補助金に関するコラム

第4回 補助金を不正受給した場合、
どんな罰則がありますか?

補助金の不正受給に対して、年々罰則が強化されています。安易に申請を促す悪質業者が多かったことが背景として考えられます。そのような悪質業者は「すぐに簡単に補助金を受給できますよ」と案内しつつ、単にひな形に社名を記載するだけの簡素な書類を申請書として提出させるというケースもあったそうです。実際2020年度はそのような業者が暗躍し、持続化給付金や家賃支援給付金等の不正受給が相次いで、社会問題化しました。また、補助金に係る予算が年々増加し、はじめて申請に取り組む企業も増加傾向にあるため、知識不足により意図せずして不正受給するケースも増える恐れもあります。

そこで今回は中小企業庁系の補助金(ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金等)を不正受給した場合のペナルティについて解説します。

補助金に関するルールを定めた法律として、補助金適正化法(正式名称:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)があります。補助金適正化法に違反した場合、「補助金を不正に受給しようとした」と見做されます。

主に以下の行為が不正受給と判断されます。

(1)発注日を改ざんする
決められた期間以外で発注すると、補助金は支給されません。そのため、「決められた期間より前に発注してしまった。発注日を改ざんしよう」というケースがあるようです。しかし、これは発注書の日付を改ざんしたことになり、明確な法律違反です。

(2)実際にかかった費用以上の金額を請求する
購入した物品について実際より高い金額で領収書を切ってもらい、補助金額をより多く請求しようとする事業者もいるようです。これは明らかに詐欺であり、領収書を切った相手も罪に問われる可能性があります。
補助金の不正受給が明るみになった場合、補助金適正化法に基づき、受け取った補助金を返還しなければなりません。補助金をすべて返還するまでは、返還していない金額に対して一定率のペナルティが発生することが一般的です。
また、補助金適正化法に違反した不正行為が発覚した場合、「補助金交付等停止措置企業」として、その事業者の名前が中小企業庁または経済産業省のホームページに掲載されます。つまり、その事業者名で検索すると、不正行為が大勢の人間に知られてしまうということを意味します。当然その事業者の社会的信用は失墜します。

補助金は元をただせば国民の税金であり、本来の目的は業務効率の改善や生産性向上を促すことです。また、不正受給が発覚すれば、受給額以上の金額を支払うだけでなく、名前を公表されるため社会的信用も失墜してしまいます。そして最悪の場合、刑事罰を受ける恐れもあります。つまり、国や自治体を相手取った詐欺罪です。詐欺罪は重罪であり、不正受給することがどれほどハイリスクか理解できるはずです。たとえ意識しなくても結果として不正受給と見做されてしまう場合もあります。補助金を申請する際は、公募要項をしっかり読み込み、ルールに基づいて手続きを行うようにしましょう!