補助金に関するコラム

第3回 補助金にも税金はかかりますか?
会計処理はどうすればいいですか?

補助金は宝くじと同じで、税金がかからないものだという印象を持っている方が少なくないかと思います。しかし、経理に携わる方であればご存知でしょうが、補助金も原則として税金がかかってしまいます。その税金分が受給金額から差し引かれることを考慮せず、受給金額をまるまる計算に入れて使い道を計画した場合、その計画を遂行できなくなる危険性があります。そして計画を遂行できなければ、補助金の支給が却下される危険性もあります。

補助金も会計上は同じ「収入」の扱いであり、損益の「益」になります。会計では常識ですが、売上等を足した収益から費用を引き、その残った利益に対して課税がされます。

補助金は、住民税や法人税、事業税等の滞納があると原則として申請ができません。補助金は対象事業が終わった後に支給されるため、その間に資金調達することが前提となります。しかし、経営が厳しく資金調達どころか納税すらできないような事業者に対しては、補助金は支給できないと判断されます。

そもそも補助金は税金で賄っているため、「払った税金の一部を補助金として返してもらう」と考えれば、税金を払っていない事業者に税金を返す必要はないということになります。補助金の多くは納税証明書の提出を求められるため、虚偽の報告もできません。タイミングの関係で税金の支払いが遅れるケースもありますが、申請を考えている場合は注意しましょう。

また、補助金によっては税務の取り扱いに留意が必要なこともあります。税金の扱いはどうなるのか、各補助金の公募要項を確認しておきましょう。

このように補助金は税金を考慮して会計処理する必要があります。しかし、補助金はどのように会計処理がされるのでしょうか?

補助金は対象事業の実施完了後、請求等の必要な手続きが完了すると支給決定通知書が届き、入金されることになります。補助金は申請から入金まで長い期間が空くため、日常の会計処理とは違う方法での処理が求められます。

一般的な例としては、「雑収入」といった科目で受け入れの処理をします。交付決定通知書が来た時に「未収入金/雑収入 1,000,000」とするのが正しい仕訳となります。その後、入金があったときには「当座(普通)預金/未収入金 1,000,000」の仕訳を起こします。

上記の仕訳の摘要欄には、「事務局名、補助金名、〇月分」というように記入します。支給決定日と入金日が決算期をまたがないのであれば、実際に補助金の入金があった時点で、「当座(普通)預金/雑収入 1,000,000」と仕訳を起こしても決算税務申告上は問題ありません。

また、「補助金の一部に人件費が含まれている」等の理由で、補助金の額を人件費から控除することは基本的に不適切な会計処理となります。というのも損益計算書の原則として「総額主義(費用及び収益は総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない)」を定めているため、その原則に反することになるからです。経理担当の方は注意して会計処理に臨みましょう。