投写面に書き込みが可能。
授業で活用できる電子黒板。
ICTの導入を研究するなかで、全一般教室へのプロジェクター導入の必要性を実感
大阪府立東百舌鳥高等学校
教諭 稲川 孝司先生
これまで、情報担当の教員として、ICTそのものやICT導入について研究や実践を行ってきた。学校内の一部の教室にICT関連の機器を導入したが多くの先生方に実際にそれらを活用していただくのは難しかった。理由としては、装置を使うのに時間や手間がかかること、使用にある程度の知識が必要なことなどがある。そうしたなかでICTをいかにして実際に活用してもらうかを考えていたところ、日本教育工学協会(JAET)が行っている学校情報化認定の学校情報化診断システムの指針が目安になると考えた。
これらを実現するためには、一部の教室ではなく、全普通教室にプロジェクターを導入する必要があった。とはいえ、予算の確保が難しく、当初は学校教育推進費の活用などを考え、折衝を続けてきたが実現は難しく、最終的には本校同窓会と後援会の力を借りて、学校設立40周年記念の一環として3学年25教室全てにプロジェクターの導入を行うことができた。
USB端子の実装など、パソコンなしでも活用できる装備と機能が充実
プロジェクターの導入にあたっては、数多くの周辺機器が活用できるよう、RGB端子やHDMI®端子、USB端子などの装備が必須と考えていた。また設置のしやすさや使いやすさから短焦点レンズを採用した機種に絞っていった。加えて、電子黒板機能の使いやすさなどについても検討。ほぼ全員の先生方にプロジェクターを使用してもらうという観点から、特に2つのポイントを重要視した。一つはパソコンなしで電子黒板機能が使える事、もう一つがパソコンと接続しなくてもUSBメモリ内の画像や資料といったコンテンツの表示が出来る事であった。他社製品についても検討したが、従来からエプソン製のプロジェクターを使用していたことや、上記の機能を全て満たしていたことから、エプソンのEB-590WTを導入することとした。
パソコンなしで活用できる環境の整備で使用率は9割超に、アクティブラーニングについての議論や実践も活発化
2016年に大阪府立の公立高校として初めて、「学校情報化優良校」の認定をいただいた。本校の先生方にアンケートを行ったところ、実に9割を超える先生方がプロジェクターを利用した授業を行っており、全教室にプロジェクターを導入しICT研修を実施した効果が出てきている。パソコンが苦手な先生方も少なくない状況であったが、USBメモリーを配布し、パソコンなしでも利用できるようにすることで活用する先生方が増えた。EB-590WTは、USBメモリーからの画像や資料を映示できるだけでなく、表示に対し、簡単に電子ペンで書き込める点も、先生方のプロジェクター活用の推進に寄与している。
生徒は、従来は教科書を注視して授業を受ける場合が多かったが、画像や資料を表示することで前を見て授業を受けるケースが増え、授業の意欲向上に繋がっている。また、家庭科など技術系の科目などでは、作業の工程をプロジェクターを使って動画で具体的に見せることで、作業内容が理解しやすくなり、実習でのミスが減っている。
ICT活用の推進にあたっては、大阪府のパッケージ研修という制度を活用して、アクティブラーニングについての研修を大阪府教育委員会と学校とで協力して行っている。加えて、校内の取り組みとして、先生方に積極的にプロジェクターを活用してもらうため、ほぼ毎月研修会を開催。さらに委員会活動として、希望する先生でトータルプラン委員会という活動を行い、アクティブラーニングについて議論。本校のアクティブラーニングというものが、どういったものかを定義して、先生方に納得していただくようにしている。授業内では、「目当てと振り返り」の実施を徹底し、プロジェクターの活用を促している。システム管理と教育のICT化の普及については、校務分掌として、「ICT教育推進室」を設けた。
これらの活動と新学習指導要領改訂により、より多くの授業をアクティブラーニング化していく必要があり、学校が変わらないといけないという意識が、校長先生を筆頭に多くの先生方に生まれつつある。実際、授業においてアクティブラーニングとしてのプレゼンを行うことが増え、先生方だけでなく、生徒も調べ学習をしてプレゼンを行うようになってきた。プレゼンは、上手な人のものを見ることが経験として重要であり、生徒同士でも上手な人のプレゼンを見ることで、その方法がわかるようになる。そうしたアクティブラーニングやプレゼンの授業において、プロジェクターが担う役割は大きくなっている。
3学年全ての一般教室、25教室にEB-590WTを導入。その使用率は9割を超える。
パソコンが苦手な先生方もプロジェクターを使いこなせるよう、全員にUSBメモリーを配布。パソコンなしで使用できるようにすることで、使用率向上に結びついた。
プロジェクターを使用しての授業風景。先生方が各クラスで板書を繰り返す労力と時間を短縮することができ、内容の濃い授業が行えるようになった。
HDMI®端子やRGB端子を使用してパソコンや映像機器を接続できるほか、USBメモリーを接続してパソコンなしで映像や資料を映示することが可能。パソコンが苦手な先生方もプロジェクターを活用しやすい環境となっている。
従来、板書していた教材をあらかじめUSBメモリーやパソコンに保存しておくことで、複数のクラスで行う板書を省力化。授業時間も有効に使えるようになった。
写真のアクティブラーニングルームやマルチメディアルームなどを設置。これらの教室にもプロジェクターが設置され、プレゼンテーションや協働学習がスムーズに行える環境が整っている。
生徒へのICT普及に向けさらなるインフラ整備を検討
今後は先生方だけでなく、生徒がいかにICTを使いこなすかが重要になると思う。生徒にICTを活用してもらうため、最近はスマホやタブレットなどを利用してドリル学習や振り返りの入力なども行うようになってきた。現状ではインフラ整備の面などに課題があるが、スマホやタブレットの画面を無線LANなどを通じて、より簡単にプロジェクターに表示させられるようになれば、教育のICT化がさらに進展すると考えている。
現状は、プロジェクターにアップル社のApple TVを接続。iPadなどの画像が表示できるようになっているが、
今後はAndroid™系タブレットやスマートフォンも接続することと無線LAN接続ができるよう、将来に向け検討しているという。
使用機種:EB-590WT
用途:ICT教育環境の構築、アクティブラーニング
所在地:大阪府堺市中区土塔町2377-5
最寄駅:泉北高速鉄道深井駅、南海高野線初芝駅
URL:http://www.osaka-c.ed.jp/higashimozu/2016年に創立40周年を迎えた大阪府立東百舌鳥高等学校。その記念事業の1つとして全教室にプロジェクターを導入。積極的にICT化を推進し、2016年に大阪府立の公立高校として初めて、日本教育工学協会(JAET)の学校情報化優良校に認定された。
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