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フォトコンテスト
天地開闢(てんちかいびゃく)
人類がいない地球の姿が見られる場所
中島 たかし
広大なアラスカの地で“人間の居ない世界”を撮るという、壮大な計画のもとに作り出された作品です。観光で行ってすぐに撮れるものではなく、何度も、または長期の大自然にチャレンジしたことで得られた素晴らしい自然のドラマを捉えた作品です。しかも、これをモノクロで仕上げている点は、本作の魅力の1つになっています。景色が良いとカラーで写真を残したくなりますが、あえてモノクロに仕上げていることで、作者のプロとしての信念が、1枚1枚の写真から、ひしひしと感じられます。もちろん、アラスカにほれ込んで撮影していることも伝わってきます。そうした作者の精神が、作品に強く現れていることに、強く感動しました。
壮大なスケールで展開されるストーリーが、分かりやすく構成された作品です。本作は36点の写真からなるブック形式ですが、動物や自然風景の組み合わせ方や編集の仕方が上手いと思います。天地開闢という古事記から引用したタイトルも、なるほどと思える内容です。プリントやペーパー選びが的確で、黒がしっかりと締まって、微妙な調子がシャープに出ているなど、作者のこだわりを感じます。プリントサイズがA3ノビと大きく、迫力があるのも作品のテーマに最適です。どうやって撮ったのだろうかと不思議になる写真が多いのも本作の魅力です。空からの撮影など撮り方が工夫され、ユニークな視点の写真が多いのが面白いと感じました。
中島 たかしさん
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中島 たかしさん
見事グランプリを獲得されました。感想はいかがですか?
中島:エプソンフォトグランプリに携わる方々に感謝致します。今回、自然界全体を表現するようなビッグテーマでの僕のチャレンジに対して、審査員の方々が高い評価をくださったことに感謝致します。そして何よりも嬉しいことは、僕自身の自然に対する想いを、作品を見てくださる方へ伝えられることです。
普段はどのような写真活動をされているのですか?
中島:米国に留学してから本格的に写真を始め、写真歴は13年になります。現在の撮影活動を挙げると、アラスカの雪山にあるロッジやその周辺に、2週間単位で滞在し撮影しております。滞在中の撮影活動自体は2割程度ですが、残りはナチュラリストとして自然の知識を深めるなど、自然観察に注力しています。
今回の作品の視点はどのようなものでしょうか?
中島:二つあります。一つは、人類の影響を受けずに進行してゆく自然(=原始自然)がどのようなものであるのか。これを目撃できる場所が、まだ地球には残されている。それを知ってもらうための写真群であるということです。二つ目は、西洋絵画的な遠近効果を極力避けた、伝統的な日本の自然観に近い、平面的な写真で構成している点です。
プリントへのこだわりはございますでしょうか?
中島:カメラは僕が見た自然のままには表示してくれないので、場面を見たときの空気感や質感を、プリントで、紙に移す「変換」のテクニックが各所で必要になると考えており、これを総合して僕は、「自然の翻訳」と言っています。これを行うために、今回使用している、エプソンのプリンター『SC-PX1V』は、なくてはならない物となっています。
今後の目標や、作品にしてみたいテーマなどありましたらお願いします。
中島:北米に、島に棲むオオカミがいます。その体の大きさや生息環境など、島国日本に生息していたオオカミとかなり近い生態であると思われます。極めて困難ですが、この生態を撮影するべく活動を続けています。プリントの色に関して、今回は「黒」を追い込んだので、次はUltraChrome K3Xインクのディープブルーの特長を活かして、氷河の「青さ」を深く追求したいと思います。