり、2~3カ月単位で締切が設けられています。ちなみに今後のスケジュールとしては、9次締切:2022年2月頃となります。

ものづくり補助金は賃上げ要件がある等申請のハードルが高いですが、その一方でコロナ禍に対応した事業であれば優先的に採択されるようになっています。革新的事業を始めたい方や大掛かりな設備投資を検討している方は是非申請してみてください!