ディスカッションとは?教育現場における授業の進め方と
コツをご紹介
ディスカッションは、文部科学省が推進している、アクティブラーニングの手法の1つとして注目されています。しかしいざ授業に取り入れようと思っても、どのように取り入れたら良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回はディスカッションを行うことで得られるもの、ディスカッションの種類、授業の進め方などを詳しくご紹介します。
ディスカッションとは?
ディスカッションは、文部科学省が推進する、アクティブラーニングの手法の1つ。授業に取り入れる学校が続々と増えています。ここでは、ディスカッションの意味と目的、ディベートやグループワークとの違いについてご紹介します。
アクティブラーニングについては、こちらの記事を参考にしてください。
関連記事 アクティブラーニングとは?文部科学省が推進する理由とその効果ディスカッションの意味と目的
ディスカッションは、討論や議論という意味を持つ言葉です。参加者は、決められたテーマに対して自由に意見を交わします。意見を交わすことが目的なので、2人以上いればディスカッションは成立します。授業で取り入れる場合は、3人以上でグループを作って行う「グループディスカッション」が一般的です。
教育現場でディスカッションを取り入れることは、自主性や協調性など生徒のさまざまな能力の向上に効果的です。
ディベートとの違い
ディスカッションと似たものとしてあげられるのが、ディベートです。名称が似ているため混同されてしまいがちですが、はっきりとした違いがあります。先にも述べた通り、ディスカッションは決められたテーマに対して、参加者が自由に意見を出し合うというものです。
一方ディベートは、決められたテーマに対して、「賛成か反対か」に分かれて議論します。そして最終的に、ディベートを傍観していた第三者がどちらの意見がより論理的であったか、説得力があったかを判断して勝敗を決めます。
ただし、ディスカッションの中には、「ディベート型ディスカッション」と呼ばれるものもあります。ディスカッションという名称がつけられているものの、内容は2つの立場に別れて意見を交わし合う、いわゆるディベートです。
ディベートをディスカッションのうちの1つと広く捉えて、このように呼ばれていることもありますが、正確にはディスカッションとディベートは別物であると理解しておきましょう。
グループワークとの違い
ディスカッションとグループワークは、グループに分かれて議論を交わすという点では同じです。しかし、ディスカッションが与えられたテーマについて議論し結論を出すのに対して、グループワークでは出た結論をもとに、何かしらのアウトプットをするという違いがあります。
アウトプットの方法は、プレゼンや制作物など、グループワークのテーマによってさまざまです。
グループワークについては、こちらの記事を参考にしてください。
関連記事 グループワークとは?授業に取り入れるメリットや進め方のコツをご紹介ディスカッションを行うことで得られるもの
授業にディスカッションを取り入れることは、生徒のさまざまな能力を伸ばすことにつながります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
リーダーシップ
ディスカッションでは、参加者それぞれの意見を引き出し、最終的にはそれを1つにまとめなければいけません。活発な議論を行うためには、グループを引っ張っていくリーダーの役割が必要です。
リーダーシップというと、その場を仕切り、メンバーを引っ張っていくという姿を想像しますが、それだけではありません。メンバー全員から意見を引き出す、話がずれてしまったときに本筋に戻すなど、オールマイティーな能力が必要です。
ディスカッションを行う際は、役割を持ち回りにして、多くの生徒がリーダーを経験できるようにすると良いでしょう。
論理的思考力
自分の意見を正しく伝え、相手に納得してもらうためには、論理的な思考力が必要です。「こう思うから」というだけでは、違う意見を持った相手に納得してもらうことはできません。
相手に「なるほど」と思わせるにはどうしたら良いか、試行錯誤しながら自分の意見を伝える経験ができるため、物事を論理的に考えられるようになります。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、他人との良好な人間関係を築くために欠かせない能力です。
ディスカッションでは、相手の話を聞いているだけ、自分の意見を言うだけ、では成り立ちません。この両方がきちんとできてこそ、意味のあるものとなります。
授業で行うディスカッションでは、普段関わりのない人とも関わるきっかけになるため、コミュニケーション能力が身に付くことはもちろん、クラスの一体感を高めるという効果もあります。
ディスカッションの種類
ディスカッションには、大きく分けて4つの種類があります。ここではそれぞれの特徴をご紹介します。
問題解決型
特定のテーマについて議論し、解決策を見出すディスカッションです。解決しなければいけない問題が提示され、それぞれその問題に対する自分の意見を考えます。そしてさらにそれを主張し合い、1つの解決策としてまとめます。
テーマの例としては、「スーパーの売り上げを2倍にするにはどうしたら良いか」「少子高齢化を解決するためにはどうしたら良いか」などが挙げられます。問題解決型のディスカッションでは、発想力が重要です。
自由討論型
自由討論型のディスカッションは、特定の問題の解決策を考える問題解決型とは違い、抽象的なテーマについて自由に討論をするというものです。
例えば、「無人島に1つだけ物を持っていくなら何か」「理想的な社会人とはどんな人物か」「50年後の日本はどうなっているか」などのテーマで議論を行います。
より自由な意見を交わすことができるため、参加者それぞれがどんな人物であるかを知るきっかけにもなります。
フェルミ推定型
調査しなければ分からない数値について、自由な視点から論理的に考えて概算するのがフェルミ推定型のディスカッションです。フェルミ推定を行うには、あらゆる要素を網羅しながら概算していかなければならないため、柔軟な思考力が必要です。
ほかのディスカッションに比べると少し難しく感じるかもしれませんが、「○○県に電柱は何本あるか」「日本の小学校は何校あるか」など、テーマの選び方によっては小学生からでも授業に取り入れることができます。
選択肢型
複数の選択肢があるテーマについて、議論しながらグループとしての答えを決めるのが選択肢型のグループディスカッションです。
「生まれ変わるなら男性か女性か」「小学生にとってどちらが重要なのは、国語か算数か」など、答えのないテーマについて話し合います。なぜそれを選んだのか、納得できる理由を用意する必要があるため、論理的な思考力が必要です。
ディスカッション授業の進め方とコツ
ディスカッション授業をスムーズに進めるためには、いくつかコツがあります。進め方のポイントを見ていきましょう。
討論しやすいテーマを選ぶ
有意義なディスカッションを行うためには、討論しやすいテーマを選ぶのがおすすめです。テーマが難しすぎる場合や、関心のないものの場合、なかなか意見が出ないまま時間が過ぎてしまう可能性があります。
生徒の年齢や暮らしている環境に合わせて、興味がありそうなもの、身近に感じやすいものを選んでみましょう。
制限時間を設ける
制限なく話し合いをするだけでは、活発な議論は行われません。
一方、初めに制限時間を決めておけば、そのゴールに向かって話し合いを進めるため、意見が出やすくなります。
また、制限時間内で意見をまとめるためにはどのように議論を進めれば良いか、時間配分する能力も鍛えられます。
おわりに
今回は、ディスカッションの基本的な知識をご紹介しました。
ディスカッションの授業を行うことで、生徒は講義形式の授業では得ることが難しい、リーダーシップや論理的思考力、コミュニケーション能力などを得ることができます。ぜひ授業に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ディスカッションの実施には、プロジェクターの使用がおすすめです。
必要な資料を投写しながら議論を行うことで、より意見が活発に交わせるようになります。また、まとめた意見をプレゼンする時にも便利です。
エプソンのプロジェクターの中には、投写した資料に書き込みができる電子黒板機能を搭載した製品もあります。ディスカッション授業を実施する際は、プロジェクターの導入もあわせてご検討ください。
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