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23学部を擁する総合私立大学の東海大学は、アクティブ・ラーニング(学生自らが課題解決に取り組む能動的授業)およびラーニング・コモンズ(複数の学生がICT機器等を使って議論する場を提供すること)を強化する一環として、エプソンのインタラクティブ機能付プロジェクター「EB-1410WT」を導入した。また、同大学には教職課程もあり、ICT機器の導入が進む小中学校に備えたスキルアップの設備という側面もある。今回は、教育現場でのインタラクティブ機能付プロジェクターの成果という切り口で、教育支援センター所長で教養学部人間環境学科教授の内田晴久氏、情報教育センター専任講師の白澤秀剛氏にお話を伺った。
ICT機器を通じて「学び続ける力」を育成
東海大学 教育支援センター
教養学部人間環境学科
教授(理学博士)
内田 晴久氏
東海大学・湘南キャンパスでは、2014年3月にエプソンのインタラクティブ機能付プロジェクターが計10台導入された。特徴的なのは、インタラクティブ機能付プロジェクターを3台連動で壁掛け設置したアクティブ・ラーニング室。主に理工系の学生を対象に、ラーニング・コモンズでの訓練や実証試験をしながら、新たな授業を開発するという目的がある。「学生が社会に出ると、今まで経験したことのない問題に直面し、それを解決する力が必要になります。そのために、大学での学びで大事になってくるのは“学び続ける力”です。ICT機器を駆使して、自ら考えて学ぶ力を支援する教育手法をつくることを意図しています」(内田氏)。また、教員を目指す学生は、教育実習の段階からICT機器に慣れておくべきという方針もあり、社会での実践的な力を養うためにインタラクティブ機能付プロジェクターを導入したのである。
電子黒板の学習効果を研究するツールに
東海大学 情報教育センター
専任講師(工学博士)
白澤 秀剛氏
エプソンのインタラクティブ機能付プロジェクターを選定したのは、同大学での研究内容が関連している。「電子黒板による学習効果」について研究している白澤氏は、「理工系の先生から、“横長の黒板を3分割して授業を展開すると学習効果が上がる”という発表があり、電子黒板でその環境を再現することが課題でした。2013年の導入検討時、それを3台連動で実現できることが決め手になりました」とのこと。3台連動によるメリットは、例えばPowerPoint®で練習問題と説明用資料が投映されたまま、学生がホワイトボードで解答できるため学習効果が上がるというわけである。運用開始にあたって、アクティブ・ラーニング室の壁面をホワイトボード素材に加工。PCも3台導入して、1つのUSBメモリにある複数の教材を、ネットワーク共有して3台のプロジェクタに投影している。
ICT機器が学生のモチベーションを向上させた
導入効果は、授業に対する学生の積極性や自主性という面で顕著に現れている。「前に出て問題を解かせることを学生は嫌がりますが、電子ペンを渡すと“嫌です”と言いながら手を出してきます。授業後に試し書きをする学生も多く、ICT機器を使いたいという衝動がやる気になっているように感じます」(白澤氏)。アクティブ・ラーニング室の各デスクには、アンケートや小テストなどの答えを集計するクリッカーが搭載されており、白澤氏は毎授業でアンケートを取っているが、数値でも成果が出ているという。「通常、授業の難易度が上がると、学生の集中力や興味は下がるものですが、インタラクティブ機能付プロジェクターを使ったグループワークでは、難易度が上がっても“楽しかった”“集中できた”という意見が減らずにキープされるのです。統計解析でも一般教室とは差異が出ており、最後まで学生がモチベーションを保てるのではないかと期待しています」(白澤氏)。体感時間でもアクティブ・ラーニング室での授業を短く感じるという学生が多いという効果もあり、白澤氏はこれらの研究を近く発表する予定である。
3台連動のメリットを活かした効果的な授業も登場している。理系の授業では、数式と図を見せながら解答させる、プログラミングのフローチャートで穴埋めをさせるなど。語学では、左の画面に単語を並べて、中央で動画を流し、右のホワイトボードで学生にヒヤリング結果を書かせるといった使い方である。また、手書きでまとめたグループワークの結果を学生自身が専用ソフトをダウンロードしたスマートフォンで撮影、無線LAN経由で投映するという使い方もしている。3グループの結果を同時に表示し、比較検証できることで質の高い授業を展開しているのである。先生陣からも授業空間としての利便性が高いと評価を得ているそうだ。運用開始が新年度直前となったため、2014年度はコンテンツを準備する期間が短く、PowerPoint®など既存資料を使うことが多くなっているが、今後は、教職員向けの講習会をさらに充実させてICT機器を使った授業ならではの教材づくり、教育環境づくりにつなげていく。
教育現場のICT機器には無限の可能性がある
東海大学におけるICT機器の強化は、学生の自主性を育成するのが狙いであるが、学生が自ら考える力を身に付けるため、インタラクティブ機能付プロジェクターを今後どのように活用していくのだろうか。
「最近の学生は、効率的なノートテイクができない、授業中に自分自身の学習を進められないという傾向にあります。インタラクティブ機能付プロジェクターや電子黒板の利点は、教材に下線や注釈を書き入れる様子を先生が見せられることにもあると思います。学生の教材と同じ環境を再現することに意味があって、そこから知識だけでなく、学び方も身に付けられるのです。投映するマルチメディア資料とともに、学生と一緒に作業する授業空間を充実させていきたいと思います」(白澤氏)。
「黒板とチョークの授業に慣れた中で、インタラクティブ機能付プロジェクターを導入した教室に来るだけで集中力と意欲が増すというのが現状です。そういう意味でICT機器に無限の可能性があります。今までと違うものを授業環境にいかに持ち込むかを模索すべきだと思います。ICT機器だからこそできるアクティブ・ラーニングの形を探していきたいと考えています」(内田氏)
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